あなたは大丈夫?『隠れ貧血』① ~潜在性鉄欠乏症~


最近、メディアでも『隠れ貧血』というテーマが取り上げられています。
『隠れ貧血』の主役は「貯蔵鉄(フェリチン)」
「貧血じゃないから、関係ない…」と思った、そこのあなた…🧐✨
ヘモグロビン数値が基準内でも、貯蔵鉄が不足していると知らぬ間に不調を抱えていることも…💦
基本的な栄養素でも不足しがちな「鉄のパワー💪✨」について、三部作でご紹介します📢✨

こんな症状はありませんか?

「頭痛、疲れやすい、イライラする」…など、よくある症状で原因が「鉄欠乏」とは気づかないことも…

20%以上の女性が『鉄欠乏性貧血』😰

貧血とは、赤血球に含まれる酸素を運ぶ役割のヘモグロビン量が低下した状態をいいます。
・鉄欠乏性貧血
・巨赤芽球性貧血
・再生不良性貧血
・溶血性貧血
・腎性貧血・・・などの種類があります。
最も多いのは「鉄欠乏性貧血」です。
主な症状は、立ちくらみ、動悸、息切れ、顔色が悪くなる…などが知られています。

近年わが国では、鉄欠乏性貧血の女性が増加の一途をたどっています。
男性は貧血とされるヘモグロビン13g/dl未満のものがわずか1%未満であるのに対し、女性は12g/dl未満のものが20%以上に及んでいます。

◆ 献血者のヘモグロビン分布 ◆

        参照:平成22年度上半期徳島県赤十字血液センター

気づかれにくい😣『潜在性鉄欠乏症(隠れ貧血)』

『隠れ貧血』とは?

『潜在性鉄欠乏症(隠れ貧血)』とは、ヘモグロビン値が正常値でも鉄貯蔵タンパク質の「フェリチン」が不足した状態です。

十二指腸・小腸上部で吸収された鉄は、血液中でトランスフェリンと結合して全身に運搬されます。
体内の鉄の総量は3~4g約70%は赤血球に含まれるヘモグロビン鉄として全身を循環しています。
その他に、肝臓などで貯蔵される貯蔵鉄筋肉・脳・皮膚などに使われる組織鉄などがあります。

◆ 鉄の出納 ◆

鉄の吸収が不足してくると・・・
1⃣ フェリチンの減少
2⃣ 血清鉄の減少
3⃣ ヘモグロビンの減少… の順に減っていきます。

ヘモグロビン鉄を補うために、はじめに貯蔵鉄が放出され不足してしまうのです😫💦
ヘモグロビン鉄が財布の中の金銭ならば、貯蔵鉄フェリチンは銀行口座の預金のような関係です。

貯蔵鉄の不足を知るには?

貯蔵鉄の量は、血液中の血清フェリチン値によって推測することができます。
(一般的な血液検査ではフェリチン値は測定されていないため、医師にご相談ください。)

(感染、炎症、慢性疾患の場合は、血清鉄値が低くても血清フェリチン値が増加することがあります。)

60%以上の女性が「潜在性鉄欠乏」😰

平成15年~21年までは「潜在性鉄欠乏」の指標である「血清フェリチン値」も国民健康・栄養調査報告の対象となっていました。
(平成22年からは調査対象ではなくなり、現在は検査項目にはありません。)

◆ 年代別血中フェリチン低値者の比率 ◆

              参照:平成20年 国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)

20~40歳代の女性では、血清フェリチン値15ng/ml未満(貯蔵鉄の枯渇)、25ng/ml未満(貯蔵鉄の不足)の割合は実に58~62%と、過半数が鉄不足~枯渇状態にあります。

月経がある年代の女性に「貧血ではない鉄欠乏状態」が高頻度に起きているのです😣💦

鉄欠乏になりやすい年代と症状は?

筋肉での不足は「疲れやすさ」
脳での不足は「イライラ」「うつ症状」「不眠」
肌での不足は「肌荒れ」・・・など原因となります

中でも、鉄欠乏になりやすい年代は乳幼児期学童期思春期20~40代女性(妊娠期を含む)です。

 乳幼児期 
生後4~5ヶ月…出生後の急速な身体発育のため、鉄の必要量が多い。
        母親が鉄欠乏状態の場合、母乳栄養児の鉄欠乏にも注意が必要
生後9ヶ月~…母体由来の鉄が枯渇し、離乳食での鉄摂取が不十分な場合、鉄欠乏に陥りやすい
貧血の乳幼児は、言語障害、動作の統制やバランスが悪い、注意力、応答、感情表現の面などへの影響が懸念されています。

 学童期 
学童期の鉄欠乏性貧血は、発達障害、学習障害など精神神経症状に関与するとの報告があります。

 思春期 
身体の急激な発育による鉄需要の増大が主要な要因です。
スポーツによる運動量増大に伴う鉄喪失・循環血漿量の増加・血管内溶血・亜鉛欠乏による「スポーツ貧血」もみられる時期です。
女子では、月経による鉄喪失不適切なダイエットなどによる鉄摂取不足が増加傾向にあります。
不安やうつ、非行行動、攻撃的行動、認知力の低下、学業不振などへの影響が懸念されています。

詳しくは加藤陽子「小児と思春期の鉄欠乏性貧血」
     「母子保健改善のための微量栄養素欠乏に関する援助研究」
     「鉄欠乏によると思われたパニック症の1例」
     須藤紀子「青少年暴力に関連する食生活因子」

※女性の鉄欠乏は『あなたは大丈夫?『隠れ貧血』③ ~鉄欠乏の原因~』にて詳しくお伝えします😊

まとめ

一般的な血液検査ではわからない貯蔵鉄フェリチン値
その不足が、気づかぬうちに不調を引き起こさないよう、ご自身の必要量を摂ることが大切です🍀✨
次回は「あなたは大丈夫?『隠れ貧血』② ~鉄の代謝~」として、実は体内で厳密にコントロールされている鉄の代謝と吸収についてお伝えします📢✨
お楽しみに☺🎵

「最新版 マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ」奥平智之 株式会社主婦の友社
「病気がみえる Vol.5 血液」MEDIC MEDIA
「Newtonライト2.0 人体 健康診断編」株式会社ニュートンプレス
鉄剤の適正使用による 貧血治療指針 改訂[第2版]
日本臨床検査専門医会HP:「血清鉄、総鉄結合能、フェリチンの検査について」
小阪昌明,四国医誌 68巻1,2号 13~18 APRIL25,2012(平24)
小松則夫,日内会誌 104:1361~1366,2015
張替秀郎,日内会誌 104:1383~1388,2015
金森きよ子,生物試料分析 Vol. 38, No2  2015
加藤陽子「小児と思春期の鉄欠乏性貧血」
「母子保健改善のための微量栄養素欠乏に関する援助研究」
「鉄欠乏によると思われたパニック症の1例」
須藤紀子「青少年暴力に関連する食生活因子」

この記事の著者

はっしー

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ブログ・ニュースレター・お問い合わせ担当

ドラッグストアと食品スーパーを展開する企業の販売促進室で管理栄養士&美容アドバイザーに従事。
健康と食をつなぐ情報の発信・社内教育・栄養相談会・美容接客を通じて、体内外へのアプローチを探求。
現在は、中高生3人の母として思春期の食事づくりに奮闘中。

多くの情報があふれる中、みなさまがご自身の健康とQOLの維持・向上のためにより良い「選択」をしていただけるよう、お役に立つ情報を発信していきたいと思っています。

栄養素の成分や働き | 身体の不調やメカニズム 関連記事もご覧ください

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