栄養指導を続けていて気になったのは、カルテをチェックすると「この患者様、いつもこの時期に悪化する…!」という時期があることです。
一般的にも、血糖値の平均を反映したHbA1cは冬場に上がりやすく、秋には下がりやすいといわれています。
今回は指導の際に活用していた、「イベント連動グラフ」をご紹介したいと思います
●いつも「なんとなく感じていた」数値の悪化
栄養指導の際には、今回の検査の結果をみて、「前回からここまでの変化」について聞き取りを行う、ということを行っていました 。
時期によっては、数値が悪化している方の割合が多いな、と感じることもありましたが、『この時期は「食べ過ぎちゃった」と言う方が多いからな…。』と思うにとどまり、従来通り「これまでの反省点」と「これから気を付けること」についてお伝えしていました。
しかしある時、先生から「そろそろ、みんな血糖値が悪化する時期だから、年末年始の食べすぎとか運動不足に気を付けるように指導して」と依頼されたことをきっかけに、「事前に悪化する時期を知ることで、悪化を防ぐことができるかもしれない」ということに気が付きました 。
●上がる時期はみ~んな一緒…??
年末年始、お盆などの長期休暇前後は生活習慣が変化する方も多く、確かに血糖値などの数値の悪化がみられる方も多くいらっしゃいました。
しかし、数値が悪化しない、むしろ改善する方もちらほら…。
改善した方にお話しを聞くと、「特に生活が変わらなかったから…」というお答えも
しかし、その方はその方で悪化する時期があります。
そこで思いついたのが、HbA1c値などの数値とイベントを記載した「イベント連動グラフ」の作成です
(イベント連動グラフ例)
ここでポイントとなるのは、「その患者様のイベント、感想など」を大まかにでも書き込んでみることです。
特に「毎年習慣になっていること」を書いておくのがお勧めです
例えば、農家などの季節による繁忙期のある方では、このような変動になったりします。
数値が悪化する時期について確認すると、「売り物にならないもの、採れすぎたもので人にあげきれない分をもったいないから食べてしまう」という方や、「繁忙期は朝も昼もおにぎりだけ、などの偏った食事になってしまう」という方などがいらっしゃいました
しかし、畑作業などは運動量も多く、時期によって血糖値が改善傾向になることに気付くこともあります
一方で、仕事内容や生活習慣、地域などが異なると、また違った変動がみられたりします
この例では、地域でのお祭りなどのイベントごとに「会合」の回数が増えることが、悪化の原因の一つとなっていることがわかります。
しかし、ボランティア活動の一環として「良く歩く」という習慣があることにも気付くことが出来ます
●グラフを活用し、悪化を未然に防ぐ意識を!
大切なのは、「イベントが良くない」のではなく、「その時期のイベント(生活の変化)がどのように体に影響するか」をお伝えすることです。
また、昨年までの「悪化時期・傾向」が把握できていれば、指導に入っていない方でも、待合室などでのお待ちのタイミングで「これからの 時期に注意すれば、数値の悪くなりやすい時期を乗り切れますよ~!頑張ってください!」などお声かけだけでも可能になります。
「悪化しやすい時期」はありますが、その時期や理由も人それぞれ異なっていることが多い、というのが私自身の感想です。
また環境の変化などがあったりすると、今までと異なる変動になることもありますので、ご家庭やお仕事などの変化があったかもお聞きするとよいかもしれません。
年間を通して「どういったイベント、習慣があるか」を知ることで、数値の変動に対して事前に備えるツールの一つになることもあります
(今回は「HbA1c値」を参考にご紹介いたしましたが、「体重」や「コレステロール値」「尿酸値」などの数値を一緒に記載すること、さらに数年単位で見てみることも、人によって効果的だったりします。)
もし、他にもおススメの指導ツールなどのご意見がございましたら、ぜひお教えください
(管理栄養士 あ)