現在、新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るっており、感染症対策に注目が集まっています👀
感染症対策には様々な方法がありますが、栄養素の補給によっても感染症の予防や症状の軽減が期待されると言われています。
そこで今回は、「感染症対策に役立つ栄養素」についてまとめます💡
目次
感染症とは?
環境中(大気、水、土壌、動物など) から病原性の微生物(病原体)が体に侵入して症状が出る病気を感染症と言います。
感染経路には大きく分けて水平感染と垂直感染の2種類があります。
水平感染は感染源(人や物)から周囲に広がるもので、さらに飛沫感染、空気感染、接触感染、媒介物感染の4つに大きく分類することができます。
飛沫感染
病原体を含む咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込んだり、目や鼻の粘膜に付着ことにより感染する経路。
例)風邪、インフルエンザ、百日咳、マイコプラズマ など
空気感染
感染者から排泄された空気中を漂う微細な粒子(飛沫核)や病原体に汚染された土壌、床などから生じて浮遊する塵埃を吸い込むことにより感染する経路。
例)結核、麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう) など
接触感染
感染者に直接接触、または汚染されたドアノブや医療器具などを介して間接的に接触することにより感染する経路。
接触感染には、経口感染、粘膜感染、性行為感染などが含まれる。
例)伝染性膿痂疹(とびひ)、梅毒、淋病、破傷風 など
媒介物感染
採血や手術などの医療行為による刺傷・創傷事故や、汚染された水、食品、血液、昆虫などを介して感染する経路。
例)コレラ( 水 )、食中毒(食品)、ウイルス性肝炎(血液)、マラリア(蚊) など
垂直感染
一般的に母子感染と呼ばれる。
病原体が胎盤、産道、母乳などを介して母親から胎児または新生児に直接伝播されて感染を起こす経路。
感染症と栄養状態の関係
栄養不良の状態では免疫機能が低下します😱
特に細胞性免疫で活躍するヘルパーT細胞の数や機能が低下すると言われています。
そのため、栄養不良では感染症にかかりやすくなり、重症化、治療期間の長期化が起こり、合併症も生じやすくなります。
さらに、多くの感染症は食欲低下や消化不良の原因となり、軽度の栄養不良をより重症化させて新たな感染症にかかりやすくなるという悪循環を引き起こします。
そして、このような悪循環は子ども、妊娠・授乳期の女性、高齢者、紛争や災害被災時などの緊急事態下にある人、慢性的な感染症患者、入院患者などで起こりやすいと言われています。
感染症対策に役立つ栄養素
ビタミンD
ビタミンD摂取により、気道感染症(インフルエンザ、感冒、感染症から起きる喘息発作など)の予防に役立つと言われています。
抗体欠乏の患者と気道感染症への感受性が増加しているが疫学的診断を受けていない患者140名に対し、ビタミンD3(4000 IU)またはプラセボを1年間毎日投与した結果、プラセボ群と比較してビタミンDグループの患者の全体的な感染スコアは大幅に減少していました(Peter Bergman et al., BMJ Open. 2012 Dec 13;2(6))。
また、欧州 20 か国のビタミンDレベルと、100万人当たりのCOVID-19による罹患率と死亡率を集計したところ、国ごとのビタミンDレベルとCOVID-19によって引き起こされる症例と死亡率との間に負の相関関係がみられました (Petre Cristian Ilie et al., Aging Clin Exp Res.2020 Jul; 32(7):1195-1198.)。
ビタミンA
ビタミンAが欠乏している場合、成長阻害、骨及び神経系の発達抑制もみられ、上皮細胞の分化・ 増殖の障害、皮膚の乾燥・肥厚・角質化、免疫能の低下や粘膜上皮の乾燥などから感染症にかかりやすくなると言われています。
亜鉛
亜鉛とビタミンAを併用で摂取することで、ビタミンA欠乏時に、よりビタミンA値が改善するようです。
また、亜鉛は下痢、食欲不振、感冒、肺炎などに効果が期待されています。
風邪の患者45名(18歳以上、試験群22名、アメリカ)に対し、亜鉛13.3mg含有トローチを2~3時間おきに摂取させたところ、罹患期間、せき・鼻水の持続時間の短縮と自覚症状スコアの早期改善、炎症マーカー(SIL-1ra、 ICAM-1)の減少が認められました(Ananda S Prasad et al., J Infect Dis. 2008 Mar 15;197(6):795-802.)。
ビタミンC
ビタミンCは、抗酸化機能に加えて免疫機能の上でも重要な役割を果たしています。
ビタミンCを多めに(1~3g)摂取することで、感冒(風邪)の期間が短縮することが示唆されています。
まとめ
一般的に、感染症対策には手洗い、うがい、マスク、消毒、ワクチンなどが挙げられます。
しかし、例えば、「マスク」をして激しい運動をすると熱中症や低酸素血症といった危険な状態を招いてしまいます。
また、「次亜塩素酸」は新型コロナウイルスを殺すためには有効だと考えられていますが、誤って使うと肺炎を起こしてしまいます。
そして、インフルエンザやCOVID-19の原因となるウイルスは生物ではなく、サイズがとても小さく、遺伝子も変異していくため、一般的な感染症対策では感染を完全に防ぐことが難しい場合があります💦
感染症になった場合に働くのは、私たちの体に備わっている免疫機構です。
免疫機構がしっかりと働くためには、
・バランスの良い食事
・適度な運動
・睡眠
・入浴(体温を上げる)
・適度な体重(痩せすぎも太り過ぎも免疫力低下につながる)
・塩分を多めにとる (高血圧、腎疾患、脂質代謝異常がある場合は要注意)
・砂糖の摂取を控える
などが大切だと考えられています。
これをしていれば(摂って入れば)絶対に感染症にかからないということはないため、自分なりに状況を見てバランスを考えて行動したいものですね💡
・独立行政法人労働者健康安全機構 関東労災病院サイト
・大阪大学大学院医学系研究科・医学部サイト
・独立行政法人 国際協力機構サイト
・原 耕 平 et al., 感染症学雑誌 第72巻 第6号(1998)569-574
・厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』eJIMサイト
・日本人の食摂取基準(2020年版)
・久留米大学 医学部免疫学講座サイト
・Michael Laffin et al., Sci Rep. 2019 Aug 23;9(1):12294.
さとこママ
管理栄養士