そろそろスギ花粉の飛散も落ち着き始めたな…と思い始めたころに、飛び始めるのがヒノキやシラカバの花粉です
イネ科やブタクサの花粉症がある方もいるので、年中花粉症にお悩みの方もいらっしゃると思います
今回は、そんな花粉症が原因となる食物アレルギー(PFS)についてご紹介いたします
現在、花粉症を含むアレルギー疾患は日本人の約5割が罹患していると言われ、特に花粉症は年々増加しています
花粉症では、様々な症状(鼻炎症状、目、皮膚の痒みなど)を感じる方が多いと思いますが、
「花粉症になってから、特定の食品を食べると口の周りが痒くなったりする 」などの症状がある方はおられませんか?
それは「花粉・食物アレルギー症候群(pollen-food syndrome(以下PFS))」かもしれません。
●花粉・食物アレルギー症候群(pollen-food syndrome)とは?
経気道や経皮的に花粉やラテックスなどに感作され、交差抗原性のある食物を食べることで症状が出るものを「クラスⅡ食物アレルギー」と区分します。
*従来の経口摂取により消化管を介して感作と症状が起こるものを「クラスⅠ食物アレルギー」と言います。
クラスⅡ食物アレルギーは成人に多く、症状が口腔に限られ、加熱や胃液での消化で抗原性が低下し、アレルギー反応が弱くなりやすいという特徴があります。
花粉との交差抗原性により口腔内外にかゆみや違和感などの症状が出るアレルギー反応を、「花粉・食物アレルギー症候群(PFS)」と呼びます。
●PFSの発症機序
牛 と山羊 のように種が近いと、それぞれが作るたんぱく質も良く似ているため、牛乳に対してできたIgE抗体が山羊乳にも反応する場合があります
こうした場合、牛乳と山羊乳には交差抗原性がある、といいます。
PFSでは、スギ花粉とトマト、シラカバ花粉とリンゴといった組み合わせの交差抗原性が原因で発症すると考えられています。
表に、花粉の種類とそれに対して交差抗原性を有する可能性がある食品をまとめました。
●どういったことに気をつければよいのか?
PFSを発症すると、主に生の果物や野菜を食べることで起きる口腔内や口の周りの痒みや違和感などに悩まされることになります。
しかし、花粉の免疫療法は鼻炎症状には効果があっても口腔の痒みや違和感などの症状には効果が少ないといった報告が多く、現時点では原因食物を除去することが有効と言われています。
PFSで起こりがちな問題として、何が原因かわからず、多くの食品を食卓から除去してしまうことによって栄養のバランスが崩れてしまうことが挙げられます。
ただし、症状が軽いからといって原因食品を食べ続けることで重症化してしまうこともあるので、栄養不足を心配し、我慢して食べるということはお勧めできません
口腔内や口の周りの痒み、違和感ような症状が出たら、検査を受け、具体的にどの食品を除去しないといけないのかを調べるようにすることをお勧めします
その上で、栄養が不足してしまいそうな場合には、アレルゲンの含まれていないサプリメントなどで栄養を補うことを意識することも良いと思います
(あ)
ウェザーニュース いつ頃から楽になる?飛散ピークを解説 (https://weathernews.jp/s/topics/201703/010085/)
厚生労働省 アレルギー疾患の現状等 (http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf)
口腔アレルギー症候群 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/117/5/117_702/_pdf)
独立行政法人 環境再生保全機構 よくわかる食物アレルギーの基礎知識
食物アレルギー診療ガイドライン2016 ダイジェスト版 (http://www.jspaci.jp/allergy_2016/chap11_2.html)
口腔アレルギー症候 群とラテックスアレルギー (https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/93/5/93_5_1032/_pdf)