[栄養素の説明書⑨]タンパク質の代謝や皮膚の健康を保つビタミン!!ビタミンB₆


前回、[栄養素の説明書⑧]でビオチン(ビタミンB₇)についてご紹介させていただきました📢✨
今回は、同じ水溶性ビタミンの「ビタミンB₆」についてご紹介いたします!

ビタミンB₆の説明書

ビタミンB₆はビタミンB群のひとつで、ピリドキシンとも呼ばれています。
生鮮食品中では、たんぱく質と結合した状態で存在していますが、調理や消化の過程で分解され、最終的にはピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシンとなって体内に吸収されます。
ビタミンB₆は、エネルギー代謝の補酵素として重要なビタミンであり、特にタンパク質の分解を助けるため、摂取量が多い人ほどビタミンB₆の必要量も多くなります
そのほかにも神経伝達物質の合成や皮膚の抵抗力の増進にも関与しています。

ビタミンB₆の体内での働きと効果

体内のホモシステイン代謝

ホモシステインとは、必須アミノ酸であるメチオニンから髪、爪、肌などの材料となるシステインを合成する途中でできる物質のひとつです。
ホモシステインが何らかの影響で代謝できずに体内に溜まると、認知症や動脈硬化などの疾患に関連すると言われています。

体内でホモシステインを代謝する際にビタミンB群が必要と言われていますがその中にビタミンB₆は含まれており、不足するとホモシステインが代謝できなくなり不調や疾患につながります

睡眠の質改善

感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に影響を与えているセロトニンは、薬の影響や栄養不足によって欠乏することで悪夢を見るといわれています。
ビタミンB₆はセロトニンの生成に必要なトリプトファンの代謝に深く関係しているため、ビタミンB₆が欠乏すると悪夢をみやすいと考えられています。

また、ビタミンB₆と夢の記憶について研究が進められており、トラウマや睡眠障害に役立つのではないかといわれています😴✨

月経前症候群の改善

月経前、3〜10日の間続く精神的あるいは身体的症状を月経前症候群(PMS)と言い、月経開始とともに症状が消失します。
日本では月経のある女性の約70~80%が月経前に何らかの症状があるといわれており、生活に困難を感じるほど強いPMSを示す女性の割合は5.4%程度で、特に思春期の女性ではPMSがより多いとの報告もあります。

系統的レビューでは月経前症候群の女性(10件の試験、計940名)を対象として、ビタミンB₆、もしくはビタミンB₆ を50 mg 以上含むマルチビタミンを摂取させたところ、月経前症候群と月経前のうつ症状において改善が見られています。
しかし、研究の質は高くないものも多く、確固とした結論を導き出すにはさらに多くの研究が必要と言われています💦

つわりの緩和

妊娠初期の間に約半数の女性がつわりで悩んでいると言われており、通常は12〜20週を過ぎると治まりますが、その間女性の社会的機能や身体機能を妨げています😨💭

つわり治療にビタミンB₆は効果的と昔から考えられており「ビタミンB₆を1日30~75 mg摂取することによって、妊娠中女性の悪心が有意に減少した」「ビタミンB₆25 mgを8時間おきに72時間摂取した研究で嘔吐とひどい吐き気が改善した」などの報告があります。
また、米国産科婦人科学会(ACOG)は、妊娠中の悪心・嘔吐の治療に、ビタミンB₆を1回10〜25 mg、1日3〜4回投与する単剤療法を推奨しています👀

研究では1日に多くのビタミンB₆の摂取を促すようなものもありますが、日本にはビタミンB₆に対して耐容上限量が厳しく定められています。
多く摂取することを検討している場合はかかりつけの医師に相談しましょう。

ビタミンB₆を摂るときの注意点

ビタミンB₆が不足すると、皮膚炎、口内炎、うつ状態、神経異常が起こることもあり、特に抗生物質を長期間投与された患者などでは欠乏症になる恐れが指摘されており、注意が必要です。

また、水溶性ビタミンのため、摂取しても余分なものは尿中に排泄されますが、過剰摂取による健康被害(感覚ニューロパシー)が報告されていることから、耐容上限量が設定されています。
通常の食事をとっているだけであれば過剰症の心配はありませんが、サプリメントなどを利用する際は過剰摂取に注意しましょう🙅‍♂️🙅

含まれている食品

ビタミンB₆は以下の食材に多く含まれています。

食事でバランスよく摂取することをおすすめしていますが、普段の食事で不足が気になる場合はサプリメントで補うこともおすすめです。

 

Katrina M Wyatt et al.,BMJ. 1999 May 22;318(7195):1375-81.

公益社団法人 日本産科婦人科学会

厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 eJIM

日本人の食事摂取基準 2020年版

一般社団法人 北海道薬剤師会

Denholm J. Aspy et al.,Percept Mot Skills. 2018 Jun;125(3):451-462.

日本食品標準成分表2020年版

 

この記事の著者

ゆーみん

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ためになる栄養講座・ブログ・お問い合わせ担当

自分自身のアレルギーと偏食がきっかけで管理栄養士を志向。大学卒業後は給食委託会社に就職し介護食からスポーツ栄養まで幅広い食に従事。

読んでいただいた皆さんに「ためになった」「面白かった」と思っていただけるようなブログづくりを心掛けています。

自己紹介ブログ ⇒ 新しいメンバーの自己紹介(管理栄養士:荒木)

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