近年の日本では認知症患者が急増しています💦
その数は年々増加して2025年には730万人にのぼり、65歳以上の高齢者では約5人に1人になるとの推計もあります。
そのため、認知症対策のための成分に注目が集まっており、そのひとつに「ホスファチジルセリン」があります💡
今回は、「脳とホスファチジルセリンの関係」についてまとめます😄
目次
ホスファチジルセリンとは?
ホスファチジルセリンは脳や神経組織に多く含まれるリン脂質の一種です。
一般的に言えば脂質(油脂類)の仲間ですが、油脂とは異なり水溶性と油溶性の両方の性質を持ちます。
食品では大豆やキャベツなどに含まれています。
構造はジグリセリド-3-リン酸のリン酸基に対し、セリン(アミノ酸の一種)が結合した形です。
ヒトの脳中のリン脂質に10~20%の割合で存在し、高次機能の中枢をなす神経細胞やグリア細胞※の長期生存維持、神経細胞の情報を受け取る突起(樹状突起)などの形態形成にとても重要であると言われ、神経細胞にL-セリンが欠乏すると、アポトーシス(細胞死)に至ることも報告されています😱
※グリア細胞とは
神経細胞の生存や発達機能発現のための脳内環境の維持と代謝的支援をしている細胞。
ヒトの脳は1000億個の神経細胞と、その10倍以上の数のグリア細胞から成ると言われている。
脳でのセリンの合成
胎児期の神経細胞は自身でセリンを合成できますが、出生とともにその能力を失い、その後はグリア細胞がその役割を担います。
グリア細胞はグルコースからセリンを合成し、一定の濃度を保つように分泌しています。
セリンはグルコースから合成されますが、加齢によって合成が低下するためセリンの補給が大切であると考えられています。
しかし、他のアミノ酸との競合阻害のため、セリンはそのままの形では脳へ十分に取り込むことが難しいとされています。
一方で、ホスファチジルセリンは脳へ直接取り込まれることが期待できるため、セリンの供給源としてとても重要であると考えられています。
ホスファチジルセリンの効果
ホスファチジルセリンは脳機能を改善する「ブレインフード」として広く認知されているだけでなく、脳機能以外にも様々な臨床報告が行われています。
ホスファチジルセリンの主な効果
・アルツハイマー病
・認知症
・加齢に伴う記憶力低下(age-associated memory impairment : AAMI)
・抑うつ症
・てんかん患者の発作の改善
・ストレス耐性の向上
・甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの分泌リズムの正常化
・体内時計(サーカディアンリズム)の異常修復
各国におけるホスファチジルセリン配合製品
日本では機能性表示食品として認知機能に関する表示が認められていますが、アメリカや韓国でも規格基準を満たした ホスファチジルセリン配合品に強調表示が認められています。
ホスファチジルセリン配合製品の強調表示例
・日本
ホスファチジルセリンは、記憶力が低下した健康な中高齢者の認知機能の一部である記憶力(言葉を思い出す力)の維持をサポートすることが報告されています。
・アメリカ
ホスファチジルセリンは高齢者の認知症リスクを低減させる可能性がある。
・韓国
ホスファチジルセリンは高齢者の認知力の低下をサポートします。
まとめ
加齢によるグリア細胞でのセリン合成の低下は、酸化ストレスではないことが分かっていますが、今のところ原因は不明です。
しかし、ホスファチジルセリンの補給によって脳機能が改善されることが確認されています🧠✨
ホスファチジルセリンは食品から十分な量を摂取することが難しいため、補給したい場合にはサプリメントなどの健康食品を用いることがお勧めです。
また、脳機能改善には食事(栄養)だけでなく、運動、休養、コミュニケーションなども大切であるため、日々の生活を見直すことも必要かもしれません🙂
さとこママ
管理栄養士