ホスファチジルコリンはどんな栄養素?


先日のブログでは「脳とホスファチジルセリンの関係」というタイトルで、ホスファチジルセリンについてまとめました。

ホスファチジルセリンよりもホスファチジルコリンの方が聞きなれている方が多いかもしれませんが、それがいったいどんな栄養素なのかをご存じでしょうか?

そこで今回は、「ホスファチジルコリンはどんな栄養素?」と題してホスファチジルコリンについてまとめます💡

 

ホスファチジルコリンとは?

ホスファチジルコリンはレシチンと呼ばれることがありますが、一般的にレシチンはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールなどのリン脂質や脂肪酸などを含む混合物の総称です。

食品では卵(卵黄)大豆に多く含まれています。

構造はジグリセリド-3-リン酸のリン酸基に対し、コリンが結合した形です。

油にも水にも溶け、界面活性作用があるため、食品用だけでなく工業用や医薬品用、化粧品用など様々な用途で使用されています。

 

 

ホスファチジルコリンを構成しているコリンは水溶性ビタミン様物質であり、その働きからビタミンB群の仲間に分類され、細胞膜の主要な構成成分としてヒトの全ての細胞に存在しています。

神経伝達物質(アセチルコリン)の原料メチル基転移のメチル供与体脂質やコレステロールの輸送・代謝などにも関わる大切な栄養素です。

体内でも作り出す事ができますが、肝臓以外の臓器ではほとんど作られないため食事から補給する必要があります。

アメリカでは必須栄養素として摂取目安量が定められているほどです😳

 

 

ホスファチジルコリンの吸収

摂取したホスファチジルコリンの多くは、腸管で分解されて脂肪酸が1つとれた形のリゾホスファチジルコリンとなって吸収されますが、腸上皮細胞内で再度ホスファチジルコリンに合成されてリンパ管に取り込まれます。

また、リゾホスファチジルコリンの残りはα-GPCと脂肪酸とホスホリルコリンとなります。

α-GPCは門脈に取り込まれるか、またはコリンに分解されて門脈に取り込まれます。

残りは腸内細菌の働きによってコリンにまで分解され門脈から吸収されます。

 

※α-GPCとは

α-グリセロホスホコリンのこと。食品中に多く含まれるホスファチジルコリンに比べコリン濃度が高く、水に溶けやすいため、門脈から効率よく吸収する事ができる

認知症改善効果、学習能力向上効果、ストレスホルモン分泌抑制、成長ホルモン分泌促進肝機能障害改善、血圧低下作用、競技パフォーマンス向上、脂肪燃焼促進、感染時免疫能・障害時修復能向上効果などの効果が期待できると言われている。

以前のブログでα-GPCについてまとめたことがあるため、こちらも参考にしてみてください

→「α-GPCはどんな栄養素?

 

 

ホスファチジルコリンの効果

ホスファチジルコリンは肝臓への脂肪蓄積予防効果胆汁酸から肝細胞を守る働きがあります。

また、ホスファチジルコリンはコリンの重要な補給源です。

補給したコリンには、脂肪性肝疾患気管支喘息神経管奇形(脳と脊髄にかかわる先天異常)などへの効果が期待されています。

 

 

ホスファチジルセリンとの違い

ホスファチジルセリンについての詳細は「脳とホスファチジルセリンの関係」のブログにまとめてありますので、こちらをご確認ください。

ホスファチジルコリンとホスファチジルセリンの構造の違いは、脂肪酸、グリセロール、リン酸からなるジグリセリド-3-リン酸のリン酸にコリンがついているかセリンがついているかです。

 

 

それぞれ、コリン、セリンの補給源として、脳内神経伝達物質や神経細胞の維持・形成などに役立っています。

 

 

まとめ

妊娠を希望している女性には胎児の神経管閉鎖障害を予防するために葉酸(400μg/日)の摂取が推奨されていますが、実は、葉酸が体内で働くためにはコリンが欠かせません。

また、乳児の成長にも必要であるため、妊娠中や授乳中にはコリンの必要量が増加します。

 

食品中のコリンはホスファチジルコリンの形をしていることが多いため、特に妊婦や授乳婦さんは意識して摂取したいですね😃

ちなみに、ホスファチジルコリンは以下のような食材に多く含まれています❗

毎日の食事に少しずつ取り入れてみてください😊

 

 

厚生労働省資料

青井 暢之, 油化学 第39巻 第1号(1990)10-15

滋賀医科大学サイト

・日比野英彦, オレオサイエンス 第7巻 第10号(2007) 399-411

・菅野 道廣, オレオサイエンス 第 17 巻第 5 号(2017)217-222

・日比野 英彦 et al., 脂質栄養学 第26巻,第 1 号(2017)89-106

Petition to Include Choline Salts on the National List(Balchem Corporation)

USDA Database for the Choline Content of Common Foods Release Two

 

 

この記事の著者

さとこママ

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス コミュニケーション・プロデュース部/ためになる栄養講座・ブログ・ニュースレター担当

大学卒業後は食品メーカーで商品開発を行い、その後、大学の寄付講座にて健康食品の素材に関する研究補助に従事し、現在は3児のママとして家事・育児・仕事に奮闘中。

ブログを通して、皆さまが新たな「気付き」や「発見」をしていただけるよう、題材選びや記事執筆などを行っていきたいと思っています。

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