日本人の食事摂取基準(2020年版)について


令和2年度~6年度の5年間使用される「日本人の食事摂取基準2020年版」の概要が発表されました。
策定の方向性や栄養素の摂取量について大きく変更されたものもありますので、簡単にご紹介します😊✨

■日本人の食事摂取基準とは

健康な個人または集団を対象として、
🍴国民の健康の維持・増進
🍴エネルギー・栄養素欠乏症の予防
🍴生活習慣病の予防
🍴過剰摂取による健康障害の予防 
を目的にエネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものです。

■内容が大きく変更された栄養素

 2020年版で大きく変更された点を以下にまとめます。
※今回ピックアップした栄養素において変更された基準値は、50~69歳男性の値を記載します。

年齢区分の変更 

50歳以上の年齢区分が変更され、 前期高齢者と後期高齢者が区分されています。

表1. 年齢区分の比較

高齢者の低栄養・フレイル予防追加

近年、高齢者の増加に伴い、フレイルが問題となっています。
フレイルとは、加齢に伴う運動機能や認知機能の低下により日々の活動が低下し、健康障害をきたしやすい「心身の虚弱状態」のことをいいます。

特に高齢者のフレイルは生活の質を落とすだけでなく、様々な合併症を引き起こしたり、要介護状態に至る可能性があることから、2020年版より追加されています。 

たんぱく質目標量最低値増加↑

たんぱく質の摂取不足が最も影響を及ぼすと考えられる疾患は、高齢者におけるフレイル及びサルコペニアです。
たんぱく質摂取量が多いほどフレイルの発症率又は罹患率が低い傾向があるとされ、50歳以上のたんぱく質摂取目標量(%エネルギー)の最低値が男女ともに増加しています。
※たんぱく質、脂質、炭水化物とそれらの構成成分が 総エネルギー摂取量に占めるべき割合

表3. たんぱく質目標量の比較

ナトリウム目標量減少↓

国民健康・栄養調査の結果を見ると、ナトリウムの摂取は減少傾向にあるものの、
継続した高血圧の予防・治療のためには、6 g/日未満の食塩摂取量が望ましいと考えられることから、できるだけこの値に近づくことを目標とすべきと考え、目標量が減少しています。

表4. ナトリウム目標量の比較

ビタミンD目安量増加↑

多くの日本人でビタミンDが不足している可能性があるとされています。
一方で、ビタミンDは摂取する量が日によって変わりやすく、総摂取量の8割近くが魚介類に由来するといった特長から、正常人の必要量を算出するのが困難とされています。

今回の改定では骨折のリスクを減少させるために必要な血中ビタミンD濃度や、アメリカ・カナダの食事摂取基準フレイルの予防日照により皮膚で産生される特殊性などを考慮したうえで、実現可能性に鑑みた目安量の策定しています。
※ただし、日照曝露時間や日照曝露によって産生されるであろうビタミン Dの量に、現時点では強い根拠はないことに留意すべきであるとされています

表5. ビタミンD目安量の比較

クロム耐用上限量策定

サプリメントの不適切な使用が過剰摂取を招く可能性があるため、最低健康障害発現量を参考に耐容上限量を策定しました。

表6. クロム耐用上限量の比較

■まとめ

今回は基準値が大きく変更する栄養素をピックアップしてご紹介しましたが、それ以外の栄養素でも変更点は多数あります。

日本人の食事摂取基準(2020年版)の詳細に関しては厚生労働省のホームページよりご覧いただけます。
↓↓↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html

 

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