そろそろインフルエンザが流行り始めてきているようですね。
インフルエンザ対策としてワクチンを打つ方もいらっしゃるかと思いますが、そもそもワクチンとは何かご存知でしょうか
今回は「ワクチンとは何か?」について簡単にまとめたいと思います
●免疫について
免疫とは、私たちの体内に侵入してきた”異物”あるいは”非自己(病原微生物など)”の物質に対する「認識」と「排除」です。
この能力は、以下の2つに大別されます
【自然免疫】
生まれつき不変に備わっている。
マクロファージ、白血球(主に好中球)、ナチュラルキラー細胞など様々な細胞が関わっている。
【獲得免疫】
後天的に異物や非自己の刺激に応じて形成される。
Bリンパ球(B細胞)とTリンパ球(T細胞)が関わっている。
●ワクチンとは?
感染症の原因となる細菌やウイルスの病原性を弱めたり、それらの毒素を無毒化した感染症の予防接種に使用する薬液のことです。
ワクチン(vaccine)という名前は、「牛」を意味するラテン語(vacca)に由来します
18世紀の終わりに世界で初めて開発されたワクチンは、牛痘のウイルスを天然痘予防に使用していたため、「ワクチン」と呼ばれるようになったと言われています。
病原体の毒性を弱めた「生ワクチン」、原因菌を不活化して(殺した)無毒化した「不活化ワクチン」、強い毒素を産生する細菌の毒素だけを取り出して無毒化した「トキソイド」があります。
・生ワクチン
麻しん(はしか)や風しん(三日ばしか)のワクチン、結核のBCG など
・不活化ワクチン
ポリオ、日本脳炎、百日せき、肺炎球菌、インフルエンザ など
・トキソイド
ジフテリア、破傷風
ワクチンに入っている抗原をT細胞(ヘルパーT細胞)が認識すると、B細胞へ情報を伝え、B細胞が抗原に対応する抗体を作るとともにその抗原を記憶します。
この獲得免疫によって、感染症の予防や重症化を防ぐことができます
●インフルエンザワクチンの作られ方
ワクチンの種類によって製造方法は異なりますが、以下にインフルエンザワクチンができるまでを簡単にまとめます
<インフルエンザワクチンができるまで>
①鶏の受精卵(孵化鶏卵)を37℃にあたため、発育中の状態にする。
②卵を消毒し、注射針が通るくらいの小さな穴を開ける。
③穴からインフルエンザウイルスを注射し、穴をふさいでヒヨコをインフルエンザウイルスに感染させる(ウイルスを増やす)。
④2日後に、卵の中のヒヨコのおしっこであるしょう尿液にたまったウイルス液を集める。
⑤ウイルス液を精製・凝縮して感染性をなくし(不活化)、ワクチンの出来上がり。
卵1~2個で大人1分のインフルエンザワクチンが入手できるそうです。
※原料に卵を使用しているため、卵アレルギーのある方はインフルエンザワクチンの接種に注意が必要です。
●予防接種のメリット・デメリット
【メリット】
実際には病気にかからなくてもその病気への免疫ができ、病原体が体内に侵入しても発症を予防したり症状を軽度ですませたりすることができる。
※実際に病気にかかって免疫を獲得する場合には、重症化や、他人にも感染させてしまう危険がある
【デメリット】
副反応(副作用)がある。
・不活化ワクチンによる場合
局所反応:注射部位が赤くなったり、硬くなったり、痛みが現れたりする。
全身反応:アナフィラキシーショック、じんましんなどのアレルギー反応、発熱及びそれに伴う熱性けいれん,脳症など。
※不活化ワクチンによる全身反応は注射直後から24時間以内、遅くとも48時間以内に発現する。
・生ワクチンによる場合
弱毒したウイルスによる感染症状を呈する。
例)麻しんワクチンによる発熱や麻しんのような発しんが出る。
ワクチン接種(予防接種)は賛否両論あります。
日本での予防接種は「努力義務」なので、受けるか受けないかを決めるのは、最終的に自分自身または保護者です。
「周りの人が受けているから子どもや自分も受けておこうかな」ではなく、予防接種におけるメリットデメリットを把握した上で受けるかうけないかを判断するのがお勧めです
(さ)
<参考>
・厚生労働省HP
・http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/qa.html)
・http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/guideline/1.html
・イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版
・ファイザー㈱HP(http://otona-haienkyukin.jp/vaccine/)
・ジャパンワクチン㈱HP
・http://lovesbaby.jp/vaccine/about/what.html
・http://lovesbaby.jp/vaccine/about/types.html
・国立研究開発法人 科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター メディアグループHP(http://sciencewindow.jst.go.jp/html/sw54/sr-katakana)
・JAグループ 福岡HP(http://ja-gp-fukuoka.jp/education/akiba-hakase/004/index.html)