先日、総務省から2016年の家計調査報告(家計収支編)が発表されました
報告内容を見てみると、なんとエンゲル係数が4年連続で上昇し、29年ぶりの高水準となったそうです
そこで今回は、「2016年の家計調査報告(家計収支編)」について、エンゲル係数に着目してまとめたいと思います
●そもそもエンゲル係数って何?
エンゲル係数とは、消費支出に占める食料費の割合を指します。
ドイツの経済学者であるエンゲルが提唱した指標であり、一般的にエンゲル係数が低いほど生活水準が高いとされています
その理由としては、所得の高い世帯では消費支出に占める食料費の割合が小さいことから、この割合が低いことが経済的ゆとりを示すと考えられるからです。
●2016年 家計調査報告(2人以上の世帯が対象)まとめ
世帯収入は実質0.3%増加しましたが、消費支出が前年に比べて1.7%減少しました
消費が減少した項目と増加した項目は以下の通りです
<消費が減少した項目>
・食料(生鮮野菜などを含む)
・光熱、水道
・住居
・被服及び履物
・教養娯楽
・交通、通信
・家具、家事用品
・その他消費支出(交際費や設備修繕、維持含む)
<消費が増加した項目>
・教育
・保健医療
食料は消費が減少していますが、他の項目の消費の減少量が大きいためにエンゲル係数が上昇してしまったようです
一般的には経済成長とともにエンゲル係数は下がることが普通であり、エンゲル係数の上昇は貧困を意味します
しかし、現代は健康に気をつかって良い食事をする人も多く、一概にエンゲル係数と貧困を関連づけてよいのかは疑問 ですね。
ちなみに、『食料』の詳細を見てみると、魚介類、野菜・海藻、果物などが減少 した一方で、調理食品などが増加 となり、実質0.2%の減少となったそうです。
特に野菜については夏場の天候不順の影響で価格の高騰があったため、購入量としては前年と比較して減少量が多いと思われます
魚介類にはビタミン、ミネラルの他、オメガ3系脂肪酸などの日本人が不足しがちな栄養素が含まれています。
また、野菜や海草、果物にもビタミン、ミネラルが豊富でありポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化物質や食物繊維の補給源でもあります。
一方で調理食品については、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが少ないことが多く、さらにカルシウムやマグネシウムの吸収を妨げるリン酸塩、安全性が危惧されている人工甘味料、調味料、保存料、着色料などの添加物が入っていることが多くあります
個人的には、食べ物にこだわって「旬の有機野菜」や「抗生物質や遺伝子組み換え作物を与えられていない肉」、「添加物や異性化糖の入っていない調味料」を購入するなど、安全性を重視しつつ十分な栄養を補い、健康レベルを上げることが大切だと考えています
そうすると、必然的に食費が上がってしまうため、エンゲル係数が上がること自体は悪い事ではないと思います。
しかし、2016年のエンゲル係数の上昇の内容を見てみると「健康レベルを上げるどころか下げ、保険医療費の増加につながってしまうのではないか」と心配です…
保険医療費を下げるためにも食べ物にはお金をかけたいものですね
もし、普段の食事で十分な栄養素を補うのが難しい場合にはサプリメントなども活用し、健康レベルを上げていきましょう
(さ)
<参考>
・総務省統計局サイト
・http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.htm
・http://www.stat.go.jp/koukou/cases/cat5/fact1.htm
・日本人の食事摂取基準 2015年版
・ミネラルの辞典(朝倉書店)