難聴と言語障害をもつ人々の悩みを少しでも解決したいという社会福祉への願いから、日本耳鼻咽喉科学会の提案により、3月3日は「耳の日」に制定されています。
今回は、コロナ禍の影響で増えた「突発性難聴と栄養素」について取り上げたいと思います🧐!
突発性難聴とは?
突然、左右の耳の一方(ごくまれに両方)の聞こえが悪くなる疾患を突発性難聴といいます。
音をうまく感じ取れない難聴(感音難聴)のうち原因がはっきりしないものの総称で、幅広い年代に起こります。
特に働き盛りの40〜60歳代に多くみられ、発生率にそれほど男女差はありません!
突発性難聴の原因はウイルス感染説、循環障害説などが言われていますが、明確な発症の原因についてはわかっていません。
また、発症の原因はひとつではなく、さまざまな原因が組み合わさったものではないかと考えられています。
突発性難聴の症状
症状は人によって異なり、まったく聞こえない人もいれば、高音が聞こえないが日常会話に支障はない人もいます👂
後者の場合は発見が遅れることが多く、あまり支障がないことから、別の悩み専門医を受診したら突発性難聴だったという場合もあります。
また、難聴の発生と前後し、耳の詰まった感じや、めまい、耳鳴り、吐き気などを伴うこともありますが、自然に症状が回復したり悪化したりすることは少ないです!
症状の改善に効果的な栄養素
最初に、突発性難聴はさまざまな原因が組み合わさったものと紹介しましたが、考えられる原因の組み合わせとして、ストレスや過労、睡眠不足、栄養不足などがあげられます😖💦
症状の改善や予防に効果的な栄養素もいくつかありますので、紹介します!
ビタミンE
イスラエルの研究者は、ビタミンEが突発性難聴に効果的である可能性があることを発見しました。
66人の患者をランダムに2つのグループに分け、プラセボ群にはマグネシウムとステロイドの治療を含む標準治療を行い、
対象群には同じ治療に加え、400mgのビタミンEを1日2回摂取しました。
結果、対象群では、患者の約80%で少なくとも75%の聴力回復が見られ、プラセボ群では、約45%の回復率しか無かったことから、突発性難聴には、ビタミンEが効果的と考えられます。
(Joachims et al.,Antioxidants in Treatment of Idiopathic Sudden Hearing Loss July 2003 – Volume 24 – Issue 4 – p 572-575)
ビタミンB₁₂
神経維持に必要なビタミンであり、 神経線維が電気信号を正しく伝えるためにはビタミンB₁₂が必要です。
ビタミンB₁₂の血中濃度の低い人では、 物忘れ、反射反応の低下、触覚や痛覚の減退などの神経系の障害があらわれることがわかっており、耳鳴りやノイズが原因となる難聴の原因になるともあります。
臨床現場でも、突発性難聴の患者にビタミンB12製剤を服用させる場合もあるそうです。
鉄
コントロール群(37,572名)と突発性難聴群(9393名)の貧血および、ヘモグロビンレベルのオッズ比を計算したところ、
貧血は、突発性難聴群で4.8%(449/9393)、コントロール群で4.0%(1494 / 37,572)の人が罹患しており、突発性難聴群は、貧血のオッズが1.20倍高いことを示しました(95%CI = 1.08-1.34、p = 0.001)。
これらの結果より、貧血は突発性難聴のリスク増加と関連していると考えられます。
(So Young Kim et al., Int J Environ Res Public Health2020 Sep 5;17(18):6478. )
また、以前ブログ(【論文紹介】難聴の原因は鉄不足?)でも紹介しましたが、貧血は突発性難聴だけでなく、感音難聴と混合性難聴と関連している可能性があるとされています💉
まとめ
日本で「耳の日」が制定されたのは1956(昭和31)年で「ミミ」という語呂合わせや「3」が耳の形に似ていることから3月3日は「耳の日」とされており、それから約50年後の2007年、WHOが3月3日を「International ear care day」(国際耳の日)とすることを宣言しています。
コロナ禍の影響で、行動制限やリモート会議でイヤホン・ヘッドフォンを使う機会が増えたことにより、突発性難聴で悩む人が増えたそうです😣👂
突発性難聴で入院をする可能性もあるそうなので、日頃から注意して過ごしたいものです。
ゆーみん
管理栄養士