サプリメントのパッケージを見ているとよく目にするのが「乳糖」。
サプリメントを製造する時に乳糖を使用すると、サプリメントを形作りやすくなり、安価に仕上げることが可能です。
しかし、日本人には遺伝的に乳糖に弱い「乳糖不耐症」という病気を持つ方が多いということはご存知でしょうか
今回はこの「乳糖不耐症」についてどんなものなのか簡単に紹介したいと思います
●乳糖不耐症とは?
牛乳を飲んだり、アイスクリームや生クリームなどの乳製品を食べると「お腹がゴロゴロ」する人がいます。
(ヨーグルトやチーズなどの発酵乳では微生物によって乳糖が分解されているため、ほとんど症状が起きないと言われています)
また、ゴロゴロする以外に「お腹が張る」、「気分が悪くなる」、「下痢」など様々な症状が出る場合もあります
これらが乳糖不耐症と呼ばれる病気の症状で、乳にアレルギーがないのに小腸で乳糖分解酵素(ラクターゼ)が十分に作られないために、牛乳や乳製品に含まれる乳糖を消化できないことが原因で起こります
<乳糖(ラクトース)の構造>
牛乳だけでなく母乳中にも乳糖は含まれますが、乳児期はラクターゼが十分に作られて働くために母乳中の乳糖の消化ができます
しかし、ラクターゼの活性は成長するに従って低下するため、成人では乳糖が分解できず乳糖不耐症を引き起こす人が増えてしまうのです。
このことは、ヒトだけでなく多くの哺乳類に共通するそうです
多くの哺乳類は、成長とともにラクターゼの遺伝子のスイッチを切るような仕組みができ、ラクターゼを作らなくなります。
そのため、乳糖不耐症は病気ではなく成長においては正常なことかもしれません
しかし、ヨーロッパなど一部の地域では、成人になってもラクターゼを作り出せる人(ラクターゼの遺伝子のスイッチがオンになったままの人)が多数いらっしゃいます。
この成人になっても乳糖を分解できるタイプは「ラクターゼ持続症」と呼ばれ、遺伝子の変異が関係しています
そして、このような遺伝子の変異は、祖先が牧畜によって乳や乳製品で栄養補給を行うようになったことで起こったと考えられています
●サプリメントと乳糖
ドラッグストアなどで販売されている安価なサプリメントは、乳糖を使用しているものが多く見受けられます
また、安価なサプリメントは配合されている栄養素の量が少ないことが多いため、栄養素よりも添加物である乳糖の方が配合量が多いなんてこともあるのです
乳糖不耐症の人がそういったサプリメントを摂取すると、お腹がゴロゴロしたり下痢をしたりなどの症状が起きてしまうことがあります
ちなみに、当社のサプリメントは栄養成分意外でも少しでも体に良いものを摂取していただきたいと考えており、普通なら乳糖を使用する部分の多くは「結晶セルロース(食物繊維)」を用いています
また、栄養素の配合量が多いので、添加物は必要最低限しか使用していません
※一部、原料由来の乳糖がやむなく配合されている商品があります。
サプリメントを安く仕上げるには断然乳糖の方が良いのですが、乳糖で下痢になってしまい栄養素が吸収されないのではサプリメントの意味がないですからね。
サプリメントを購入する時は、パッケージの原材料を必ずチェックするようにしましょう
(さ)
<参考>
・独立行政法人 国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報のホームページ
・独立行政法人 農畜産業振興機構のホームページ
・イラストレイテッド ハーパー・生化学
・http://humgen.lab.nig.ac.jp/contact.html(国立遺伝学研究所)