先日、お問い合わせで
「加齢黄斑変性に良い栄養素は何ですか」
というご質問をいただきました
最近、加齢黄斑変性の方が増えているようですね
そこで今回は「加齢黄斑変性に良い栄養素」について簡単にご紹介します
●加齢黄斑変性とは
黄斑とは、網膜の中心にある直径1.5mm~2mm程度の小さな部分の名称で、キサントフィルという色素が豊富にあるために黄色をしており、黄斑の中心は中心窩と呼ばています
黄斑は網膜の中でも視力をつかさどる重要な細胞(視細胞)が集中しているため、ものの形、大きさ、色、立体、距離など光の情報の大半を識別していますが、それ故に、黄斑に異常が生じるとそれがわずかなものであっても視力を低下させ、回復が困難となることがしばしばあります
<眼の模式図>
加齢黄斑変性は、この黄斑が痛んで(変性して)しまう病気で黄斑変性とも呼ばれ、萎縮型と滲出型の2つのタイプがあります。
【萎縮型】
黄斑部の細胞が老化して萎縮することにより発生し、症状の進行は比較的遅いのが特徴です。
【滲出型】
黄斑部の老廃物が網膜色素上皮の下に蓄積すると、毛細血管の血流が阻害されて新生血管という壁が薄い新しい血管ができますが、この新生血管から出血を起こすことで発生し、急速に進行が進むのが特徴です。
加齢黄斑変性は、欧米では失明原因の第一位を占める疾患で、日本での失明原因の4位に挙げられます。
加齢黄斑変性が片方の目に起こった場合、もう片方の目にも起こることがありますので要注意です
もし、ものがゆがんで見えるようになったり、中心が暗い感じがしたら、まずは加齢黄斑変性をよく診ている専門医の検査を受けましょう
●加齢黄斑変性によい栄養素
加齢黄斑変性対策には食生活の改善が必要だと言われていますが、加齢黄斑変性に良いと言われる栄養素は以下の通りです
・ベータカロテン
ベータカロテンの摂取は、加齢黄斑変性の予防や進行を遅らせる効果が期待されています。
・ビタミンE
ビタミンEは、その他の抗酸化ビタミン(ビタミンC、ベータカロテン)や亜鉛との併用摂取によって加齢黄斑変性の進行を遅らせることが期待できます。
・ビタミンB群
心疾患もしくは心疾患リスクのある女性5,205名 (平均62.6歳、試験群2,607名) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、1 日に葉酸 2.5mg(2,500μg)、ビタミンB6 50mg、ビタミンB12 1mg(1,000μg)を平均7.3年間摂取させたところ、加齢性黄斑変性の発症リスクが低下したという報告があります。
※日本では厚生労働省により、62歳女性の葉酸の摂取上限量は1,400μg、ビタミンB6は45㎎ と定められており、素人判断で上記の量を摂取することは危険ですのでご注意ください
・ビタミンC
ビタミンCは亜鉛や他の抗酸化ビタミン(ビタミンE、ベータカロテン)と併用で、中等度および進行した加齢黄斑変性の進行を遅らせることができる可能性があります。
・亜鉛
食事からの亜鉛の摂取が多いと加齢性黄斑変性の進行を抑制する可能性があり、抗酸化作用のあるビタミン(ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン)との併用摂取で、加齢性黄斑変性の進行を遅らせることが期待できます。
・魚油(DHA)
週2回以上魚を摂取する人では、初期の加齢性黄斑変性症の発症率が低くなる傾向があるという報告があります。
特に、DHAの摂取は加齢黄斑変性の予防に有効である可能性があります。
・ルテイン
食事からルテインを多く摂取した人は、手術が必要なほどの加齢黄班変性のリスク低減に有効である可能性があります。
また、加齢黄斑変性対策として避けたいことは、喫煙や高脂肪食の他、肥満や高血圧などがあります。
やはり喫煙される方は禁煙し、食生活を含めた生活習慣を見直して健康的な日々を送るのがよさそうですね
そうすればきっと、加齢黄斑変性だけでなく他の病気の対策にもなるでしょう
(さ)
<参考>
・千葉大学大学院医学研究院 眼科学 のホームページ
・慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
・日本眼科学会のホームページ
・http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2648137/