健康のためにオメガ3系脂肪酸が多く含まれる亜麻仁油やえごま油(しそ油)、魚油などを積極的に摂っている方も多くいらっしゃいます💡
しかし、オメガ3系脂肪酸は不飽和脂肪酸であり、とても酸化しやすいという欠点があります。
今回は、「脂質の酸化」についてまとめたいと思います。
オメガ3系脂肪酸とは?
脂肪酸は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3種類の原子で構成され、炭素原子が鎖状につながった一方の端にカルボキシル基(-COOH)がついています。
炭素の数や炭素と炭素のつながり方などの構造の違いによって様々な種類があり、大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。
そして、不飽和脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」の二つに分けられます。
オメガ3系脂肪酸は多価脂肪酸の仲間であり、脂肪酸のカルボキシル基がついていない方[メチル基(-CH3)末端]から数えて3個めの炭素に2重結合がある脂質です。
n-3系脂肪酸とも呼ばれ、α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などがあります。
油の酸化
えごま油はα-リノレン酸を多く含む油として有名ですが、「酸化安定性が低く、他の食用植物油脂よりも早く劣化する」事が分かっています。
脂質の酸化が進んでいく流れは以下の通りです。
体の酸化は様々な疾病やがん、老化などと深くかかわっていると言われています。
酸化反応は連鎖的に進行していくため、酸化反応から体を守るためにはビタミンEやビタミンC、グルタチオン、セレンなどの抗酸化栄養素が重要となります💡
酸化した油の危険性
食品中で酸化してしまった脂質(過酸化脂質)を摂っても、大部分は消化管で分解されたり還元されるため毒性が弱められます。
しかし、その摂取量が多くなると一部が体内に吸収されて、体の酸化につながってしまいます。また、大量の過酸化脂質の摂取によって腸管を傷つけたり下痢を引き起こしてしまう事があります。
食品中だけでなく、私たちの体内でも脂質の酸化は起こります。体の中にある脂質には、リン脂質やコレステロールなどがあり、生体膜を構成するリン脂質の酸化は細胞の障害と密接に関わっています。
例えば、人の血漿中にあるLDLの表面はホスファチジルコリン(リン脂質)で覆われています。
※一般的にいうLDLコレステロールとは、LDL中に含まれる遊離コレステロールとコレステロールエステルのことです。
ホスファチジルコリンを構成する脂肪酸はパルミチン酸(飽和脂肪酸)の他、リノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸が多く、こういった脂肪酸は血管内皮細胞において酸化されてしまいます。
酸化されたLDLは悪玉LDLとも呼ばれ、動脈硬化やひいては心筋梗塞や脳梗塞、認知症などにもつながってしまう可能性があります。
まとめ
いかがでしょうか?
脂質の酸化って怖いですね😣
えごま油や亜麻仁油はビンに入っていることが多いと思いますので、開封したら早目に使い切るようにして酸化を予防しましょう。
また、魚に含まれるEPAやDHAも酸化されやすいため、長期の冷凍保存や干物ばかり食べることは避けるのがお勧めです。
健康な毎日を過ごすために、酸化した油の摂取を控え、体の中での酸化反応を抑えるようなビタミンE、ビタミンC、グルタチオン、セレンなどの栄養素の摂取を心掛けたいですね😀
なお、酸化した油から体を守る方法もご紹介しております。
(さ)
北陸地域アイソトープ研究会誌 第4号 2002 年 「電子スピン共鳴(ESR)で生体を探る」
国民生活センター サイト(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160128_1.pdf)
科学技術振興機構 サイト(http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/report/heisei20/pdf/pdf18/18-007.pdf)
国立病院臨床検査技師協会 サイト(http://kokurinkyo.jp/top/75-5.pdf)
イラストレイテッド ハーパー・生化学 [原書29版]
岐阜大学 サイト(http://www1.gifu-u.ac.jp/~shokko/foodchem.html)
農化 第48巻,第5号,p.319~323,1974
脂質栄養と健康(建帛社)
ネスレ Nutrition Reviews September, 2007「過酸化脂質と生活習慣病」(http://www.nncj.nestle.co.jp/asset-library/documents/04-%E5%AE%AE%E6%BE%A4.pdf)
星薬科大学 サイト(http://polaris.hoshi.ac.jp/openresearch/huyperdipidemia.html)