前回のブログ「ワクチンって何?」ではインフルエンザワクチンを中心にワクチンについて簡単にまとめました
ワクチンによって感染症の予防や重症化を抑えることができるのは、主にBリンパ球(B細胞)が関わっています
以前のブログ「免疫にかかわる細胞などのまとめ」でB細胞を含む免疫について触れていますが、今回は「インフルエンザとB細胞」と題して、B細胞に着目して簡単にまとめたいと思います
●B細胞ができるまで
B細胞は骨髄で生まれるため、骨(Bone)の頭文字「B」をとってB細胞という名前になったそうです
造血幹細胞から成熟B細胞になって働くまでの流れは以下の通りです
<B細胞ができてから働くまで>
造血幹細胞
pro(プロ)B細胞
Pre(プレ)B細胞
未熟B細胞(膜上抗体:IgM)
成熟ナイーブB細胞(膜上抗体:IgM、IgD)
メモリーB細胞(膜上抗体:IgM、IgG、IgE、IgA)
抗体産生細胞(分泌抗体:IgM、IgG、IgE、IgA)
骨髄内で未熟B細胞まで分化し、未熟B細胞は血液中に出てリンパ節や脾臓に移動します。
リンパ節や脾臓で未熟B細胞は成熟ナイーブB細胞となり、ウイルスなどの抗原に出会うとヘルパーT細胞に元気づけられて抗体を産生する抗体産生細胞やその抗原を記憶するメモリーB細胞に変化します。
例えば、ウイルスや細菌の場合にはIgG抗体が、花粉症などのアレルギーはIgE抗体が産生されます。
●B細胞の働き
インフルエンザウイルスを例にB細胞の働きをまとめます
①ウイルスが体内に入ると貪食細胞(樹状細胞、マクロファージなど)がウイルスを食べ(貪食し)、ナイーブT細胞に教える(抗原提示)。
②ナイーブT細胞は1型ヘルパーT細胞になってサイトカインと呼ばれる物質を放出する。
※成熟ナイーブB細胞が1型ヘルパーT細胞に直接抗原提示することもある。
③サイトカインによってナイーブB細胞が増殖して抗体産生細胞になり、抗体を産生してウイルス(抗原)に対抗する。
一部はメモリーB細胞になり、抗原を記憶し、次に同じウイルスが体内に侵入してきたときにすぐに抗体を産生できるようにする。
ナイーブB細胞からできる抗体産生細胞は、あらゆる抗原に対抗できるようになっていますがその働きは弱いと言われています
つまり、誰でも感染する前からどんなインフルエンザウイルスに対する抗体を持っているのですが、力の弱い抗体であるために、免疫力がつく前に病気になることが多いのです
一方、ウイルス感染後にできたメモリーB細胞から作られる抗体は働きが強いため、一度インフルエンザに感染したらそのインフルエンザにはかからなく(かかりにくく)なるのです
インフルエンザワクチンの場合には、感染力のない抗原を体内に強制的に入れるため、インフルエンザに感染することなくメモリーB細胞に抗原が記憶されます。
そのため、ワクチンを打つことでインフルエンザの予防や重症化を防ぐことができると言われています
インフルエンザワクチンは、その年に流行ると予想されるインフルエンザウイルスに対して作られています。
しかし、インフルエンザウイルスの種類は膨大にあるため、ワクチンを打った(予防接種をした)からといって必ず予防できるわけではありません。
ワクチンに頼るのもいいと思いますが、まずはインフルエンザウイルスに負けない体を作りたいものです
インフルエンザ対策としてお勧めな栄養素は、ビタミンD、ビタミンC、ビフィズス菌などがあります。
栄養素補給以外では、紫外線を浴びる、腸内環境を整えることも良いと思います
今年の冬は免疫力を高め、インフルエンザを発症しないよう頑張りましょう
(さ)
<参考>
・国立研究開発法人 科学技術振興機構HP(http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130712/)
・宮崎大学医学部・大学院看護学研究科HP(http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/community-medicine/child/immune/immune_6_2.htm)
・東京理科大学HP(http://www.rs.noda.tus.ac.jp/~ribsjm/kitamuralab/Bcell.html)