魚油に含まれる「EPA」「DHA」や亜麻仁油に含まれる「α-リノレン酸」などの「オメガ3系脂肪酸」には、体に良い働きがあることが知られており、積極的な摂取を意識されている方も多いかと思います。
今回は、そんな「オメガ3系脂肪酸」の血中濃度が健康に及ぼす影響についてご紹介いたします。
「オメガ3系脂肪酸濃度」は「コレステロール値」よりも死亡率に影響している??
フラミンガム研究(FHS:Framingham Heart Study)の子孫2500人を対象とした追跡調査で、血中オメガ3系脂肪酸濃度が最も高い(>6.8%)グループは、最も低い(4.2%未満)グループと比較して、いかなる原因による死亡リスクも34%低く、心血管疾患のリスクも39%低いという結果がでたと報告されています。
しかし、植物由来のn-3系脂肪酸(α-リノレン酸)は、リスク低下と有意には関連しておらず、EPA、特にDHAの血中濃度が上昇するにつれて、疾患や脂肪のリスクが減少したという結果が出ており、単に「オメガ3系脂肪酸濃度」ではなく、「どのオメガ3系脂肪酸濃度を参考にするか」も重要だと思われます。
また今回の調査では、「オメガ3系脂肪酸」は心疾患や死亡リスクとの関連がみられましたが、「コレステロール値」ではリスクとの関連がみられなかったそうです。
ハーバード公衆衛生学校ワシントン大学からの調査報告では、オメガ3系脂肪酸の血中濃度が高い高齢者は、全死亡リスクが27%低く、心疾患による死亡リスクが35%低いということがわかったと報告されています。
オメガ3系脂肪酸の中でも、DHAは冠動脈性心疾患のリスクを40%低下させ、不整脈による冠動脈疾患死亡率の低下(45%低下)と強い関連がみられ、DPAは脳卒中死亡リスクの低下、EPAは非致死性心臓発作のリスク低下と最も強い関連がみられたそうです。
この調査の研究者は、「オメガ3系脂肪酸摂取量は、非常に低い摂取量から1日400㎎程度に増えると、血中濃度の急上昇が起こった」ということも言及しています。
魚油サプリメントは、認知機能低下の発生を抑制する
高齢者(正常認知229人、軽度認知障害397人、アルツハイマー病患者193人)を対象とし、6か月ごとにMMSE、ADAS-cogとMRIを用いて評価を行い、認知機能の変化や大脳皮質灰白質および海馬、心室容積について調査研究を行ったものです。
結果として、魚油サプリメントの使用は認知機能低下率が有意に低いことと関連しているという結果がでました。
しかし条件として、調査の登録時に認知症の無い参加者に限って、という結果でした。
また、魚油サプリメントを摂取しているヒトは、摂取していないヒトと比較して脳の主要な神経領域の脳収縮が少ないことも示されました。
また、トランス脂肪酸の摂取が脳萎縮や認知機能低下に関連する、という報告もあります。
この報告では、ビタミンB群、C、D、Eやオメガ3系脂肪酸が血中に多い高齢者では、認知能力テストの反応が早く、能萎縮が抑えられていることがわかったことも報告され、トランス脂肪酸を多く含むジャンクフードより、野菜や果物、魚やナッツ類を積極的に摂取することがお勧めだと言及しています。
その他にも…
また、以前のブログでもご紹介いたしましたが、魚の摂取はうつ病のリスク低下につながること、うつ病患者では血中オメガ3系脂肪酸値が低いことなども報告されています。
これからは様々な健康の指標として、健康診断などで「オメガ3系脂肪酸値」が調べられるようになるかもしれませんね
(あ)も健康長寿に向けて、「オメガ3系脂肪酸」の定期的な摂取を意識したいと思います
(管理栄養士 あ)