日本では保存食として古来から漬物が作られています🥢
漬物には様々な種類がありますが、中でも発酵漬物には植物性乳酸菌が含まれ、味や健康上にメリットをもたらします!
今回は発酵漬物に含まれる乳酸菌の種類や働きについてまとめます😋✨
発酵漬物と微生物
漬物は製造法の違いによって「新漬(浅漬)」「調味漬」「発酵漬物」に分けることができ、中でも発酵漬物は雑菌が生育しにくい3~10%の食塩濃度下で漬け込み、発酵を促します。
主に乳酸菌や酵母の働きによって発酵風味が形成され、発酵にともない乳酸が生成されてpHが下がるため保存性も向上します。
日本で発酵漬物としてよく知られているものには、すぐき漬、しば漬、赤かぶ漬、高菜漬、糠みそ漬などがあり、海外では、ザワークラウト、泡菜(パオツアイ)、キムチ、グンドルック、発酵ピクルスなどが知られています。
特に漬物に関連の深い乳酸菌や酵母は以下の通りです。
<乳酸菌>
・Leuconostoc mesenteroides (ロイコノストック・メセンテロイデス)
・Enterococcus faecalis (エンテロコッカス・フェカリス)
・Enterococcus faecium (エンテロコッカス・フェシウム)
・Pediococcus属菌 (ペディオコッカス属菌)
・Lactobacillus plantarum (ラクトバチルス・プランタルム)
・Lactobacillus brevis (ラクトバチルス・ブレビス)など
<酵母>
・Candida krusei (カンジダ・クルセイ)
・Candida lipolytica (カンジダ・リポリティカ)
・Torulopsis etchellsii (トルロプシス・エチェルシー)
・Saccharomyces (サッカロミケス)
・Zygosaccharomyces属菌 (ジゴサッカロマイセス属菌) など
植物性乳酸菌の特徴
発酵漬物には植物性乳酸菌が豊富に含まれ、市販漬物の乳酸菌数は1万~1億個/gとされています。
植物性乳酸菌は、高塩分、低pHなどの苛酷な環境下でも生育することが可能であり、動物性乳酸菌よりも胃での生存率が高く、腸管にまで到達する可能性が高いと言えます。
しかし、腸管への定着率は低いため、継続的に食べることが重要であると考えられています💦
発酵漬物(植物性乳酸菌)の機能
発酵漬物の注目すべき健康機能としては、
「食物繊維の働き」
「乳酸菌のプロバイオティクス効果」
「野菜の二次代謝」などが挙げられます。
また、例えば糠漬けの場合では、糠に多く含まれる栄養分が野菜に移るため、野菜によっては栄養素が10倍以上に増えることもあります⬆😳⬆
植物性乳酸菌の効果について、以下、具体的に紹介します。
抗炎症作用
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性腸炎※₁マウスモデルを用いて漬物来のLactobacillus plantarum 22A-3 生菌体の経口投与による腸炎への影響を検討したところ、炎症による組織の損傷が有意に改善されたという報告がある(Jarukan Lamubol et al., 腸内細菌学雑誌 27巻 2号2013,105)。
※₁DSSの飲水投与によって腸粘膜上皮細胞の障害を誘導し、下痢・下血・体重減少など潰瘍性大腸炎と類似の症状を引き起こすこと
免疫力向上
京都の伝統的な漬物のひとつである「すぐき漬」から単離されたLactobacillus brevis KB209には免疫力を高める効果が期待でき、またC型肝炎やウィルス性疾患の改善効果も期待されている。
乳酸菌は生菌だけでなく死菌の菌体成分も免疫力向上に関与し、食物繊維と二重の効果を発揮すると考えられている。
GABAの産生
乳酸菌はグルタミン酸からGABAを産生することが分かっている。
また、植物は物理化学的(塩や重石などによる)ストレスを受けると細胞内にGABAを蓄積するため、漬物には生の野菜よりもGABAが豊富に含まれる。
GABAには降圧効果や抗ストレス効果が期待できる。
抗菌性物質の産生
糠床、キムチ、市販漬物などから、抗菌性物質であるバクテリオシンを産生する乳酸菌が分離されている。
バクテリオシンは日常の食事で摂取され、有害菌の排除など腸内フローラの健全性を維持するのに役立っている。
まとめ
種類にもよりますが、発酵漬物自体塩分が多いため食べすぎは不調の原因となります。
工夫しながら食べすぎに注意し、発酵漬物に含まれる乳酸菌の効果を体感していただければと思います😊✨
ゆーみん
管理栄養士