ビタミンDは、骨粗しょう症や認知症、感染症などの対策に注目を集めています。
一般的にビタミンは体内で合成できませんが、ビタミンDは合成することのできるということをご存じでしょうか?
その合成量は季節によって変化することが分かっているため、今回は、「体内のビタミンDレベルの季節変化」についてまとめてみたいと思います。
体内でのビタミンDの合成
体内でビタミンDは生成されます。
皮膚において7-デヒドロコレステロールが紫外線(UV-B)によってビタミンD3に転換された後、肝臓で25位が水酸化されて25ヒドロキシビタミンD 〔25(OH)D3〕 が生成します。
その後、腎臓で1α位が水酸化されて活性型ビタミンDである1α-25ジヒドロキシビタミンD〔1,25 (OH) 2D3〕 に代謝されて働きます。
ビタミンD濃度の基準値
体内のビタミンDレベルは、肝臓で生成する25(OH)D3の血中濃度を測定することで判断します。
ビタミンD充足状態の基準となる数値は以下の通りです。
<血中ビタミンD〔25(OH)D3〕濃度の基準値>
25(OH)D3濃度 | |
充足 | ≧ 30 ng/ml |
不足 | 20 ng/ml ~30 ng/ml未満 |
欠乏 | < 20 ng/ml |
ビタミンDの季節変化
体内のビタミンDレベルは、太陽放射(紫外線量)と相関し、冬~春は夏~秋よりも大幅に低くなることが知られています。
例えば、日本(札幌)における血清ビタミンD濃度とUV-B、日照時間の季節変化が調べられています。
※グラフはHiroaki Okabe et al.,Anal Sci. 2018 Sep 10;34 (9) :1043-1047.Fig.3を筆者一部修正
※ブラフに用いられているabcの記号はそれぞれの群間での有意差
グラフを見ても、夏~秋(6~10月)と比較して冬~春(11~5月)では明らかに体内のビタミンDレベルが低いことが分かります。
また、北海道は沖縄や本州と比較して紫外線量が少ないため、男女ともにどの季節でもビタミンDが欠乏しています。
特に女性では、日傘や日焼け止めなどで日光(紫外線)を避けることが多かったり、屋外での運動習慣を持つ人の割合が低いなどの理由から、男性よりもビタミンDレベルが低いと考えられています。
どのくらい日に当たったらいいの?
それでは、体内でビタミンDを合成するためにどの程度日光に当たったらよいのでしょうか?
健康を維持するために日本人の成人が必要とする1日当たりのビタミンD摂取量は15 μgと見積もられています。
ビタミンDが不足していない人の場合、5.5 μgを食物から摂取しているため、約10 μgを紫外線によって体内で生成する必要があります。
日本人に最も多いとされている肌のタイプ(国際基準:Ⅲ)の人が、本州(つくば市)と北海道(札幌市)において日焼け対策をしないで日中(正午頃)に顔と両手の甲(600cm2)、肩、腕などを含めて(1,200cm2)露出した場合、夏(7月)と冬(12月)の紫外線量(UV-Index)に対応して10μgのビタミンDを生成するのに必要な時間を以下に示します。
冬は紫外線量が少ないため、夏と比較して本州では約7倍、北海道では約15倍も長く日光に当たる必要があります😲
まとめ
ビタミンDが多い食品はキノコ類や魚類です。
5.5μgのビタミンDを摂取しようとした場合のキノコ類や魚類の目安量は次の通りです。
・きくらげ(乾燥):約19枚
・干ししいたけ:約27枚
・紅鮭(生):約1/5切れ
・さんま(生):約1/3尾
きくらげ(乾燥)や干ししいたけ の量が分かりにくいと思いますが、例えば長崎ちゃんぽんに使う きくらげ の量は1人前で2枚程度です。
また、煮物に使う干ししいたけ の量は1人前で約1~2枚です。
そう考えるとキノコ類でビタミンDを十分に補給するのは大変です💦
魚類の方がビタミンDを摂取しやすいですが、紫外線を避けた生活や夜型の生活をしている場合には、5.5μg以上のビタミンDを毎日摂る必要があります。
美容などのために紫外線に当たりたくない女性はもちろん、男性の場合でも冬は特にビタミンDが不足しがちです。
ビタミンDには免疫を調節するという重要な働きがあるため、風邪やインフルエンザなどの感染症が流行する冬~春は、意識して日光に当たったり、ビタミンDの補給をすることが大切だと考えられます😃
さとこママ
管理栄養士