水分補給と健康


人間のからだの60%は水分でできているといわれており、年齢とともに変化します。
水分は欠くことのできない存在ですが、摂取量が不十分であると不調を引き起こしてしまいます。
今回は「水分の役割と健康」について紹介します🥤

体内を循環する水分の役割

口から入った水分の大部分は小腸と大腸の粘膜から体内に取り込まれ、主に脳、腸、腎臓、筋肉、肝臓などの臓器・組織中に多く含有されています。
水分量は年齢とともに変化し、新生児で体内の水分が約75%と多いですが、年齢を重ねるとともに実質細胞数が減るため、高齢者は約50%ぐらいになるといわれています。

水分は体内でさまざまな役割を果たしていますが、その中でも重要なのが血液やリンパ液としての物質の運搬です。
血液やリンパ液の主成分は水分であり、栄養素や酸素を届け、老廃物は尿として体外へ排出する働きを持っています。
また、暑いときには汗として水分を蒸発させることで体温を調整するため、水分は私たちのからだにとって非常に重要な存在なのです😄✨

水の1日の摂取量の基準とは

成人男性が比較的安静にしていた時の人体の水分量は、以下のイラストのとおりです。

栄養素のように水分に関して摂取量は設定されていませんが、一般的に生命を維持のために必要とする水分は、約2.5ℓと言われています☝
しかし、夏の暑い時期や運動後など、発汗量が通常より多い場合は2.5ℓ以上摂取する必要があるかもしれません。

また、最近はサウナや岩盤浴など汗をかく趣味も増えています。
のどの渇きは脱水が始まっている証拠です。
渇きを感じてからではなく、渇きを感じる前に水分を補給するようにしましょう🥤😄

水分を飲まないとどうなる?

ヒトのからだは食べ物がなくても、水さえあれば3週間程度生きることができます
理由としては、食べ物からのエネルギーが得られなくなると、皮下脂肪をエネルギーに変えるように働くからです。
しかし、水が1滴も飲めないと、2~3日で生命維持は困難となります。

主な症状としては、1%の損失でのどの渇き、2%の損失ではめまいや吐き気、食欲減退などが現れます。
そして10~12%の損失では筋けいれん、失神、20%の損失では生命の危機になり、死に至ってしまいます💦

脱水による健康障害や重大な事故などを防ぐためにも、こまめな水分補給が重要です🧐

水の健康効果

水分の補給は生命維持に重要ですが、健康効果も期待できると言われています。

ダイエット効果

肥満と診断された成人84名を対象に、水を飲む群(食事の30分前に500mℓ摂取)と、想像群(食事前にお腹がいっぱいであることを想像する)に分けて、12週間の追跡調査時の体重変化を観察しました。
結果、水を飲む群で想像群よりも1.3 kg体重が減少し、さらに1日の主要な食事3回すべての前に水を摂取した人は、12週間で4.3kg体重減少の報告がありました。
※食べる直前に水を飲むと、消化液が薄められ、食べ物が消化・吸収されるのを妨げてしまうので、30分前までに水を飲むことが必要
Helen M. Parretti et al.;The Obesity Society Volume23, Issue9 September 2015 P 1785-1791

血圧改善

50歳~75歳の健常な日本人男女60名を対象として、起床後と就寝前2時間以内の習慣的な水分摂取による健康増進効果について介入群と対照群に分け比較しました。
介入群には、普段の生活に加えて、12週間水550mℓを1日2回(1,100mℓ)摂取し、対照群には普段通りの生活を12週間送りました。
結果、下の血圧と言われる拡張期血圧(DBP)には変化はありませんでしたが、上の血圧と言われる収縮期血圧(SBP)が、研究開始から終了まで、経時的に低下しました。

血圧の変化

また、血圧の低下以外にも、体温上昇もしくは体温低下抑制、腎機能低下抑制、血中老廃物希釈への効果があることを確認しました。
中村ゆみet al.;Nutrients 2020, 12(4), 1191

美肌効果

肌の水分量が低下するとバリア機能が低下し、乾燥や肌荒れなど、様々な肌トラブルを招くため、水分量は美肌を保つことに必要な要因です!
肌は表面から水分を補給しても、隅々までは届かないため、水を飲むことで内側からも補給するようにしましょう。
また、水分を補うことで肌の新陳代謝が改善され、シミやしわ、くすみ対策にもなるようです☺✨

腸内環境改善効果

便秘症状を有する成人ボランティアの、便を6ヶ月間(1-2回/月)採取し、飲水量を1,500-2,000 ml/日とする介入を1週間行い、その間の糞便を採取しました。
その結果、飲水量を増加することにより 、内細菌叢の構成に変化が見られ、排便回数と量は増加し、便性状も改善しました。
山加奈第 12 回大阪市立大学大学院看護学研究 2015.9.26, 大阪市立大学

まとめ

水のエネルギー量は0kcalですが、からだにとって非常に重要な役割を果たしています♪

通常の飲水量であれば問題ないといわれてますが、摂り過ぎは水中毒(希釈性低ナトリウム血症)になる可能性があります。
水中毒では、水分を腎臓で処理しきれなくなり、電解質のバランスが乱れ、疲労感や頭痛、意識障害につながる場合があるため、摂り過ぎには注意してください😌🍀

 

厚生労働省HP

公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット

全薬グループHP

西条市HP

北海道薬剤師会

この記事の著者

ゆーみん

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ためになる栄養講座・ブログ・お問い合わせ担当

自分自身のアレルギーと偏食がきっかけで管理栄養士を志向。大学卒業後は給食委託会社に就職し介護食からスポーツ栄養まで幅広い食に従事。

読んでいただいた皆さんに「ためになった」「面白かった」と思っていただけるようなブログづくりを心掛けています。

自己紹介ブログ ⇒ 新しいメンバーの自己紹介(管理栄養士:荒木)

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