厚生労働省が発表した2022年の「国民健康・栄養調査」によると、65歳以上の高齢者の低栄養傾向者(BMI≦20kg/㎡)の割合は、男性が12.9%、女性が22.0%にのぼります。
特に85歳以上の高齢者においてはその割合が最も高く、4人に1人が低栄養状態にあるとされています。
このような状況を受けて、フレイルと低栄養予防に対する取り組みへの関心が高まっています。
今回は「フレイルの状態」、次回は「食事のポイント」について、2回にわたってお伝えします📢✨
フレイルとは?
概念
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間の段階を指します。
年齢を重ねていくと、心身や社会性などの面でダメージを受けたときに回復できる力が低下します。
健康な状態から、生活の支援を受けなければならない要介護状態に移行してしまうことがあります。
大事なことは、早めに気づいて適切なケアを行うことです。
そうすればフレイルの進行を防ぎ、健康な状態に戻ることが可能だといわれています。
多面性
身体機能の低下だけでなく、閉じこもりがちになる(社会的)、意欲や認知機能の低下(精神的)など、フレイルは多面的な要素が含まれます。
こんな傾向はありませんか?
① やせてきていませんか?
高齢期のやせは肥満よりも死亡率が高くなります。
65歳を過ぎて病気でもないのにやせてきたら、メタボ予防からフレイル予防への切り替えどきかもしれません。
例)身長166cm、体重56kgの場合、★印の位置になります。
BMI※:21.5kg/㎡未満であるため、フレイルに対して注意が必要です。
出典:厚生労働省「令和元年度 食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業」
↑ BMI:21.5kg/㎡未満に当てはまる方、やせてきた方は特に要注意!
あてはまらなかった方も、年齢とともにフレイルになりやすくなります。
まずは、主治医に相談しましょう。
※【BMIの算出方法】
BMI = 体重(kg)÷ {身長(m)× 身長(m)}
〈 身長165cmで体重60kgの場合〉 体重60kg÷{ 1.65(m)×1.65(m)} = 22kg/㎡
② 最近の状態はいかがですか?
すべての回答が左側の結果になるように、定期的にチェックしましょう。
出典:厚生労働省「令和元年度 食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業」
この他にも、握力の低下(<男性:26kg、<女性:18kg)などもフレイルの指標の1つとなります。
フレイル状態になると…
フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が懸念されます。
また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になってしまいます。
例えば、健康な人が風邪をひいても、身体のだるさや発熱を自覚するものの数日すれば治ります。
しかし、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、だるさのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。
また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、感情をコントロールできなくなることもあります。
転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうこともあります。
まとめ
フレイルの兆候に家族や医療従事者が適切に対応することで、健康に近い状態へと改善したり、要介護状態になるリスクを減らすことができます。
以下の内容は、日常で意識しやすいチェックポイントです🧐✨
① 横断歩道を渡るのに難渋することがある
② ペットボトルが開けにくい、牛乳パックが開けられない
③ 疲れた顔をしている
④ 家の中にいて体を動かさない
⑤ 痩せてきた
日頃からご自身や身近な高齢者に意識を向けて、早期予防の介入を行うことが重要です🍀
次回は「フレイル予防のためにできること」について、詳しくお伝えします📢✨
はっしー
管理栄養士