【論文紹介】乳児期の保湿とアレルギー


近年、赤ちゃんの肌と食物アレルギーについて調べられていることをご存じですか??
今回は「乳児期の保湿とアレルギー」について論文が発表されたので、こちらについて紹介します👶✨

世界初・アレルギー疾患の発症予防法を発見

新生児期の皮膚バリアを保湿剤で保護することで、アトピー性皮膚炎 (AD) や食物アレルギーの発症を防ぐことができるかどうかを調査。

アトピー性皮膚炎とは
かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
アトピー性皮膚炎では、皮膚の”バリア機能”(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることや皮膚に炎症があることが分かっています。

<方法>

新生児118名を介入群(生後32週間の間、エマルジョン(乳液)型の保湿剤を毎日塗布)、対象群に分け、前向きランダム化比較試験を実施。

AD(4週間以上持続する湿疹症状)および湿疹(2週間以上持続する)の発症は、アトピー性皮膚炎診断基準に基づいて皮膚科の専門家によって評価し、仮説段階である卵アレルギーとADの関連についても調査。

<結果>

118 人の乳児のうち、47 人が ADや湿疹を発症しましたが、介入群でADの発症リスクが3割以上低下することが分かりました↘↘↘

そして、ADと卵アレルギーの発症との関連について、介入群と​​対照群で違いはありませんでしたが、ADや湿疹を発症した乳児では卵白に対するIgE抗体が非常に高い値(オッズ比4倍以上)を示すことを確認しました。
また、保湿剤の使用の欠如ではなく、湿疹のある皮膚の存在が、生後 8 か月間に卵白などの食物アレルギーを誘発または促進するのではないかと示唆しています。

IgE抗体とは?
免疫グロブリンE抗体の略称であり、タンパク質の一種です。
IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG抗体、IgM抗体の5種類があり、異物から守るために働きます。
しかし、IgE抗体だけは、体内に増えることでアレルギー反応を起こしやすくなります。

<まとめ>

今回の調査において保湿剤は皮膚乾燥を防ぎADの発症を防ぐことが示され、ADや湿疹の発症を防ぐことによりアレルギー感作を軽減する可能性がありました

また、ADは「アレルギーマーチ」の出発点だと考えられています。
「アレルギーマーチ」とは、ひとつのアレルギー疾患を契機に一連のアレルギー疾患を次々と発症していくことで、ADの発症後、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻結膜炎などのアレルギー疾患を次々と発症する傾向があります💦

乳児期早期から保湿を心掛け、発症してしまった場合は主治医と相談しながら、早期から皮膚の状態を速やかに改善するようにしましょう🧐

Kenta Horimukai, MD et al.;ATOPIC DERMATITIS AND SKIN DISEASE| VOLUME 134, ISSUE 4, P824-830.E6

独立行政法人環境再生保全機構

堀向 健太 小児科臨床 Vol.69 No.7 2016 1287 (151-159)

Copyright

この記事の著者

ゆーみん

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ためになる栄養講座・ブログ・お問い合わせ担当

自分自身のアレルギーと偏食がきっかけで管理栄養士を志向。大学卒業後は給食委託会社に就職し介護食からスポーツ栄養まで幅広い食に従事。

読んでいただいた皆さんに「ためになった」「面白かった」と思っていただけるようなブログづくりを心掛けています。

自己紹介ブログ ⇒ 新しいメンバーの自己紹介(管理栄養士:荒木)

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