今年の9月に、平成29年に実施された国民健康・栄養調査結果が公表されました。
ヘルシーパスでは毎年独自に調査結果をまとめているため、今回は「平成29年国民健康・栄養調査結果のまとめ」をご紹介します。
そもそも国民健康・栄養調査って何?
国民健康・栄養調査とは、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得るために、健康増進法に基づき、国民の身体の状況、 栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするための調査です。
今回の調査では、平成 29 年 11 月1日現在で1歳以上の者が対象となっています。
日本人に不足しがちな栄養素は?
日本人の食事摂取基準で栄養素ごとに決められている数値(推奨量、目標量、目安量など)と比較した所、年代や性別により栄養素の摂取状況は異なりますが、「ビタミン A(ベータカロテン)」「ビタミン B1」「ビタミン B2」「ビタミン B6」「ビタミン C」「カルシウム」「マグネシウム」「鉄」「亜鉛」「食物繊維」の不足が目立ちました。
特に、全ての年代において食物繊維が目標量摂取できていなかったり、ビタミン B1とカルシウムについては推奨量に達していないことが分かりました💦
なお、目標量とは「生活習慣病の発症予防を目的として算定された指標」です。
推奨量については、「この値の付近かそれ以上を摂取していれば不足のリスクがほとんどないものと考えられる量」であるため、推奨量に達していないということは不足のリスクがあるということです😱
年代別では、男女ともに20~39歳において不足している栄養素が多いです。
また、この年代は欠食率が高く、運動習慣のある者の割合が低い傾向にもあります。
(20歳代男性は運動習慣のあるものの割合は高め)
※20~39歳だけでなく、全ての年代で栄養素が十分満たされているわけではありません。
女性はもちろんのこと、男性でも20歳未満は鉄が不足していたり、男女とも7歳以上はビタミンB6が不足していることが多いなど、栄養素の摂取状況は全体として良いとは言えない状況です。
高齢者の栄養状態
平成29年の調査では、毎年実施している基本項目に加えて高齢者の健康・生活習慣の状況を重点項目とし、高齢者の筋肉量や生活の様子について初めて把握しています。
高齢者の結果は以下の通りです⬇
- 65歳以上の低栄養傾向の者(BMI≦20 kg/m2)の割合は、男性12.5%、女性19.6%。
- 男女とも、タンパク質の摂取量が多く肉体労働の時間が長い者ほど四肢の筋肉量が有意に増加。
- 外出していない男性は、外出している者と比較して低栄養傾向の者の割合が約20ポイント高い。
- 「何でも噛んで食べることができる」者の割合や、20本以上歯を有する者の割合は、60歳代から大きく減少。
いかがですか?
この結果が個人個人の栄養状態にそっくりそのまま当てはまるわけではありませんが、平均としての日本人の栄養状態が分かっていただけたのではないでしょうか?
次回は、「平成29年 国民健康・栄養調査結果のまとめ②」と題して、不足している栄養素によって体にどんな不調が現れる可能性があるのか、についてまとめたいと思います。
(管理栄養士 さ)
<参考>
・厚生労働省サイト「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」
・日本人の食事摂取基準2015年版