低炭水化物食が流行っていますね
低炭水化物食については賛否両論ですが、「血糖値を上げにくい」、「減量に役立つ」などのメリットがあると言われ、実践している方が増えているようです。
今回は、『低炭水化物食と低脂肪食の比較』について調べている論文をご紹介します
●短期間の低炭水化物食は低脂肪食よりも減量に有効
「減量において、低炭水化物食は低脂肪食よりもわずかに有利かもしれない」という内容の、アメリカにあるメイヨー・クリニックなどからのレビュー報告です
【目的】
近年、肥満者の割合が劇的に増加しており、アメリカにおいては肥満は死因の上位にあるため、多くの人が様々な食事法で減量を試みている。
例えば低炭水化物食や低脂肪食などの食事法が挙げられる。
2015年にはアメリカ農務省食生活ガイドラインが改訂され、コレステロール摂取制限がなくなった。
このガイドラインを実践すると、赤肉または加工肉の消費が増加してしまう可能性があるが、赤身肉(特に加工肉)の摂取量が多いと心血管疾患および全死亡率が増加したり、発癌性がある事が報告されている。
そこで、低炭水化物食と低脂肪食はどちらが減量に効果的なのかを検証する。
【方法】
2005年1月から2016年4月までの72件の研究(無作為化比較対照試験、クロスオーバー試験、およびシステマティックレビュー)を分析し、減量または肥満および心血管の指標(グルコース代謝、血圧、コレステロールレベルなど)における低炭水化物食の影響を調べた。
試験の参加者は論文によって異なり9~数百人であった。
なお、低炭水化物食の定義は決まっていないが、一般的には、1日の炭水化物の摂取量は20~60g(1日総摂取カロリーの20%未満)であり、超低糖質ケトン食では炭水化物を1日20g未満に制限する。
今回の分析においては、低炭水化物食を1日の総摂取カロリーの4%(炭水化物量は20g未満)~46%とした。
【結果】
・2つのメタアナリシスは、6ヶ月間では低脂肪食と比較して低炭水化物食はより大きな体重減少を示したが、12ヶ月での体重減少は同等であった。
・適度な低炭水化物食よりも超低糖質ケトン食の方が体重が減る可能性があるが、6ヶ月以上超低糖質ケトン食を実践できた人はほとんどいなかった。
・低炭水化物食は、長期間の血糖コントロールにはほとんど影響を及ぼさなかった。
【まとめ】
短期間(6ヶ月以内)の低炭水化物食は低脂肪食よりもわずかに減量に有効である可能性がある。
<論文>
Are Low-Carbohydrate Diets Safe and Effective?
(http://jaoa.org/article.aspx?articleid=2588522)
なお、低炭水化物食は他の食事と比較して、血圧、グルコース、コレステロールに対する負の影響はありませんでした。
体重を減らしたい場合には、短期間であれば低炭水化物食を試してみるのが良さそうですね
しかし、炭水化物とは糖質と食物繊維を合わせたものを言い、私たちヒトが利用可能な炭水化物が糖質、利用できないものが食物繊維に分類されます。
食物繊維は腸の状態を整えるために重要であり、日本人は足りていない栄養素として知られているため、食物繊維の摂取量を減らすことはお勧めできません
また、糖質は主食(ご飯、パン、麺類など)の他、野菜、果物、牛乳などにも含まれており、栄養バランス良く食事を摂ろうとすると、どうしてもある程度の糖質が摂れてしまいます。
病気の治療などのために医師から厳格な糖質制限を指導されている方は除き、もし低炭水化物食を試す場合には、まずは、甘いもの、せんべい、スナック菓子、清涼飲料水などを食べるのをやめ、主食の量を減らす(抜く)などがお勧めです。
炭水化物を減らした分は、肉類、魚介類、卵類、大豆製品などでタンパク質を十分に補給するとともに、野菜、きのこ、海草などもしっかり食べるようにしたいものです
※人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK など)を使って糖質ゼロとしているものはお勧めできません。
合成甘味料(人工甘味料)
(さ)
<参考>
・リンク・デ・ダイエット(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail_news.htm&kibanID=57891&-lay=lay&-Find)
・日本食品標準成分表2015年版(七訂) 炭水化物成分表編(http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365452.htm)