みなさん自分の歯は全部そろっていますか
「歯は、年をとるにつれて抜けていくもので、無くなっていくのは仕方のないことだ」と考える方もいるようですが、食生活を整えてメンテナンスをしっかりとすることで、年をとっても自分の歯をたくさん残すことは可能だと考えられています
歯の役割は、食べ物を食べる時に使うだけでなく、話をしたり、表情を作ったり、力を出したりするときなどにも重要な働きをします。
また、物がうまく食べられないことから食べ物を丸呑みしたり、柔らかいものばかり食べることで胃腸の働きが悪くなることもあります
このように歯には様々な役割があり、歯がなくなることは健康を脅かすリスクとなってしまう可能性があります
今回は「歯と健康」について調べている論文をご紹介します
●歯がなくなることは認知的・身体的機能不全リスクとなる
「高齢者で残っている歯が少ないことは、様々な健康問題や障害のリスク」という内容の、日本の東北大学の研究者らによる研究報告です
【目的】
高齢化社会では、身体能力、認知能力、社会生活能力などの機能的能力は、うまく年を取って健康寿命を増加させるために重要な構成要素であり、高いレベルの機能的能力の障害は、未来の認知症発症や死亡の重要な予測因子である。
また、口腔内の健康状態は高レベルの機能的能力である身体能力、認知力、社会生活能力に影響すると言われているが、あまり研究が行われていない。
そこで、歯がなくなることと、より高レベルの機能的能力の低下との間に関連性があるのかどうかを調べる。
【対象】
日本の9県の24市町村に住んでいて、機能的に独立して社会生活を送っている(日本の基準でいう要長期介護でない)65歳以上の高齢者62,333名。
【方法】
追跡期間694~1148日(平均707日)の前向きコホート研究。
歯の数は自己申告してもらい、日常生活の動作能力、知的能動性、社会的役割の3つついて評価できる老研式活動能力指標(TMIG-IC)を用いて機能的能力を測定した。
なお、TMIG-ICスコアは0(最低の機能)から13(最高機能)の範囲である。
また対象者には、医学的・精神的既往歴、喫煙や飲酒習慣の有無、体重などについても回答してもらった。
【結果】
・追跡期間中、対象者のTMIG-ICの点数は平均0.247点減少した。
・自分の歯が20本未満の人は20本以上ある人よりも高齢であった。
・残っている歯の少ない人は、社会経済的地位が低く、健康に関わる行動に乏しかった。
・自分の歯が20本以上ある人と比較して、10~19本の人はTMIG-ICの点数が0.035点、1~9本の人は0.088点、0本の人は0.178点少なかった。
【まとめ】
歯の喪失と、より高いレベルの機能的能力の低下には関連がある可能性。
<論文要旨>
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.14324/full
やはり、高齢になって歯がたくさん残っていることと、体の機能が維持されていることには関連があるんですね
高齢になって歯をたくさん残すには、若いうちから歯を残す努力をしないといけません。
歯の喪失の大きな原因は歯周病や虫歯などですが、それらを予防して歯や歯茎を健康に保つためには「健康的な食生活」、「家庭での口腔内の健康管理(ブラッシングなど)」「歯科医院でのメンテナンス」などが重要です
歯や歯茎の健康と聞いて食生活(栄養)が思い浮かぶ方は少ないと思いますが、歯や歯茎も体の一部であり、体は自分が食べた物からできています。
歯や歯茎に良い栄養素は、タンパク質、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ベータカロテン(ビタミンA)、ビタミンK、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅など実に様々です。
ブラッシングや歯医者さんに通うことも大切ですが、是非、バランスのとれた健康的な食事も心掛けてみてください
(さ)
<参考>
・リンク・デ・ダイエット(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=56338&-lay=lay&-Find)