来週9月1日(水曜日)は防災の日です。
今年は東日本大震災から10年を迎え、各地域では9月を防災月間に指定するところもあるようです。
日本は自然災害の多い国であり、いつ災害に遭遇するか分かりません😨💦
今回は、災害後の避難生活での「食」に関する情報をご紹介します!
目次
災害後に起きる食の問題
災害後、多くの被災者が生活することになる避難所では、配給される飲食物や調理設備が限られていることもあり、食事に関する様々な問題が起きやすい状況です。
東日本大震災後に行われた調査では、以下のような問題があげられました。
・野菜の量が少ない
・肉、魚、卵、牛乳などのタンパク質源が少ない
・おにぎりや菓子パンなど、穀類の量が多い
・菓子が豊富でいつでも際限なく食べられる避難所があった
・食材があっても調理法がわからず調理できない避難所があった
また、災害時は避難所に限らず、ライフラインが止まることで調理方法が制限され、冷たく硬い食品の摂取を余儀なくされることで、主に乳幼児や高齢者では食事量自体が減ってしまいがちになることも問題とされています🙅♂️🍱🙅
避難所での食生活の問題点
一般的にビタミンやミネラルを多く含む食品として、肉類(特にレバー)、魚介類、卵、乳製品、緑黄色野菜、果物などが挙げられます。
しかし、災害時にはこれらの食品の入手は難しく、炭水化物(糖質)が食事の主体となるため、ビタミンやミネラルの不足が起こりやすくなると考えられます💭
■災害時に不足が懸念されるビタミン
● ビタミンA
体内貯蔵期間は約120日であるといわれています。
ビタミンAの不足は免疫力低下だけでなく、成長期の子どもにとっては成長阻害の他、骨や神経系の発達抑制を起こす可能性があります。
特に1~5歳では300㎍RE/日を下回らないように摂取することを心掛けるようにしましょう😰💦
● ビタミンB1
体内貯蔵期間は約30日といわれており、被災後1か月 程度で不足してしまうリスクがあるとともに、過労などの神経興奮により消費量が増加することも報告されています。
また、糖質をエネルギーに変換する際にもビタミンB1が使われるため、不足には特に注意が必要です。
● ビタミンB2
ビタミンB1と同様、体内貯蔵期間は約30日といわれています。
ビタミンB2はエネルギー消費量が多いほど必要量が増える傾向があり、不足することで肌荒れや口内炎が起きるなど皮膚や粘膜に影響が現れます。
成長促進にも関与しているため、子どもでは不足によって成長障害が起こる可能性もあります。
● ビタミンB6
ストレス時に分泌されるノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニンなどが作られる時に補酵素として働くため、災害時には不足が懸念されます。
不足によって皮膚炎や神経系の異常、免疫力低下が起こることもあります。
● ビタミンC
体内貯蔵期間は約40日といわれています。
おにぎり、パン、水のみの食事ではビタミンCが補給できないため、約4週間で血漿中のビタミンC濃度がほぼゼロになることが報告されています。
さらに身体的、精神的ストレスがかかるとビタミンCの消費量は多くなります。
■災害時に不足が懸念されるミネラル
● カルシウム
体内貯蔵期間は約6ヶ月とされています。
カルシウムを多く含むのは乳製品、小魚、大豆、緑黄色野菜などですが、災害時これらの食品は配給されにくいため、さらに不足しやすいと考えられます。
骨量の蓄積の観点から、特に6~14歳は600㎎/日を目安に摂取することが勧められています。
● 鉄
体内貯蔵期間は約120日であるといわれており、
鉄欠乏による貧血では酸素を運ぶヘモグロビン量が減り、体内の酸素量不足やブドウ糖の利用効率が悪化します。
非常時に配給される食事に含まれる鉄が少ないと、疲労感やだるさを感じやすくなります。
● その他
栄養不足の他にも、水分の摂取量が減少することが報告されており、水分不足による「脱水症」「エコノミークラス症候群」「低体温症(夏季は熱中症)」「慢性疾患の悪化」などが懸念されています🥤
■まとめ
健康を維持するためには、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素の摂取が重要であり、不足することで様々な欠乏症が起こります😨💭
栄養素が欠乏すると、様々な感染症にかかりやすくなることから、健康二次被害と呼ばれる事態を引き起こす可能性もあります。
普段から過不足なく栄養素を摂取する意識を持つと ともに、マルチビタミン・ミネラルなどのサプリメントの利用も含めた「災害用栄養備蓄」も検討してみることをお勧めします。
ゆーみん
管理栄養士