私たちが夜になると眠くなるのは「メラトニン」というホルモンの働きです☝🧐
睡眠ホルモンとして有名なメラトニンですが、近年、睡眠以外にも様々な興味深い効果が報告されています。
今回は「メラトニン」について紹介します!
目次
メラトニンとは
人間の自然な睡眠サイクルにとって必要なメラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンです🧠
メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれており、メラトニンが分泌されなくなると、夜眠れない・朝起きられないなど睡眠サイクルの崩れがおこります。
メラトニンの効果
睡眠ホルモンとして有名なメラトニンですが、そのほかにも様々な効果が期待できるとされており、医療現場で活躍していますのでいくつか紹介します。
軽度認知障害(MCI)とメラトニン
MCIとは物忘れが主たる症状だが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態のことを言います。
MCIの患者に、常用している薬とともに9~18ヶ月間3~9mgのメラトニンを飲み続けてもらうと、メラトニンを使用しなかった群に比べて,MMSE(国際的に最も広く用いられている認知機能を観る時に使用されるテスト)やADASCog(アルツハイマー病患者の認知機能進行程度を見るときに使用するテスト)をはじめ、他の学習・記憶テストのスコアも有意に上昇しました。
(Analía M Furio et al., Pineal Research 2007 Nov;43(4):404-409.)
夜間高血圧とメラトニン
夜間高血圧とはその名の通り夜間に血圧が高くなることです。
夜間は昼間に比べて10 ~ 20 %ほど血圧が下がるのが一般的ですが、夜間高血圧の場合は夜も血圧が低下しないため、心臓や血管は休むことができず、脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管疾患のリスクが高まります😣💨
分泌されたメラトニンの指標となる尿中メラトニン排泄を一晩測定したところ、863人の参加者(平均年齢、72.1歳)のうち降圧薬を内服していない高齢者 386 人において、尿中メラトニン排泄量が 25 パーセンタイル(4.2 μg/night)から 75 パーセンタイル(10.5 μg/night)に増加したときに、夜間収縮期血圧が2.0 mmHg低下する横断的関連を示しています。(Kenji Obayashi et al., Hypertension Research volume 37 22 May 2014: 908-913)
更年期障害とメラトニン
40歳代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下が原因となる自律神経失調症に似た症候群のことを言います🤦💭
閉経後の女性240人(40〜60歳)を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、メラトニン3 mg/日を3ヶ月間摂取させたところ、プラセボ群に比べ介入群で35.73+11.6から17.09+10.22へ更年期障害指標 (Greene Climacteric Scale) の改善が認められています。
( Nehleh PARANDAVAR et al., Iran J Public Health. 2014 Oct; 43(10): 1405–1416.)
このほかにも、メラトニンの強い抗酸化力によるアンチエイジングや免疫力向上、ストレス軽減などの効果も注目が集まっています。
メラトニン合成に必要な栄養素と睡眠前の習慣
メラトニンは、アミノ酸の一つである「トリプトファン」からセロトニンを経て松果体で合成されるため、トリプトファンを多く含む大豆製品や乳製品の摂取がおすすめです。
また、メラトニンになる工程では「ビタミンB群」や「鉄」「マグネシウム」などの栄養素も必要ですので、バランスよく摂取しましょう☝🧐
メラトニンの分泌は太陽光や照明などの光によって分泌量が調整されるため、朝日をしっかり浴びることが正常な睡眠のサイクルを保つポイントです。
さらに、夜間の光やパソコン・携帯の電磁波、ブルーライト、カフェイン摂取などにも影響を受けると言われているため、睡眠前はそれらを避け、寝る時に部屋を暗くするようにしましょう!
メラトニンの副作用と利用上の注意
メラトニンは人間の睡眠サイクルに欠かせないホルモンですが、あくまでも自然な分泌が行われたときに効果的に働くものです。日本では食品(サプリメント)として製造することは法律で認められておらず、日本国内では医薬品扱いとなるため、医療従事者の管理下で使用する必要があります。
海外ではサプリメントとして取り扱われているので、海外旅行や個人輸入などで手に入れることも可能ですが、メラトニンを含むサプリメントの摂取後の身体の不調も報告されており、一般的な症状として(頭痛、めまい、眠気、悪夢、過敏症)、神経疾患(振戦、片頭痛)及び胃腸疾患(吐き気、嘔吐、腹痛)があります。
格安で海外の通販サイトで販売されていても自己判断での摂取はしないようにしてください。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所
綾木 雅彦 住総研 研究論文集No.42,2015 年版p85-95
前村 浩二 HEART’s Selection (生体リズムの変調と心疾患) 2011 年 43 巻 2 号 p. 154-158
中村丁次 栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版 P216-217 2005年
ゆーみん
管理栄養士