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性能の見分け方

【品質編】原料

サプリメントの原料には「合成」と「天然」があります。毎日、安心してサプリメントを利用するならば、より食べ物に近く、吸収率や体内利用率の高い「天然原料」がおすすめです。

※天然原料と合成原料には明確な定義がありませんが、当社では以下のように考えています。
・天然原料:野菜、果物、酵母などの天然素材から得られた原料
・合成原料:人工的に分子の構造を変化させて製造された原料

天然と合成の違い

サプリメントの原料には「分子の主要な構造を変化させて製造された合成原料」と「野菜、果物、酵母等から抽出された天然由来の原料」があります。

合成原料は安価で高濃度というメリットがありますが、特に安い原料においては不要な化学物質混入のリスクもあります。
天然原料は、吸収率や体内での働きの面で合成品より優れ、何より「食べ物に近い」というメリットがありますが、価格が高く、濃度が低いというデメリットもあります。

天然原料のメリット

天然の原料を使うことにより、量がかさばる、値段が上がってしまう、
などのデメリットもありますが、
それ以上に大きなメリットがあります。

1.栄養素の生体内利用率が高い
2.主要の栄養素と相乗効果を示す栄養素も同時に摂取できる

例えば、天然ビタミンCを扱う原料メーカーN社では、
「天然ビタミンCの方が、合成ビタミンCより生体内抗酸化率が高い」と示しています。
経口摂取からの血中移行量は、天然ビタミンCの方がビタミンC単独より優れており、
各臓器への吸収効率も、とりわけ海馬、皮膚、心臓、白色脂肪において、天然ビタミンCが有意に増加しました。
また、アメリカに本社を置くG社の、酵母にビタミン・ミネラルを添加して培養させた原料は、
合成のものに比べ、血中移行率が約1.2~1.5倍高く、肝臓内利用率は1.5~2倍も高いと報告されています。

ビタミンEも、天然と合成では生体内利用率が約1.5倍違うと言われています。

さらに、天然ビタミンCには、ビタミンCの吸収を助けたり、抗酸化作用の高い「ケルセチン」や、ブルーベリーで知られる抗酸化物質の「アントシアニン」も含まれており、ビタミンCと相乗効果が期待されます。

特定のビタミン・ミネラルが豊富な食品は、その栄養素を補佐し、相乗効果を示す栄養素も多く存在するため、
食品になるべく近い形で摂取することは、サプリメントを飲む量が増えたり、値段が上がっても、効率良く栄養補給できると言えます。

原料の色

サプリメントに使用する原料には、様々なものがあります。
白、黄色、クリーム色、灰色、黒、茶色、ピンク、赤、オレンジ、緑など、
配合される栄養素や原料によっても、色は様々です。

「天然原料」は、酵母原料や天然果汁から抽出したものが多く、ロットによって色が違います。
そのため、製造工場からは、
「今回は、前回よりもやや茶色っぽくなりました。」とか
「今度は白っぽいです。」などの報告があることも珍しくありません。

頻繁に色が変わってしまうため、大量生産したり、不特定多数の方に直販を行っている場合には、クレーム防止のために、合成原料や合成着色料を使って色をそろえるように加工して、色の変化を目立たなくするするメーカもあります。

原料メーカーのホンネ

サプリメントや健康 食品に使われる原料の研究や開発を行っていた、元原料メーカー勤務の社員が、サプリメントの原料を提供する「原料メーカー」の立場から、健康食品業界の裏側をホンネで語ります。

原料メーカーがどうやって機能性原料を作り出しているのかを、普段 知られない裏側から迫っています。

テーマ探しが一番難しい

最初に取り組む課題は、どんな領域の効果を期待して素材を作り出すのかを決めることです。
他社がすでに販売している領域、素材ではなかなか競争に勝てません。

どうやってネタを見つけるか…。
それには色々な方法があるのですが、まず大学の先生にネタをいただく。

特に農学部や薬学部、医学部の先生にメール、手紙、時には研究室に押しかけ、先生の研究されているテーマをお聞きします。

そこで他にないネタであれば、即、共同研究契約を結びます。ほかにも論文(ほとんどが海外の論文)や特許を数百と調べつくします。
いくら面白いネタがあったとしても、すでに特許が出ていれば製品化はできません。(特許調査の苦しさは今でも忘れられません…。)

なんとか、特許にも抵触せず、他社もやっていないオリジナル素材(成分)を見つけ出すことができれば、大学と一緒に共同研究を始めます。

基礎研究に5年・・・

まずは試験管(in vitro)レベルでの有効性評価です。

候補素材(成分)をいくつか集めて、スクリーニングをかけ、そのなかで活性の高いものを選んでいくのです。

とはいえ、いくら試験管レベルで活性が高くても、ヒトでは全然だめだった、ということも多々あるので、実は、ここは「感」と「経験」が頼りになるのです。
(慣れてくれば有効成分の構造式を見ればわかるようになってきます。)

なんとか活性が高いものが見つかったら、ようやく動物実験(in vivo)です。

ここではマウスやラットを使っての有効性評価です。

大学との共同研究ということもあり、有効成分は純度が80%以上ないと論文にはなりません。
純度80%以上の試薬ってものすごく高いものなんです。

動物実験には1~2g程度、一回の実験に使いますが、私の経験では、それだけで数千万円、家一軒変えるぐらいの素材(成分)がありました。(この時はさすがにコツコツと植物から抽出して準備しました)

ようやく、動物でも有効性が確かめられた、なんて、都合よくいくわけありません。

何度も試験内容を修正し、あきらめずに有意差がでるように試験を進めるのです。
(幸い私の経験ではそこまでの苦労、修正はしませんでしたが) 

ヒト試験にたどり着くのはごくわずか

動物で有効性が確認できた!
といって喜ぶわけですが、実際にはヒトで本当に効果があるのか、が大事です。

でも、実際にヒトで試験をすると、これまた数千万円の経費が掛かります。
実はほとんどの素材でヒトでの評価はしていないんです。
これって、おかしいですよね?

人間が食べる原料を作っているのに、マウスやラットの評価で終わり、なんて。

でもそれが現実です。

最近では、ようやくヒトでの評価が行われる素材も出てきましたが、それもたっぷり成分を飲ませて、有効性を出したい、とメーカーは思っています。

なにしろ数千万円も経費が掛かっていますから…。
もし「効果がない」という結果が出れば大変なことです。

なので「有効性がある」といっている素材の場合、本当はもっと摂取量は少なくて済むかもしれないということなのです。

有効成分量の出し方

ヒトで試験をしている素材はまだ良いのですが、動物での評価しかしていない場合、どうやってヒトでの有効量を出すかご存知ですか?

通常は、ラットで100㎎/㎏が有効量とした場合、ラットでの1kg あたりの有効量100㎎をヒトの体重(約60㎏)でかけた量、つまり、100㎎×60 =6,000㎎(6g)を、ヒトでの有効量とするのです。

なんだか、それで本当にあっているのか悩ましいですね。

やはり、ヒトで摂取試験をしたデータのある素材を利用したいものです。

なにより大事なのは安全性

有効性ばかりに目が行きがちですが、やっぱり一番大事なのは安全性です。

いくら長い食経験があるといわれる素材でも、例えば有効成分を抽出して濃度を高めれば、どんな作用があるかなんてだれにもわかりません。

そこで、またまたラットに登場してもらって、「ものすごい量を1回に摂取して死ななかったか」という少々荒っぽい試験をします(急性毒性試験)。
このほか、発がん性がないかを調べる試験(Ames試験)、更には28日あるいは90日間反復投与して、各臓器に異常がないかを詳細に調べる亜急性毒性試験なども行います。

これらの試験ですべて異常がなかったら、やっとヒトでの過剰摂取試験を行います。
有効量の5倍!!の量を4週間摂取し続けます。

そこで、異常がなければ晴れて製品化にGOがかかります。

とはいうものの、ヒトでの過剰摂取試験をやっている原料メーカーはほとんどありません。
食品と医薬品ではこうも違うものなのです。
いったいどうなっているのでしょうねえ?

一つの原料の開発にかかる費用

有効性、安全性ともにクリアした素材がようやく日の目をみるのですが、ここまでにかかる費用は下手をすると1億円はかかります。

更に、新しく開発した原料で特定保健用食品(トクホ)の許可を取ろうとすると、より厳重な安全性試験と100人規模でのヒトでの有効性試験を行うので5~6億円はかかると言われています。(まるで薬ですね。)

企業には、その開発費を回収する必要があるので、実際、大企業しかトクホが成功しないのは、こんなところにも理由があります。

いくら効果を説明できるとしても、広告宣伝が上手でないと売れませんから。

最後に製造

ようやく製品化が決まれば工場での製造に取り掛かります。

基になる原料は多くの場合「植物」です。
どうしても天候の影響などで有効成分の入っている量がばらついたり、収穫量自体が少なかったりと、品質と供給量の安定化に一番気をつかいます。

また、工場での製造も、最近は特に衛生管理が厳しくなってきており、薬の原料を作るレベルとほとんど変わらなくなってきています。
ここで神経質になるところは、有効成分の含量を確保することですが、それ以上に異物検査や残留農薬検査、最近では放射能検査まで厳重に行っています。

このように原料を製造するには有効成分を抽出したり、紛体にしたりと、様々な工程が必要なので、設備も相当大きなものになります。設備投資は簡単にはできません。   

実は原料メーカーといえども自社で原料を製造していないところも珍しくありません。
なので、この原料は実際のところ、どこの製造委託先が作っているか(海外の場合は特に)、という視点も非常に重要になってきます。

営業は持久戦

ようやく出来上がった素材です。

なんとか世の中に広め、成功させたいと意気揚々に営業に出かけます。
やはり 大手食品メーカーに使ってもらえれば知名度も、売上も上がります。

というわけで、大手食品メーカーに営業に行くわけですが、採用される確率たるや、ごくわずか。厳しい現実が待っています。

作用メカニズムから、素材の細かな話、安全性、有効性といった素材の基本スペックの話はもちろん、特許調査、価格や供給量(安定して供給できるか)の交渉、独占契約なんてことまで言いだします(もちろん買い取り保証なんてしません)。

最近では大手食品メーカーといえども自社で素材を開発することはほとんどなくなりました。
素材の開発費に数億円なんてかけられませんから…。

一つの原料が採用されるまで5年というのもざらにあります。
それだけ競争が厳しいのです。

どんな原料を使っているのかが大事

これまで見てきたように、サプリメントに使われている原料が作り上げられるまでにはかなりの時間と労力、費用が掛かっています。

数多くある原料のなかでも、本当に人の役に立つものをサプリメントメーカーが選び抜くことができなければ、患者様にとって良いサプリメントを作ることができません。

業者に言われるがままに信じて使うのではなく、一つ一つの原料ごとに情報を取り、メーカーの開発者や担当者と直接会って質問をし、こちらが納得した原料だけを使っていくことが信頼につながっていくのだと考えます。