1年以上前ですが、2012年12月号の雑誌ニュートンでノーベル生理学・医学賞を受賞したiPS細胞の緊急特集がありました。
実は、その特集の陰にミトコンドリアについても取り上げられていたのですが、私はそこに載っていたミトコンドリアの姿を見てとても驚きました!
なぜなら、今まで生物の教科書で見てきたミトコンドリアとは全く異なった姿をしていたのです。
そこで今回は、遅ればせながら「ミトコンドリアの本当の姿」についてご紹介したいと思います
ミトコンドリアとは
私たちの体は約60兆個(1兆個/㎏)の細胞で作られていると言われていますが、ミトコンドリアは、ほぼすべての細胞ひとつひとつに存在しており、その総量は体重の1割(体重60㎏であれば6㎏)にもなるそうです。
人の場合のミトコンドリアの数は細胞によって異なり、1細胞あたり100~3,000個ほどとされ、エネルギーを必要とする細胞(心筋細胞、骨格筋細胞、神経細胞など)ほどミトコンドリアの数が多いです。
働きは、糖質、脂質、タンパク質(アミノ酸)のいずれの代謝においても中心的役割を果たし、体のエネルギー(ATP)を作り出しています🔥
ミトコンドリアの機能が低下すると、記憶力や筋力、視力などの低下や、疲れやすい、肥満、糖尿病、偏頭痛、便秘・下痢などの症状が出ることがあるそうです
構成としては、ほとんどの代謝物が通過できる外膜と、選択的な透過性を示す内膜、それぞれの膜に囲まれた内腔を満たしている基質(マトリックス)です。
不思議なことに、ミトコンドリアは細胞の核の遺伝子とは別に独自の遺伝子を持っており、その遺伝子は母親のものだけが子供に伝わり、父親のミトコンドリア遺伝子は次世代にはまったく関与しないということです。
ミトコンドリアの姿
高校や大学での生物の教科書には、こんな姿のミトコンドリアが載っていました。
なので、私はミトコンドリアは豆のような形をしているのだと思っていました。
しかし、ニュートンに載っていたのはこんな姿でした。
※赤色で示したものがミトコンドリアです。
著作権の関係で手書きですが、悪しからず…
衝撃的ですよね!
実際は豆のような形ではなく、枝のような糸のような形状で細胞全体に張りめぐらされ、細胞全体の22%も占めているということです。
※生物の教科書に載っていたミトコンドリアは、長いミトコンドリアの一部の断面だったのです。
この構造によってミトコンドリア同士で物質のやり取りをしながら協調して働き、ミトコンドリアのネットワーク構造を通じて細胞全体にくまなくエネルギーが供給されています。
ちなみに、ミトコンドリアは、運動することで増やすことができるようです
運動して筋肉を使うと、筋肉内のエネルギーが少なくなって筋細胞が『飢餓状態』に陥ります。
すると、核にある遺伝子が働いてミトコンドリアの成分が作り出されてミトコンドリアに付け足されていき、ミトコンドリアの体積が増えていきます。
(ミトコンドリアが増えるとは、数ではなく体積が増えるんですね。
ミトコンドリアの体積を増やすには定期的な有酸素運動が良いとされていますが、定期的に運動を行わないと1か月ほどで元のミトコンドリアの体積に戻ってしまうそうです。
その他、加齢によってもミトコンドリアの体積は減ってしまうということです。
ミトコンドリアの量が多いほど基礎代謝量が多くなるため、ミトコンドリアを増やすことがダイエットへの近道だと考えられます。
定期的な有酸素運動でミトコンドリア量を増やして維持し、ダイエットだけでなく、認知症や糖尿病などを予防して健康を保ちたいものですね
(さ)
・イラストレイテッド ハーパー・生化学[原書27版]