前回、[栄養素の説明書⑥]でビタミンB₂についてご紹介させていただきました📢✨
今回は、同じ水溶性ビタミンの「ナイアシン(ビタミンB₃)」についてご紹介いたします!
目次
ナイアシンの説明書
ナイアシンはビタミンB群のひとつで、ニコチン酸とニコチンアミドの総称であり、ビタミンB₃とも呼ばれています☝😄
水溶性ビタミンの中では珍しく、中性、酸性、アルカリ性、酸素、光、熱に対して安定しているのが特徴です!
ナイアシンの中でもニコチンアミドは1型糖尿病の治療薬として、ニコチン酸は脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われることがあり、500種以上の酵素の補酵素として、エネルギー産生、糖質、脂質、タンパク質の代謝、肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの修復や合成、アルコールの代謝などにも関わっています。
また、体内では必須アミノ酸「トリプトファン」からも作り出すことができ、トリプトファン60mgから1mgのナイアシンがつくられる計算です🧮
ナイアシンの体内での働きと効果
ナイアシンを積極的に摂取することで、症状の改善が認められた例があります。
ナイアシンに関する論文は古いものが多いですが、興味深い臨床例をご紹介します🧐
<統合失調症の改善>
82名の統合失調症患者にナイアシン治療の二重盲検試験と7年にわたる追跡調査を行ったところ、62名のナイアシン摂取をした群(入院中および退院後最低1年連続摂取)は、20名のコントロール群に比べ、5年、症状が現れないという結果になりました。
A C WASHBURNE Ann Intern Med. 1950 Feb;32(2):261-269
<うつ病の改善>
1950年に発表された報告によると、1日450-2500㎎のナイアシン摂取は、恐らくナイアシン欠乏症でないと 診断されたうつ病患者に効果があるそうです。
また、ナイアシン自体にうつ病改善の効果があるかは わかっていませんが、L-トリプトファンによる抗うつ病効果をサポートするといわれています。
H OSMOND, A HOFFER Lancet . 1962 Feb 10;1(7224):316-9
<アルツハイマー型認知症対策>
65歳以上の6158名を対象に食物摂取頻度アンケートと認知テストを行い、食事からのナイアシン摂取量がアルツハイマー型認知症、および加齢による認知力低下との関連性について前向き研究しました。
結果、食事中のナイアシン摂取量が多いほどアルツハイマー型認知症、および加齢による認知力低下を防ぐ可能性があります。
M Morris et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2004 Aug; 75(8): 1093–1099.
<変形性膝関節症>
変形性関節症の72人の患者にナイアシン治療の二重盲検プラセボ対照試験を12週間行なったところ、痛みのレベルは変化しませんでしたが、ナイアシン摂取群で関節炎の改善が見られ、抗炎症薬を減らすことができています。
W B Jonas et al., Inflamm Res. 1996 Jul;45(7):330-4.
また、その他にも、ナイアシン単体摂取ではありませんが、ナイアシンをはじめとする栄養素(タンパク質、ビタミンA、ナイアシン、ビタミンB₁、ビタミンB₂)をバランスよく摂取することで白内障リスクが軽減したという論文も発表されています。R G Cumming et al., Ophthalmology. 2000 Mar;107(3):450-6.
ナイアシンを摂るときの注意点
摂取不足
通常の食事をしていれば欠乏症の心配はありません😞💨
しかし、アルコールの多飲などでナイアシンが慢性的な欠乏状態に陥ると、
皮膚炎・下痢・精神神経障害を引き起こすペラグラの症状が起こる可能性があります。
過剰摂取
ナイアシンの中でもニコチン酸を過剰摂取すると、一時的に顔の紅潮や、掻痒感 (むずがゆくなること) などの「フラッシング (flushing) 症状」いわゆる、「ナイアシンフラッシュ」が起こることがあります。
そのほかにも、血管拡張、下痢や嘔吐、消化管の疾患が起きる可能性があり、ナイアシンの治療薬を服用している方は過剰摂取にならないように注意が必要です!
厚生労働省が定める食事摂取基準(2020年版)をもとに、推奨量と耐用上限量を表にまとめたので、ナイアシン摂取の参考にしてみてください☝😌
一緒に摂りたい栄養素
最初にお話ししたように、ナイアシンはビタミンB 群のひとつであり、単体で摂取するよりもビタミンB群としてバランスよく摂取した方が良いと考えられています😋✨
ビタミンB群は水溶性の栄養素ですので、煮る・ゆでるといった調理をおこなうと、煮汁に流出してしまいます。
栄養を効率よく摂るには、刺身や果物など、生のまま食べられる食材を選ぶのがおすすめです。
また、スープの具材に使用すると無駄なく摂取できます🍲
含まれている食品
ナイアシンは以下の食材に多く含まれています。
〇ナイアシン当量(mgNE)とは
同じような機能を持つ成分でも、それぞれの効力が異なる場合、基準となる成分の相当量として「~当量」と表記します。
ナイアシン当量とは,ニコチン酸,ニコチン酸アミド,トリプトファンの値を所定の計算式でナイアシン活性を持つものとして合計した量を意味します。
食事でバランスよく摂取することをお勧めしていますが、普段の食事で摂取できていない場合や、不足が気になる場合は補う分だけでもサプリメントを活用されることをお勧めいたします!
ゆーみん
管理栄養士