前のブログでは、炭水化物・糖質・糖類の成分表示上での違いについて説明しました。
最近、多くの企業が健康志向の消費者を対象に、表示する成分名などを使い分ける意識をしています。
では、一般的に栄養成分表示を意識して見ている方はどの程度いるのでしょうか?
そこで今回は、国民健康・栄養調査*の結果をもとに栄養成分表示を見ているかどうかなどについて、ご紹介したいと思います。
*国民健康・栄養調査:健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とした調査のこと
栄養成分表示を見ている人の割合は?
平成27年の国民健康・栄養調査で、
「ふだん食品を購入する時に、栄養成分の表示を参考にしていますか。」
という問いに対して、以下のような結果が報告されています。
男性
女性
男女別に見ると、「参考にしている」*人の割合は、男性で26.1%、女性で53.0%でした
(*「いつもしている」「時々している」と回答した人)
栄養成分表示を参考にしている人の割合は、全世代において男性より女性の方が多く、世代別では男女とも50代の人の割合が多くなっています
栄養成分表の何を見ているのか?
「食品を購入する時の参考として、必要だと思う栄養成分表示はどれですか?」
という問いに対しては、以下のような結果でした。
男女別
男性は「特にない 」、女性は「エネルギー(熱量)」が最も多いです。
性別ごとに「特にない」を除いて見ると、
男性の全世代では「エネルギー(熱量) 」が最も多く、
20-30代は「たんぱく質 」、「ビタミン・ミネラル類」
40-50代は「ビタミン・ミネラル類」、「食物繊維」
60代は「糖類 」、「食物繊維」
70代では「食物繊維」、「ナトリウム(食塩相当量)」が多いという結果でした。
また、「特にない」と答える人の割合が、全世代で3割を超え、特に60代・70代では4割を超えています。
女性では20代-60代では「エネルギー(熱量)」、70代では「食物繊維」が最も多く、
20-40代は「ビタミン・ミネラル」、「食物繊維」
50代は「脂質」、「ナトリウム(食塩相当量)」
60代は「脂質」、「コレステロール 」
70代は「エネルギー(熱量)」、「たんぱく質」、「ビタミン・ミネラル」が多かったです。
結果を見てみると、各世代、性別ごとに、食事に対して意識している栄養素が違っていることがわかります
なお、消費者庁が行った「栄養表示に関する読み取り調査」では、一般消費者の栄養表示に関する理解度はさほど高くはないものの、健康のために栄養成分表示が必要であることは十分に認識しており、活用意向も決して低くないことがわかりました
しかし、栄養に関する知識や栄養表示の理解が不足していることから、栄養表示を見てもわからないとの理由で、栄養表示を見ていない人が相当数いるようです
栄養成分表示の活用意向が高くなり、その表示内容なども見直され始めていますが、そういった情報を活用するためには栄養素や栄養表示についての正しい知識を持つことが必要になります。
正しい知識を、といってもなかなか難しいと思います
まずは前回ご紹介した炭水化物や糖質、糖類などから見るように意識してもらい、徐々に興味のある成分を増やすようにし、成分表示を自身の健康管理の参考として活用していっていただけたらと思います
(あ)