前回まで3回にわたって「平成28年国民健康・栄養調査」の結果をご紹介してきました。
今回は概要 にも取り上げられている「高齢者女性の低栄養傾向」についてご紹介いたします。
●高齢者女性の低栄養傾向者が徐々に増加しています。
平成28年国民健康・栄養調査の概要として、「高齢者の女性における低栄養傾向の者の割合は、この10年間で有意に増加」という記載があります。
この「低栄養傾向」の基準の一つとなっているのは、体格指数(BMI)の値です。
調査では、BMIが20以下を低栄養傾向とし、まとめています。
女性が増加傾向にあるのに対し、男性ではやや減少している傾向があります。
●栄養素摂取量は変わっていない?!
70歳以上男女の栄養素摂取量を平成18年、平成22年、平成28年で比較してみました。
(70歳以上男性)
(70歳以上女性)
比較しても、栄養素の摂取量は大きく変化していません。
他の世代に比べ、70歳以上の方は栄養素の摂取量は良い傾向にあります。
しかし、それでも「エネルギー量、炭水化物量、食物繊維、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、カルシウム、マグネシウム」などは不足気味です。
不足している栄養素の働きと、不足症状は以下の通りです。
●「70歳以上」では範囲が広すぎる?!
以下は、65歳以上女性の低栄養傾向(BMI≦20)の方の年齢別での割合です。
特に、80歳以上の方の低栄養傾向の割合が多いということがわかります。
そのため、栄養素摂取量も80歳以上の方は70歳代の方と差がある可能性があります
2012年に行われた「中高年者の暮らし方の調査」では、70代後半になると外出や買い物がだんだん困難になる傾向がみられました。
助けを借りずに外出や買い物をすることが難しいのは、男性よりも女性の80代に多くみられることから、女性の方が加齢によって骨や筋肉が弱くなる人が多い、と考えられます。
そのため、「70歳以上」でも70歳代前半と後半、80歳代などで生活環境や身体状況などが変化し、食事摂取量が変わる可能性があります。
「国民健康・栄養調査」を目安としながらも、一人一人異なる食事内容、栄養摂取量であることにも注意し、ご自身が不足している栄養素がないか、などを意識されるとよいと思います
(あ)