以前は医薬品成分としてのみで使用されてきたコエンザイムQ10(CoQ10)ですが、現在では食品成分としてサプリメントなどにも配合されています。
しかし、そんなCoQ10には酸化型と還元型の2種類あることをご存知でしょうか❓
今回は、「CoQ10の酸化型と還元型の違い」についてまとめます💡
CoQ10はどんな栄養素?
CoQ10 はユビキノンやユビデカレノンともよばれる脂溶性のビタミン様物質で、コエンザイムとは酵素(エンザイム)を助ける成分のことです。
ユビ キノンとは身体の全ての組織に存在する意味でラテン語の「ユビキタス(いたるところに存在する)」に由来し、ヒトの体内でも合成されています。
CoQ10は植物、細菌、動物(ヒト)が持っており、コエンザイムQ10の「10」という数字は構造中のイソプレンという化学構造の繰り返し数を表しています。
ひとつのイソプレンは5個の炭素からできており、10個のイソプレンは50個の炭素数になることから、コエンザイムQ10をコエンザイムQ (50) と表示することもあります。
体内でCoQ10含有量が最も高いのは、ミトコンドリアが多い心臓、肝臓、腎臓および膵臓だといわれていますが、体内のCoQ10濃度は20歳代をピークに加齢に伴って減少します⤵
CoQ10の主な働きはエネルギー代謝と抗酸化作用です。
エネルギー代謝では、ミトコンドリア内で行われるエネルギー(ATP)生産で必須な成分です。
抗酸化作用については、活性酸素種をダイレクトに消去するのではなく、活性酸素種を消去して生成したビタミンEラジカルを還元してビタミンEを再生すると考えられています。
また、脂溶性の成分であるためリポタンパク質中に含まれたり細胞膜の中で働くという特徴があります。
酸化型と還元型の違いは?
コエンザイム Q10 には、酸化型と還元型の2種類の形があります。
それぞれの特徴などは以下の通りです。
酸化型CoQ10
酸化型CoQ10はユビキノンとも呼ばれ、抗酸化活性は示しません。
食品に含まれる酸化型CoQ10は、吸収後に小腸の細胞内で還元型へと変換された後、各臓器へと運ばれ利用されるといわれています。
しかし、酸化型から還元型に変換する力は、加齢や病気、ストレスとともに低下すると考えられています。
還元型CoQ10
還元型CoQ10はユビキノールとも呼ばれ、CoQ10の活性型であるといわれています。
体内ではほとんどのCoQ10が還元型の形で存在しています。
CoQ10はビタミンEと共同して働くと考えられており、ビタミンEが活性酸素種を消去してビタミンEラジカルが生じると、これを還元型CoQ10が還元して、ビタミンEに再生します。この工程でCoQ10は酸化型になりますが、肝臓に運ばれて再度還元型となり、血液中に放出されて全身を巡ります。
還元型CoQ10の含有割合が比較的高い食品にはハマチの刺身が挙げられます。
まとめ
CoQ10 が多く含まれている食材はイワシなどの青魚や肉類、野菜ではブロッコリーですが、日本人の食生活では1日の摂取量の40%は肉類からであり、CoQ10摂取には肉の依存度が高いといわれています。
しかし、肉類の摂取量は加齢によって減少することから、若者と比較して中高年齢者ではCoQ10の摂取量が減少していることが懸念されます。
また、加齢によって体内で作られるCoQ10の量や還元型への変換力も減少してしまうため、肉類やイワシなどの青魚をあまり食べない中高年齢者は、サプリメントなどでCoQ10を補うのもひとつの手です。
その場合は、酸化型ではなく還元型のCoQ10がお勧めです😄
(管理栄養士 さ)