食べて元気に!フレイル予防 ②


前回は「食べて元気に!フレイル予防 ①」として、身体の状態把握についてご紹介しました。
今回はフレイル予防の3つの柱の1つである栄養について「食事のポイント」を中心にお伝えします📢✨

フレイル予防の3つのポイント

フレイルは、日々の習慣と結びついています。

栄養不足、運動不足、不健康な環境、免疫の低下、外傷、疾病や薬剤の影響などがある場合、これらの間で悪循環が形成されリスクを増大させてしまうことがあります。
このような悪循環を「フレイルサイクル」といいます。

この場合、栄養摂取の方法・身体活動・社会参加を見直すことで回復を目指します。

食事の改善

バランスのとれた食事

POINT
① 1日3食決まった時間に食べ、欠食しないようにする
② 1日2回以上、主食・主菜・副菜を組み合わせる
③ いろいろな食品を組み合わせる

食べやすくする工夫

● 煮る・蒸すなどの加熱調理をする
● 切り方を工夫する(野菜は繊維を断つ)
● 適度な水分を加える(お粥 など)
● つなぎをいれてみる(卵、小麦粉、片栗粉、マヨネーズ、ゼラチン、じゃがいものすりおろし など)
● とろみをつけてみる(片栗粉でとろみづけ)
● 市販品や介護用品を活用する(冷凍食品の裏ごしなど)

食欲がないときは・・・

● 1日3食にこだわらずに回数を増やす
● 主菜(肉、魚、卵、大豆、大豆製品)は必ず1品摂るようにする
● 和食だけでなく、洋食・中華料理なども取り入れ、味つけを工夫する
● ご家族や友人と語らいながら食事するなど、楽しく食べる雰囲気づくりをする
● 料理の温度は、あったかいものや冷たいものと温暖差をつける
 (嚥下反射を刺激し、飲みこみやすくなる)

タンパク質の摂取

毎日の食事で必要なタンパク質はとれているでしょうか?
人間の身体は、約20種類のアミノ酸から構成されるタンパク質でできています。
その中でも、体内で合成できない9種類のアミノ酸は食事から摂取する必要があります。

タンパク質は、筋肉の成長や維持に不可欠な栄養素です。
特に、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つは分岐鎖アミノ酸(BCAA)呼ばれ、筋肉のエネルギー源として重要な役割を担っています。
これらのアミノ酸は、鶏のむね肉やもも肉、まぐろの赤身やかつお、卵、大豆、牛乳などから効率よく摂取することが可能です。

動物性タンパク質の効果

フレイル予防に有効な食事に関する栄養疫学研究によると、生活機能と動物性タンパク質の摂取量に関係性があることがわかっています。

1998年に岩手県大迫町で60歳以上の高齢者2,614名を対象に行われた調査では、7年後の追跡調査(有効回答数 1,007名/79.5%)で「総タンパク質の高摂取、特に動物由来タンパク質の高摂取」は、高次生活機能低下のリスクが低減されたことが明らかとなりました。
一方、植物由来タンパク質の摂取量とは関連がみられませんでした。
この調査により、高齢者に「適切な動物由来たんぱく質の摂取を推奨する」ことが、健康維持に重要である可能性が示唆されました。

たんぱく質摂取と7年後の高次生活機能低下との関連

出典:今井絵理  日本栄養・食糧学会誌 第75巻 第6号285-290(2022)(作者一部改変)

タンパク質をより多く摂りたいときは・・・

普段の食事にタンパク質が豊富に含まれている食品を足したり、変えたりするひと工夫で簡単にたんぱく質を補うことができます。

※より詳しくタンパク質の摂取量を知りたい、食事のことでお困りごとがある場合は、市町村の保健センターなどの管理栄養士にご相談ください☺🍴

骨粗鬆症の予防

骨粗鬆症になると骨折のリスクが高まり、運動機能が低下してフレイルに陥りやすくなります。
また、フレイルになると活動量が減り、骨への刺激が不足することで骨粗鬆症が進行しやすくなります。

骨粗鬆症予防におすすめの栄養素

ビタミンD
ビタミンDは、筋肉と骨の健康を保つために重要な役割を担っています。
一部の魚介類、卵、きのこ等に含まれていて、1日に10~25㎍の摂取が必要といわれています。
食品からの摂取のほか、10~15分の日光浴でも体内でビタミンDを作り出すことができます。

カルシウム
カルシウムは骨の材料となるため、1日650~750mgの摂取が推奨されています。
運動による刺激でも骨は強化されますので、散歩などもおすすめです。

まとめ

今回は、フレイル予防の3つの柱の1つである「栄養」について、食事のポイントをお伝えしました。
日々の食生活を見直し、フレイル予防に繋げていきましょう☺✨

厚生労働省HP「食事施主基準を活用した高齢者のフレイル予防事業」
公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネットHP「フレイルとは」
今井絵理  日本栄養・食糧学会誌 第75巻 第6号285-290 2022

この記事の著者

はっしー

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ブログ・ニュースレター・お問い合わせ担当

ドラッグストアと食品スーパーを展開する企業の販売促進室で管理栄養士&美容アドバイザーに従事。
健康と食をつなぐ情報の発信・社内教育・栄養相談会・美容接客を通じて、体内外へのアプローチを探求。
現在は、中高生3人の母として思春期の食事づくりに奮闘中。

多くの情報があふれる中、みなさまがご自身の健康とQOLの維持・向上のためにより良い「選択」をしていただけるよう、お役に立つ情報を発信していきたいと思っています。

栄養素の成分や働き | 身体の不調やメカニズム 関連記事もご覧ください

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