前回のブログでは、不眠をはじめとした睡眠障害が、健康に大きな影響を与えることなどについてご紹介いたしました。
今回は、睡眠の質を良くする生活習慣や栄養素について、ご紹介させていただきます。
●質の良い睡眠の為に心掛けたい生活習慣
①定期的な運動
日本人の高齢者を対象とした横断研究で、「1日30分以上の歩行を週5日以上実施している人」や「週5日以上の習慣的な運動をしている人」では、入眠困難や中途覚醒の有訴者率が低いことが示されています。
②規則正しい食生活
日本人の成人を対象とした横断研究では、睡眠‐覚醒リズムが不規則な人は朝食の欠食頻度が高い、朝食の摂取量が少ない、昼食や夕食の摂取量が多いなどの傾向があることが示されています。
さらに、日本人の中高生を対象とした横断研究では、朝食を欠食する頻度が高い人ほど入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、不眠を訴える割合が多いことが示されています。
③寝酒は睡眠の質を悪くする
いくつか疫学研究では、日本人は寝酒をする頻度が高いことが示されています(寝酒を週に1回以上する…男性48.3%、女性18.3%)。
様々な研究の結果から、飲酒が睡眠の質・量の両方を悪化させることも示されており、さらに飲酒は睡眠時無呼吸症候群も悪化させることも報告されています。
④喫煙やカフェイン
煙草に含まれるニコチンは比較的強い覚せい作用があるため、喫煙によって不眠が引き起こされることがあります。
喫煙により摂取されたニコチンは、体内で約1時間程度作用するため、就寝1時間前や就寝中などの喫煙は避けた方が良いと言われています。
また、カフェインにも覚せい作用があり、カフェイン摂取後30分~1時間後に血中濃度がピークとなり、半減期が3-5時間だと言われることから、夕食後以降のカフェイン摂取を避けることをお勧めいたします。
⑤自分にあったリラックス方法
スムーズに入眠するためには、リラックスすることが大切です。
睡眠時間や就寝時間にこだわり、眠くないにも関わらず、無理に寝ようとすると逆にリラックスできず、寝つきを悪化させることがあります。
睡眠と体温の変化は密接に関係していると言われ、就寝30分~6時間前の入浴による体温変化は、睡眠の改善効果を持つことが報告されています。
その他に、安定した睡眠のためには「規則正しい生活で、体内時計のリズムを保つこと」が大切と言われており、夜更かしや休日の朝寝坊などは睡眠障害を悪化させてしまう可能性があることも報告されています。
●睡眠のために摂りたい栄養素
睡眠のためには、体内時計のリズムを整えることや、就寝環境を整えるだけでなく、食べ物や栄養素なども大切なことが分かってきました
特に神経伝達物質であるセロトニンやドーパミン、アセチルコリンは睡眠をはじめ、記憶や学習、情動など様々な脳の働きをコントロールしています。
そういった神経伝達物質が正常に作られる為には、必要な栄養素がきちんと摂取出来ていることに加え、腸内環境が整っていることが大切であることが報告されています。
<安定した睡眠のためにお勧めしたい栄養素>
睡眠不足は、心や体の健康を害するだけでなく、業務の能率を下げることや、集中力を低下させることでミスや過失を引き起こしてしまう可能性もあります
「日中の眠気」は、睡眠不足のサインと言われており、睡眠不足が慢性化すると回復に時間がかかることも報告されています。
「休みの日に溜め寝すればよい」ではなく、毎日必要な睡眠時間を確保できるように意識してみましょう
(あ)
厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月)
心と栄養を包括する科学 第9回学術集会 脳の機能と栄養
脳機能に影響を与える食品成分(静岡県立大学 横越 英彦 教授)
こころとからだの免疫学(人間総合科学大学 藤田 紘一郎)
田辺三菱製薬 Suimin.net