2024年3月、厚生労働省が『 日本人の食事摂取基準(2025年版)』(案)について取りまとめました。
くわしくはこちら:『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会 報告書(案)』
(『微量ミネラル ①鉄 Fe』 P309~320に掲載 )
さまざまな変更点が散見される中で、
・フェリチン値が鉄の栄養状態を評価する指標として推奨されている
・鉄の耐容上限量がなくなった …など
当社では、『鉄における考え方の変化』に注目が集まりました🧐✨
まだ、正式改訂はされてはいない段階ですが、速報📢✨としてご紹介します。
◆ 鉄・フェリチン値の詳しい情報はこちら ◆
ヘルシーパス ブログ:あなたは大丈夫?『隠れ貧血』①~潜在性鉄欠乏~
『隠れ貧血』②~鉄の代謝~
『隠れ貧血』➂~鉄不足の原因と対策~
目次
『鉄(Fe)』に関する基本的な考え方の変化
【 概要 】
■ 鉄の栄養状態をみる指標として『フェリチン値』を推奨
■ 鉄を排泄する能動的な経路は存在しない、恒常性は鉄吸収の調節によって維持される
■ 非ヘム鉄は、体内の鉄充足の状態によって『吸収率』が変わる
■ 月経に伴う鉄損失を『過小・過多月経』を除いた、より有用なデータで評価
■ 『耐容上限量』を全年齢で撤廃
■ 機能・消化・吸収・代謝
● 鉄の栄養状態をみる指標として『フェリチン値』を推奨
● 鉄を排泄する能動的な経路は存在しない、恒常性は鉄吸収の調節によって維持される
■ 吸収率
● 非ヘム鉄は、体内の鉄充足の状態によって『吸収率』が変わる
■ 月経に伴う鉄損失
● 月経に伴う鉄損失を『過小・過多月経』を除いた、より有用なデータで評価
■ 耐容上限量
● 『ヘプシジン』による調節によって鉄の吸収量は正常な範囲に維持される
● 食事鉄による鉄過剰障害のリスクは無視できるとされている
● 遺伝的な素因がなく、アルコール多飲でもない健常者には、食事等からの鉄の過剰摂取が胃腸症状以外の健康障害を引き起こす証拠は見当たらない。
● 胃腸症状以外の鉄過剰障害を予防するための耐容上限量の設定は見合わせる
● 推奨量を超えて鉄を摂取しても、貧血の予防にはつながらない
● 長期にわたる鉄サプリメント利用や食事からの過剰な鉄摂取が、臓器への鉄蓄積を介して、健康障害を起こす可能性は否定できない
● 推奨量を大きく超える鉄の摂取は、貧血の治療等を目的とした場合を除き控えるべき
■ 生活習慣病等の発症予防
● 慢性的な鉄欠乏が骨粗鬆症のリスクを高める可能性がある
● 総体的な鉄貯蔵量の増加が骨量減少を加速させる危険因子となる
● 高齢女性では、鉄サプリメントの使用者では全死亡率が上昇することが認められている
● 鉄が充足している人が、食事摂取に加えてサプリメント等から鉄を継続摂取することは控えるべき
■ 活用にあたっての留意事項
● 母乳中の鉄濃度が低いことから、6~11か月児は母乳以外からの鉄摂取が必要
● 栄養状態が悪いの場合の吸収率は、非ヘム鉄がヘム鉄を上回ると考えれられる
● 非ヘム鉄である植物性食品も積極的に利用すべき
● 推奨量を大きく超える鉄の補給は、健康障害を生じる可能性がある(貧血等の治療の場合を除く)
● 鉄欠乏でない人が鉄の摂取量を増やしても貧血の予防にはならない
● 鉄欠乏・鉄欠乏性貧血の鉄補給は必要だが、医師の指示に従って実施するもの
(個人の判断で、サプリメント等を用いた鉄補給は控えるべき)
まとめ
日本人の食事摂取基準において、鉄の栄養状態を評価する指標として『フェリチン値』の測定を推奨していることは、臨床現場に大きな変化をもたらす可能性があります。
また、鉄が充足している場合、自己判断による予防目的の摂取には注意喚起が繰り返されています。
『医師の診断と経過観察の重要性』の認識が、より一層高まるのではないでしょうか。
今後の展開にも注目していきます🧐✨
はっしー
管理栄養士