高血圧で薬を飲んでいるという方や、血圧を下げる作用のある栄養素を含むサプリメントを飲まれている方は多いですね
血圧を下げる栄養素には、ビタミンC、マグネシウム、オメガ3系脂肪酸(魚油、α-リノレン酸)、コエンザイムQ10など色々ありますが、その中でも今回は「マグネシウムの血圧低下作用」について調べている論文をご紹介いたします
●マグネシウムで高血圧症を予防
「マグネシウムの補給が血圧の維持に有効な可能性がある」という内容の、アメリカにあるインディアナ大学の研究者らによる報告です
【目的】
マグネシウムは私たちが生きる上で欠かせないミネラルであり、高血圧症の一次予防として健康効果が期待されている。
しかし、マグネシウムの血圧低下作用効果については個々の試験で結果が一貫していない。
そこで、経口的にマグネシウムを摂取した場合の血圧に対する効果と、血清マグネシウム濃度の上昇との関連についてメタ解析を用いて調べる。
【方法】
2016年2月1日までに公開された正常血圧と高血圧の大人にマグネシウムを補給した試験を検索。
2028名の参加者を含む34の試験を対象に、メタ解析を行った。
【結果】
・マグネシウム製剤(種類)や摂取量は試験によって異なり、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウムなどから238~960㎎/日で摂取していた。
・368mg/日のマグネシウムを3カ月摂取すると、全体で収縮期血圧が2mm/Hg、拡張期血圧が1.78mm/Hg低下した。
・血清マグネシウム濃度は200㎎/日の摂取か1か月以上の摂取で有意に上昇した。
・血清マグネシウム濃度の上昇と血圧低下の程度には正の相関があり、平均して、血清マグネシウムが0.1mmol/L 増加につき2.26㎜/Hg 減少した。
【まとめ】
成人がマグネシウムを摂ることで高血圧症の一次予防となる可能性がある。
マグネシウムで血圧が下がることは有名ですが、どのくらいの量を摂ったらよいのかということはあまり明確ではありませんでした
今後、どの程度マグネシウムを補給したらよいかの参考になりますね
なお、368㎎というマグネシウムの量は日本人の食事摂取基準と比較すると多くの年代で推奨量よりも多いです
例)18~29歳の推奨量
・男性:340㎎
・女性:270㎎
また、日本人の場合は特に成人の摂取量は推奨量に満たしておらず、とても不足しています
マグネシウムを多く含む食品には以下のようなものがありますので、こういった食材を食事に取り入れつつ、難しい場合にはサプリメントの活用もひとつの手です
●マグネシウムを多く含む食品(368㎎摂るために必要な量)
・あおさ(素干し) …11.5g(お吸い物 約4人分)
・乾燥わかめ(素干し) …33.5g(味噌汁 約33.5人分)
・ほしひじき(乾) …57.5g(ひじきの煮物 約7人分)
・アーモンド(乾) …126.9g(約4握り)
・きなこ(全粒黄大豆) …141.5g(約大さじ20杯)
・あさり(生) …368g(クラムチャウダー 約18.5杯)
(さ)
<参考>
・日本食品標準成分表2015年版(7訂)
・グラムの分かる写真館(http://www.eiyoukeisan.com/)
・理研ビタミン株式会社サイト(https://sozairyoku.jp/%E5%AE%9A%E7%95%AA%EF%BC%81%E5%A4%A7%E6%A0%B9%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%81%E3%81%AE%E3%81%BF%E3%81%9D%E6%B1%81)
・一品料理500選 治療食への展開 第2版(医歯薬出版株式会社)