私たちが寝ているときに見る「夢」と栄養素は、一見何の関係もないように思えますが、実はある種の栄養素欠乏が「夢」に大きな影響を与えることが分かっています。
今回は「栄養素と夢の関係」について紹介します。
■夢とは?
夢は「睡眠中に生じる報告可能な精神活動」と定義されています!
「最近見なくなった」と思う方もいるかもしれませんが、毎晩数回の夢を見ているといわれています😴💭
夢は脳が今まで見聞きした情報を整理し、その過程を脳の中で再生している一時的な記憶で、長期記憶にはあまり残らないと言われています。
近年では、この夢の記憶が消えてしまう仕組みも明らかになりつつあるようです!
(科学技術振興機構(JST))
睡眠中は脳全体が休んでいるのではなく、浅い眠りのレム睡眠(Rapid Eye Movement Sleep)と深い眠りのノンレム睡眠(non-Rapid Eye Movement sleep)が約90分間の周期で変動し、朝の覚醒に向けて徐々に始動準備を整えています。
レム睡眠は脳波が睡眠状態を示しているにも関わらず眼球が素早く動き、この時に夢を見ていると考えられています。
子どもの場合、夢の内容は絵本やマンガ、テレビなどに左右されやすいため、自分が体験していないことや 現実では起こりえないことが夢に出てきたりします。
しかし、自我がはっきりとした高校生以上になると、自分の体験をもとに、より日常に近い夢を見る傾向にあります!
■夢に影響を与える要因とは?
起きた時に思い出される夢の記憶には個人差があり、人の情緒や認知の状態、また、「ストレス」や「パーソナリティ」も影響を与えていると考えられています。
例えば、ストレスがあって情緒不安定な人では「悲しい夢」「不安な夢」「不快な夢」の想起頻度が高く、誠実性のパーソナリティを持つ人は「焦りの夢」を想起しやすいとされています。
一方、調和性の高いパーソナリティを持つ人や情緒が安定している人では「楽しい夢」の想起頻度が高いと言われています👀💭
■夢に影響を与える栄養素と薬
夢を見やすくなったり悪夢が増えたり、鮮明な夢を見るなどの条件として、栄養素の過不足や医薬品等が関わっていることも知られています。
●ビタミンB6
ビタミンB6が不足することで悪夢を見やすくなると言われていますが、ビタミンB6を大量に(240㎎/日)摂取することによって思い出す夢の量が増加することが示唆されています(Denholm J Aspy et al., Percept Mot Skills.2018 Jun;125(3):451-462.)。
●葉酸
葉酸の過剰摂取によって鮮明な夢(悪夢)を見ることがあるようです😖💭💦
葉酸の代謝を阻害する薬剤(ジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬など)を摂取することによる副作用に、悪夢が挙げられています。
●メラトニン
メラトニンは松果体から分泌されるホルモンで、季節のリズムの他、睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌リズムなどの概日リズム(サーカディアンリズム)の調節作用を担っています。
催眠作用があるため、日本では売られていませんが、欧米ではサプリメントや睡眠薬としてドラッグストアなどで販売されています。
催眠効果があるメラトニンですが、摂取後に悪夢や神経疾患、胃腸疾患などの副作用が報告されています。
また、副作用のひとつに悪夢がある可能性がある医薬品としては、上述の葉酸の代謝を阻害する薬剤(ジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬)の他、不整脈治療薬であるプロプラノロール塩酸塩、入眠薬のゾルピデム酒石酸塩、降圧薬のメチルドパなどが挙げられています。
■まとめ
ネガティブな情報を適切に処理するために悪夢を見るという説もあり、悪夢は悪いことばかりではなさそうですが、せっかく夢を見るなら良い夢を見たいですよね😌💭
良い夢を見るためには、ストレスを溜めない、寝る前に良いことを考える、栄養素の過不足に気を付けるなどがお勧めです!
鈴木千恵et al.,ストレス科学研究 2012,27,71-79
鈴木 博之,バイオメカニズム学会誌,Vol29,No.4(2005)199-204
ゆーみん
管理栄養士