女性の更年期障害とセルフケア


更年期は不定愁訴が起こりやすく、症状が重い場合は「更年期障害」と診断されることもあります💦
以前、男性更年期についてまとめましたが、今回は「女性の更年期障害とセルフケア」について紹介します!

更年期障害の原因

閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間を「更年期」といいます。
更年期に現れるさまざまな不調の中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。

主な原因は、性ホルモン(エストロゲン)分泌量の低下といわれていますが、加齢や性格、人間関係などが複合的に関与することでも発症すると考えられています。

エストロゲンは、妊娠の準備や女性らしいからだつきにするために必要なホルモンですが、
そのほかにも、自律神経の安定や骨密度の増加、コレステロールのコントロールなどさまざまな働きをしています!

エストロゲンの分泌量を一定に保てなくなることで、全身にさまざまな症状がみられ、自分の意志でコントロールすることが難しくなります

更年期障害の症状

更年期障害の症状は大きく3種類に分けられます。

①血管の拡張と放熱に関係する症状

ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など

②そのほかのさまざまな身体症状

めまい、動悸、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさなど

③精神症状

気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など

更年期障害の症状はさまざまです。
また、エストロゲンの影響により骨粗しょう症や脂質異常症などの疾患につながる可能性もあります😨💦

更年期障害のセルフケアの方法

更年期セルフケアの基本は、運動、食事、休養の3つです。
更年期障害は、生活習慣を改善することで、体調をよくすることが可能だと考えられています!

運動

更年期の女性(40~61歳)40名を対象に、3週間のストレッチプログラム(就寝前の10分間のストレッチ)を実施していただき、更年期症状および抑うつ症状へ与える影響について検討したところ、ストレッチ群における血管運動神経系症状、精神神経系症状、運動神経系症状、簡略更年期指数の合計得点、および自記式抑うつ評価尺度得点がコントロール群と比較して有意に低下したことを確認しました。
甲斐裕子et al.;体力研究 BULLETIN OF THE PHYSICAL FITNESS RESEARCH INSTITUTENo.118 pp.18~26 Apr., 2020
ウォーキングや筋トレに比べ簡単にできるため、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

食事

更年期障害は、やはり「バランスのよい食事」が一番肝心ですが、栄養素の中には更年期障害の症状緩和に役立つものもあるため、いくつか紹介します。

たんぱく質

筋肉や血管、骨、酵素、ホルモンなど、からだを構成する重要な栄養素です。
特に、更年期の女性は、筋肉が落ち、骨密度が低下しやすくなるため、疲れやすくなったり骨粗鬆症やケガのリスクが高くなるため、積極的に摂取していただきたい栄養素のひとつです。

ビタミンD

ビタミンD補給をしていない閉経後の女性463名を対象に、臨床および人体測定データを収集しました。
(臨床および人体測定データ:総コレステロール (TC)、HDL、LDL、トリグリセリド、グルコース、インスリン、血中ビタミンD濃度)
結果、血中ビタミンD濃度が低い女性は、TC、トリグリセリド、インスリンレベルが高いことがわかっており、閉経後の女性におけるビタミンD欠乏は、メタボリックシンドロームの有病率が高いことと関連していた。
Eneida Boteon Schmittet al.;Maturitas. 2018 Jan;107:97-102.

カルシウム

閉経前の女性を対象とした33の横断研究を解析したところ、カルシウム摂取量と骨密度には、有意な相関が認められています。
白人閉経後女性におけるカルシウム摂取量と大腿骨頚部骨折の関係に関する系統的レビューによると、カルシウム摂取量が1日あたり300mg増えると骨折の相対危険率が4%低下するようです。
石見佳子 化学と生物 Vol.46,No.12,2008, 872-878
日本では、骨粗しょう症治療のための1日のカルシウム摂取量は700~800mg以上であるとされていますが、令和元年国民健康・栄養調査の結果と比較すると、どの年代の女性においてもカルシウムが不足していることがわかります。
更年期になってから、慌ててカルシウム摂取を心掛けることは難しいため、早い段階からカルシウムを積極的に摂取することが重要です!

大豆イソフラボン

女性ホルモンに似た作用をもつフラボノイドで、更年期障害や骨粗しょう症、乳がん、動脈硬化などの予防効果があると言われています。

血管の拡張と放熱に関係する症状でお悩みの女性80名を対象に、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施し、
参加者を大豆イソフラボン(100㎎/日)摂取群とプラセボ群に分け比較したところ、ほてりの頻度が大豆イソフラボン群で大幅に減少しました。
また、更年期障害の程度をはかるクッパーマン指数の平均値でも有意な減少を示しました。
(Eliana A P Nahas et al.;Maturitas. 2007 Nov 20;58(3):249-58.)

ピクノジェノール®

閉経前後の女性200名を対象に、プラセボ群とピクノジェノール®摂取群(200mg/日)に分け、更年期症状について二重盲検プラセボ対照研究を行いました。(更年期症状は、女性の健康質問票 (WHQ) によって評価)
ピクノジェノール®を継続して摂取することで、症状が徐々に改善されました。

また、ピクノジェノール®は抗酸化作用の強い栄養素でもあります。
単体で摂取するよりも、バランスよくいろんな抗酸化作用の強い栄養素を摂ることで相乗効果が期待できます!

休養(睡眠)

自律神経が乱れるため、睡眠不足になる方も多いといわれています。
寝付きにくい時は就寝時間にこだわらなくてもよいですが、以下のことに心掛けてみてはいかがでしょうか?

・朝は同じ時刻に起きる
・太陽の光を浴びる
・就寝前は、アルコール類、カフェイン類、タバコ類などの刺激物を避ける など

まとめ

厚生労働省が行った、「更年期症状・障害に関する意識調査」によると、更年期女性の約4割が「更年期障害と診断もしくは、更年期障害の可能性がある」ようです。
しかし、症状がひとつでもあると答えた人で、医療機関を受診していない割合は、約8~9割を占めており、家事や介護、社会活動などへの影響が、あると答えた人は約3割でした。
「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果(2022 年7月 26 日)

症状には個人差がありますが、当たり前と思わず、生活に支障が出るほどの症状を感じたらすぐ専門医に相談しましょう。

 

公益財団法人日本産科婦人科学会

エンジョイ エイジング 

e-ヘルスネット[情報提供]

働く女性の心とからだの応援サイト

くすりと健康の情報局

日本人の食事摂取基準(2020年版)

骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン 2015年版

ホーファーリサーチ社HP

この記事の著者

ゆーみん

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ためになる栄養講座・ブログ・お問い合わせ担当

自分自身のアレルギーと偏食がきっかけで管理栄養士を志向。大学卒業後は給食委託会社に就職し介護食からスポーツ栄養まで幅広い食に従事。

読んでいただいた皆さんに「ためになった」「面白かった」と思っていただけるようなブログづくりを心掛けています。

自己紹介ブログ ⇒ 新しいメンバーの自己紹介(管理栄養士:荒木)

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