胃酸の分泌が過剰で胃薬を飲む方もいれば、逆に少ないことで悩んでいる方もいます😣💦
特に胃酸分泌が少ないと食物の消化がされにくくなったり、栄養素の吸収に影響を与えることが知られています。
今回は「胃酸分泌に影響するもの」についてご紹介します!
胃酸の働き
胃酸は胃の壁細胞から分泌される非常に強力な酸(ph1)で、胃の中を一定以上の酸性に保ちながら主にタンパク質の分解を助けており
そのほかにも、消化管ホルモンの分泌調節やバクテリアの殺菌、食べた食品の腐敗防止などさまざまな働きがあります。
「強力な酸」と紹介しましたが、通常は胃粘膜が胃壁を保護しているので自分自身を破壊してしまうことはありません💪✨
しかし、暴飲暴食や肉体的精神的な強いストレスによって胃酸と胃粘膜の分泌バランスが崩れると、胃酸が自身を傷つけてしまったり消化不良がおこることもあります。
胃酸の分泌を減少させる要因
一般的に、胃酸の分泌は加齢により減少すると言われていますが、
厳密に言うと加齢だけでは胃酸の分泌量は減少せず「萎縮性胃炎」によって低下するのではないかと考えられています🧐
萎縮性胃炎とは、慢性的な炎症状態が続くことによって胃粘膜が薄くなる状態のことであり、萎縮性胃炎の進行と胃酸分泌減少の間には相関がみられ、症状としては消化不良、胃もたれ、下痢などがあげられています。
また、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染や情緒変化、食事の内容によっても胃酸の産生や分泌が減少すると言われています。
胃酸分泌に関わりが深いものは?
胃酸の分泌を減少させる要因について紹介しましたが、胃酸分泌に関わりが深いものとその理由についてまとめました⬇
グレリン (Ghrelin)
グレリンは胃から分泌される成長ホルモン分泌促進物質で、食欲促進ホルモンとしてよく知られており、胃酸分泌に対して刺激作用をもつことが明らかにされています。
グレリンの発見により、胃が消化機能だけでなく、エネルギー代謝や成長ホルモンの分泌調節にも機能していることが明らかになりました。
情緒
神経伝達物質であるアセチルコリンやオキシトシン、γ-アミノ酪酸(GABA)などには胃酸の分泌を促進する作用があるため、
興奮や恐怖の感情があるときよりも、落ち着いてリラックスした状態の方が胃酸の分泌がされやすいと言えます!
また、胃酸分泌の総量の約1/3は脳(頭)相(迷走神経)に関連するという研究もあります。
食品
タンパク質やアミノ酸、コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸、少量のアルコール、牛乳などには胃酸の分泌を促進する作用が期待されています。
しかし、牛乳には胃酸の緩衝作用があり、また、脂肪の含有量が多いと逆に胃酸の分泌を減少させる可能性もあるため注意が必要です。
漢方薬
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)など、胃腸の消化・吸収機能を整え、食欲・体力を回復させ、元気をとりもどすのを助けるとされるものがあります。
まとめ
胃液の中にはビタミンCが含まれ、胃細胞を保護していますが、pH 4以上になるとビタミンCの分解が早まります。
また、胃酸の分泌はビタミンB12やミネラルの吸収にも関わります。
胃酸の分泌が少ない場合には、お酢やレモン汁などを料理に使用することで、胃内のpHを低く保つことができるため消化を助けたり
タンパク質分解酵素を含むパイナップルやキウイフルーツなどを取り入れることもお勧めです🍋🥝✨
なお、健康な男性の場合、コップ1杯(200ml)の水を飲むと1分後に胃内のpHが4以上に増加することが分かっています(George Karamanolis et al., Dig Dis Sci. 2008 Dec;53 (12):3128-32.)。
3分後には元の数値まで戻るようですが、胃酸分泌が少ない人の場合には、食事中に大量の水を飲むことは避けた方が良さそうです🙅♂️🥤
ゆーみん
管理栄養士