卵はコレステロールが多いから健康のために食べないようにしているという方がいらっしゃいます
しかし、最近では食事由来のコレステロールは気にする必要がないと言われ、厚生労働省がまとめている日本人の食事摂取基準(2015年版)からは、コレステロールの上限量が設定されなくなりました
今回は、「卵の摂取と脳卒中や冠状動脈性心疾患との関係」について調べている論文を紹介します
●1日1個の卵で脳卒中予防
「1日1個の卵の摂取により脳卒中の発症リスクが低下した」という内容の、アメリカにある生物統計学研究所(EPUSTAT)からの研究報告です
【目的】
食事に含まれるコレステロールと心血管疾患との関係について長年調べられてきており、初期の研究ではコレステロール摂取と心血管疾患との関連が指摘されていた。
しかし最近の研究では、食事でのコレステロール摂取は心血管疾患に影響しないことが示されている。
卵にはタンパク質や必須脂肪酸、抗酸化物質、コリン、ビタミン、ミネラルが含まれるがコレステロールを多く含む食材として有名である。
そのため、定期的に卵を摂取するとコレステロールよって心血管疾患リスクと関連する可能性があるが、ほとんどの疫学研究で心血管疾患、冠状動脈性心疾患、脳卒中のリスクが増加するとは報告されていない。
今回の研究では、卵の摂取量増加と冠状動脈性心疾患や脳卒中のリスクとの関連について分析する。
【方法】
1982年から2015年までのアメリカ、日本、オーストラリア、スペイン、イギリスでのシステマティックレビューやメタアナリシスの研究をまとめ、卵の摂取と冠状動脈性心疾患(約276,000名)、脳卒中(約308,000名)との関連を分析した。
【結果】
・1週間の卵の摂取量が2個未満の人と比較して、毎日1個の卵を食べた人は、脳卒中リスク12%有意に低下した。
・男女とも、卵の摂取と脳卒中リスクの関係は逆相関していた。
・1日に1個以上の卵を摂取することは冠状動脈性心疾患とは関連していなかった。
【まとめ】
1日1個までの卵の摂取は冠状動脈性心疾患リスクを増加させずに前脳卒中リスクを下げる可能性がある。
<論文要旨>
http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/07315724.2016.1152928
卵はタンパク質の質も良く、ビタミンやミネラルなどが豊富な完全栄養食品と言われています
また、抗酸化物質や脳の栄養になると言われるホスファチジルコリンなども含まれており、食べないのはもったいない食材です
是非、毎日の食材に取り入れてみてください
なお、コレステロールについては、体内では食事由来よりも肝臓で作られるコレステロールの方が圧倒的に多い事が知れらています
もちろん、食事による脂質やタンパク質、糖質の摂取が多過ぎると肝臓で作られるコレステロールが増えてしまうため、バランスの良い食事をする必要はありますが、食品のコレステロール含有量はそれほど心配する必要はないかと思います。
それよりも、体内で作られたコレステロールを外に排泄してくれる食物繊維の摂取量を増やす方が大切かもしれません。
特に水溶性の食物繊維がお勧めですよ
また、魚に含まれるオメガ3系脂肪酸(EPA、DHA)には血中のコレステロールを減らす働きも期待されています。
肉ばかり食べるのではなく、魚(特にイワシやサバ、アジなどの青魚)も積極的に食べるようにしましょう
(さ)
<参考>
・リンク・デ・ダイエット(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=57140&-lay=lay&-Find)
・農林水産省