最近、耳にする機会も多くなった「ジビエ」ですが、どちらかというとレストランなどで見かけることが多い食材かと思います。
しかし先日、ヘルシーパスの(お)の紹介で、ジビエ(シカ肉)を購入する機会がありました!!
そこで今回は、この時期に出回りやすい「ジビエ」についてご紹介いたします
●『ジビエ』とは?
食材となる『野生鳥獣肉』のことをフランス語でジビエ(gibier)といいます。
日本でも、シカやイノシシ等の野生動物による農作物被害は大きな問題となっていることから、害獣としてイノシシやシカの捕獲がされてきました。
(野生鳥獣による農作物被害額(全国) 農水省「野生鳥獣のジビエ利用推進について」より抜粋)
しかし、捕獲された害獣は棄てられたり焼却処理をされることが多く、その処分にもコストがかかっていました。
そこで近年、捕獲した後のジビエを活用することも推奨されるようになり、観光地でのレストラン・宿泊施設での提供をはじめ、給食などにも利用されるようになり、徐々にジビエ料理も身近なものとして広がってきているようです。
1月は狩猟期であり、ジビエがレストラン等でもたくさん提供されるのも1~2月にかけてのことが多いそうです
●実は栄養豊富?!ジビエの栄養価とは
ジビエの中でも、比較的一般的にみられる「シカ肉」ですが実はカロリーが低く、高タンパクで栄養価も高い食材です。
一例として、「和牛肩ロース」と比較すると、おおよそですがカロリーは1/4、脂質は1/25、タンパク質は1.5倍以上となっています。
また、ビタミンB群や鉄、亜鉛、銅なども豊富に含まれており、カロリーを気にされる方だけでなく、栄養素をしっかり摂りたい方にもお勧めの食材です
表:ジビエと市販肉類の栄養素比較
●食中毒に注意!安全に美味しく食べましょう。
栄養価の高いジビエですが、注意が必要なのは「食中毒」です
野生のシカ肉やイノシシ肉を生の状態や加熱不十分の状態で食べると、「E型肝炎ウイルス」「腸管出血性大腸菌」「寄生虫」などによる食中毒のリスクがあります。
2003年には、野生シカ肉の刺身を食べた4名がE型肝炎を発症したという事例もあります
さらに、妊婦さんや高齢者が「E型肝炎ウイルス」に感染すると劇症肝炎を発症し、死亡する確率が高いという研究結果もあることから、ジビエを食べる際にはしっかりと加熱して食べることをおすすめいたします
また、2013年にはドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)より、
「鉛弾による狩猟で得られるジビエは鉛の含有量が高い」という意見書が公表されました。
この意見書によると、被弾した部位にかかわらず、非鉛弾で狩猟されたシカ肉より鉛弾で狩猟されたシカ肉の方が含まれる鉛の量が多かったそうです
そのため、ジビエを購入する際には、その狩猟方法(罠による捕獲や非鉛弾の使用など)や安全性へのこだわりについて確認した上でのご購入をお勧めいたします
●ジビエ料理を作ってみました
今回、(あ)はシカのすじ肉ともも肉を購入しました。
ご紹介するのは、「鹿すじ肉の赤ワイン煮込み」です。
お肉を一晩漬け込み、じっくり加熱することで、柔らかく、臭みのない仕上がりになりました
皆様もぜひ、機会がありましたら「ジビエ料理」に挑戦してみてください
(管理栄養士 あ)
農林水産省 ジビエ拡大コーナー
厚生労働省 食中毒 ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう
食品安全委員会 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、鉛弾による狩猟で得られるジビエは鉛の含有量が高いとの意見書を公表
日本食品成分表2015年版(七版)から引用