前回は「免疫にかかわる細胞などの説明」ということで、免疫について説明するときによく出てくる単語についてまとめました
今回は、今の時期悩まれている方が多い「花粉症のメカニズム」についてまとめたいと思います
(単語で分からないものは、前回のブログを参考にしてみてください)
●花粉症とは
春に飛散するスギやヒノキ、シラカバなどの花粉に対するアレルギー反応により目や鼻、のどなどに現れる様々な症状の総称のことです
そのため医学用語としては、花粉症よりもスギやヒノキ、シラカバなどの花粉が原因であるアレルギー性鼻結膜炎の方がより正確です。
●花粉症の原因や症状など
スギ林は日本の国土に占める面積が大きく、花粉症の約70%はスギ花粉が原因だと言われています
北海道にはスギ花粉の飛散量は少ないのですが、その代わりにシラカバ花粉症が問題となっています
ヒノキ花粉症については、現在は、ヒノキ科はまだ幼い林が多いので少なめです。
しかし、スギ花粉症の人はヒノキ花粉にも反応しやすく、将来的には成熟したヒノキが増加してヒノキ花粉の飛散割合が多くなると予想されており、今後はヒノキ花粉にもより注意が必要です
ちなみに、沖縄にはスギは全く生息しないそうです
典型的な症状は、「くしゃみ」、「鼻水」、「鼻づまり」、「目、鼻、のどなどの痒み」などで、これらは典型的は即時型アレルギー反応(アレルゲンを吸い込んでから数分以内に症状が出る)です。
くしゃみや目、鼻などの痒みは、ヒスタミンによる知覚神経の刺激が原因だと言われています。
鼻づまりは、ヒスタミンやサイトカインであるロイコトリエンが鼻粘膜の血管を拡張させて鼻粘膜が腫れること、鼻水は、ヒスタミンによって副交感神経が刺激されて鼻水の分泌腺が収縮することが原因だと考えられています
また、アレルゲン刺激から数時間後にはさらに炎症性物質が分泌されるため、鼻粘膜がもっと腫れて鼻づまりがひどくなります(遅延型アレルギー反応)
●花粉症のメカニズム
スギ花粉の場合を例に説明します
①スギ花粉の抗原が鼻の粘膜内に入ると樹状細胞やマクロファージと出会い、それらからスギ花粉の情報がT細胞に送られます(抗原提示)。
②情報をもらったT細胞はヘルパーT細胞となり、B細胞に情報を伝え、B細胞が花粉にぴったりと合う抗体(スギ特異的IgE抗体)を作り出します。
③スギ特異的IgEがマスト細胞にくっついてスギ花粉に反応するようになり、スギ花粉に反応するとヒスタミンやロイコトリエンなどを分泌します(即時型アレルギー反応)。
④マスト細胞は遊走因子と呼ばれる物質を放出して好酸球や好塩基球などを呼び込み、大量のロイコトリエンを分泌します(遅延型アレルギー反応)。
※ヒスタミンやロイコトリエンは悪者ではありません。
体を守るための防御反応として免疫細胞から放出されているもので、体にとって悪者と判断されてしまった花粉から、一生懸命体を守っているのです
花粉症を治すのはとても難しいですが、炎症を抑えるような栄養素や、腸内環境を整えるような成分、免疫を調節する栄養素などの摂取はとてもお勧めです
花粉症の方は是非、「オメガ3系脂肪酸」や「乳酸菌やビフィズス菌」、「ビタミンD」などを含む食物を試してみてください
・アレルギーは何故起こるか(著:斎藤博久)
さとこママ
管理栄養士