最近その働きに注目が集まっているビタミンD
骨粗鬆症、がん、インフルエンザ、花粉症、糖尿病などの対策としてサプリメントで補給されている方もたくさんいらっしゃいます。
今回は、「ビタミンDと認知症」について調査している論文をご紹介します
ビタミンDの血清中濃度が低いと認知症になりやすい
ビタミンDの欠乏は認知機能低下や認知症と関連している可能性があるという内容の研究報告です
目的
ビタミンDの受容体と血液中のビタミンD(25-OHD)を活性型のビタミンD[1.25-(OH)2D]に変換する酵素は、脳を含む人間のすべての臓器で発現しており、ビタミンDはカルシウム吸収及び骨の健康を促進するだけでなく、すべての臓器に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、認知症や加齢に伴って認知機能が低下した人を含む健康で多様な民族の高齢者のコホート研究において、血清中のビタミンD濃度と認知機能の変化の関係を調べる。
対象
平均年齢75.5歳の382名の高齢者(男性 146名、女性 236名)
・白人:41.4%
・アフリカ系アメリカ人:29.6%
・スペイン系アメリカ人:25.1%
・その他の民族(アジア人、フィリピン人など):3.9%
方法
血清中のビタミンD(25-OHD)濃度を測定し、以下のように4群に分けて追跡調査した。
・<12ng/ml:欠乏
・12~20ng/ml:不足
・20~50ng/ml:適正
・>50ng/ml:高値
結果
・血清中のビタミンD濃度の平均値は19.2 ng/mLで、26.2%の人がビタミンD欠乏、35.1%の人が不足していた。
・アフリカ系アメリカ人とスペイン系アメリカ人は白人と比べると有意に血清中のビタミンD濃度が低かった。
・軽度認知障害と認知正常群と比較して、認知症群では血清中のビタミンD濃度が低い傾向にあった。
・ビタミンD濃度が適正な人と比較し、ビタミンD欠乏と不足の人々でエピソード記憶と実行機能が低下していた。
・5年間の追跡調査の結果、ビタミンDが欠乏している人はビタミンD濃度が適正値の人と比べてエピソード記憶と実行機能の低下率が大きかった。
・認知症の参加者を除いても、血清中のビタミンD濃度と認知機能の低下率との関係には影響はなかった。
まとめ
アフリカ系アメリカ人、スペイン系アメリカ人は血清中のビタミンD濃度が低い人が多く、ビタミンD濃度が低いことは多様な民族の高齢者の認知機能低下と関連している可能性がある。
まとめ
https://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2436596
ビタミンDは紫外線に当たることで皮膚で作ることができますが、仕事などの関係で日光に当たらない生活をしている人、肌の色が濃い人、肥満者、高齢者などでは不足しやすいことが分かっています。
さらに高齢者については、老化によって腎臓や肝臓でのビタミンDを活性化する能力が低下してしまうため、ビタミンDの体内での働きも悪くなってしまいます。
また、特に女性では「日に焼けるのが嫌だ」と日焼け止めを塗ったり防止や手袋などで紫外線を浴びない生活をしている方もいらっしゃるかもしれません
こんな方々には、ビタミンDが多く含まれる食品を積極的に摂るのを勧めします
ビタミンDが多い食品は、しらす干し、イクラ、鮭、サンマなどの魚介類や、乾燥キクラゲ、干ししいたけなどのキノコ類があります。
また、こういった食品を摂るのが難しい場合には、手軽に十分な量のビタミンDを補えるサプリメントを活用するのもお勧めですよ
(さ)
日本食品標準成分表2010