「抜け毛」は、男性だけでなく女性にも多く見られるお悩みです。
「髪は女性の命」とも言われるほど女性にとって髪はとても大事なものであり、抜け毛の悩みは深刻です。
また、女性に不足しやすい栄養素として鉄が挙げられますが、鉄不足と抜け毛には関係があると考えられています。
今回は、『女性の抜け毛と鉄不足関係』についてまとめます💡
抜け毛が多い人は鉄不足
脱毛で悩んでいる人は鉄が不足していることを報告している論文を2つご紹介します。
①鉄不足は抜け毛に関与
6ヶ月以上脱毛の症状があり、脱毛の治療をしていない人(女性113名、男性97名)と健康な人 (女性113名、男性97名)を調査したところ、女性型脱毛の患者は健康な女性と比較して血清フェリチン濃度が有意に低かった。
鉄の状態を最初にスクリーニングすることで、脱毛患者に役立つ可能性がある。
Iron plays a certain role in patterned hair loss
(J Korean Med Sci 2013; 28: 934-938 )
②閉経前女性の重度の脱毛は貯蔵鉄不足が危険因子
フランスに住む35~60歳のボランティアの女性5110名を調査したところ、閉経していない女性において、重度の脱毛と血清フェリチン値が低いことが有意に関係していた。
閉経前の女性では、貯蔵鉄(フェリチン)が少ないことが脱毛の危険因子になる可能性がある。
Low iron stores A risk factor for excessive hair loss in non-menopausal women
( Eur J Dermatol. 2007 Nov-Dec;17(6):507-12. )
●まとめ
鉄は、赤血球の血色素 (ヘモグロビン) や各種酵素の構成要素として酸素の運搬や細胞呼吸において重要な役割を担っているため、鉄が不足すると細胞に送られる酸素の量が少なくなってしまいます。
細胞の成長(分化・増殖)にはエネルギーが必要であり、エネルギーを作り出すためには酸素が必要となります。
髪は毛細血管から酸素を受け取って成長しますが、酸欠状態であるとエネルギー不足によって髪は十分に成長できずに、細く抜けやすくなってしまう可能性が考えられます😣
また、閉経前の日本人女性は鉄が不足していることが多いです。
少し古いデータになりますが、平成21年の国民健康・栄養調査の結果によると、20~49歳の女性は約70%が血清フェリチン値が30 μg/L 以下です。(平成22年の国民健康・栄養調査以降はフェリチン値の測定をしていません)
フェリチンは貯蔵鉄のことで、隠れ貧血の指標となります。
一般的に、血清フェリチン値は12 μg/L以下であれば鉄欠乏性貧血と診断され、 臨床の先生のお話を聞いてみると、30μg/Lを下回ると下記のような様々な鉄不足の症状がみられるようになることが多いそうです。
<鉄不足の症状の例>
・顔色が悪い
・めまい、立ちくらみ
・疲れやすい
・風邪をひきやすい
・神経過敏
・注意力低下、イライラ
・頭痛
・肩こり
・食べ物が飲み込みにくい
・不眠
・冷え性
こういった症状があって抜け毛にも悩んでいる女性には、意識して鉄を摂取することをお勧めします❗
鉄は、レバー、赤身の肉や魚、大豆製品、緑黄色野菜などに豊富に含まれており、クエン酸(梅干しや柑橘類に豊富)やビタミンC(野菜や果物に豊富)を一緒に取ることで鉄の吸収率がアップすることが分かっています⬆
是非、毎日の食事に鉄やクエン酸、ビタミンCの多い食品を積極的に取り入れてみてください😊
特に閉経前の女性は十分に鉄を補給して、元気な毎日を送りたいですね😄
以前のブログで、抜け毛と栄養素についてまとめています。
抜け毛に良い栄養素は鉄以外にもあるため、そちらも御覧いただければと思います。
→抜け毛に良い栄養素ご存知ですか?
(管理栄養士 さ)
<参考>
・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 サイト
・東京医科大学 皮膚科学教室 サイト
・J.JOCD Vol.24, No.3 2007 19(221)
・厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」情報発信 サイト
・平成21年 国民健康・栄養調査報告
・中野司郎レディースクリニック サイト
・高知大学 サイト
・日本食品標準成分表2015年版(七訂)