多くの親は、「子供の頭を良くしたい」と願っているのではないでしょうか
そのために早期から塾や習い事に通わせている方も多いかもしれないですね。
しかし、お子様の食事に気を使っている方はどれくらいいらっしゃるでしょう
今回は、「子供の読解力を上げる食事」について調べている論文をご紹介します
●子供の読解力を上げる食事
「野菜、果物(特にベリー類)、魚、全粒穀物と不飽和脂肪を豊富に摂り、糖分の多い加工食品を控えめにしている子どもは、そうでない子どもに比べて読解力が高い傾向にある」という内容の、フィンランドにある東フィンランド大学などの研究者らによる研究報告です
【目的】
低栄養の状態は、子供の急速に発達する脳や認知機能を損ない学業成績を低下させる可能性がある。
一般的に、地中海式の食事は健康的な食事として良く用いられるが、北欧諸国などの他の国の食事に簡単に置き換えることができない可能性がある。
そのため、フィンランドを含む北欧諸国の健康的な食事パターンを示すために、バルト海食事スコアとフィンランド児健康食事指数が開発された。
しかし、バルト海食事スコアやフィンランド児健康食事指数と子供の学業成績との関連についての報告はない。
そこで、フィンランド人の小学校1年生の子供の食事を地中海食事スコア、バルト海食事スコア、フィンランド児健康食事指数で評価し、学力との関係を調べる。
【対象】
小学1年生のフィンランド人の子供161名(男の子87名、女の子74名)。
【方法】
平日と休日を含む4日間の食物記録を用いて食事内容を調査し、地中海食事スコア、バルト海食事スコア、およびフィンランド児童健康食事指数で評価した。
また、学業成績は読みの流暢さ、読解力、計算能力テストで評価した。
【結果】
・地中海食事スコアが高いと3年生における読解力が高かった。
・バルト海食事スコアが高いと2~3年生における読みの流暢さ、1~3年生における読解力が高かった。
・フィンランド児童健康食摂取指数が高いと1~2年生における読みの流暢さ、1~3年生における読解力が高かった。
・バルト海食事スコアとフィンランド児童健康食事指数が高い子供は、低い子供と比較して小学1~3年生における読みの流暢さと読解力が優れていた。
・食事の評価は計算能力とは関連がなかった。
【まとめ】
子供が質の高い食事を摂ることで、読みの流暢さや読解力が高くなる可能性がある。
<論文要旨>
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00394-016-1270-5
北欧やフィンランドでは野菜、果物、ベリー類、低脂肪乳の摂取量を増やし、赤身肉、ソーセージ、砂糖が多く含まれる食品の摂取量を減らすような食事ガイドラインがあり、フィンランドの公立の小学校に通っている子供は、野菜、低脂肪乳、高繊維穀物繊維の給食が無料で提供されるようです
なお、バルト海食事スコアが高いと、ビタミンやポリフェノール、フラボノイド、食物繊維などが豊富に摂れ、飽和脂肪酸の摂取量は少ないと言え、フィンランド児童健康食事指数が高いと、ビタミンE、ビタミンD、多価不飽和脂肪酸、食物繊維の摂取量が多く、飽和脂肪酸の摂取量が少ないと言えるそうです。
バルト海式食事スコアやフィンランド児童健康食事指数が高い食事で摂れる栄養素には、脳を含む細胞の損傷を抑えたり、細胞の増殖を助ける効果が期待されるため、読解力などの学習能力に良い影響を与えるのかもしれませんね
日本の場合には、地中海やバルト海付近で食べているような食事はあまり摂らないため別の評価が必要だと思いますが、子供が健康的な食事を摂ることは良いことだと思います
日本の食文化にはビタミンやミネラル、食物繊維が多い海草や根菜、発酵食品などを取り入れる習慣があり、煮物や和えの物など余分な油を使わずに、低温で調理する料理が多くあります。
こういった料理は、酸化した油や糖化した物質などの細胞にダメージを与えるようなものがほとんど含まれていないため、とても健康的です
子供が好きなハンバーグやスパゲティー、カレーライス、ラーメンなどはたまには良いと思いますが、日常的な食事では、雑穀米や味噌汁、納豆、煮物、和え物などをメインに摂りたいものです。
(さ)
<参考>
・リンク・デ・ダイエット(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=56302&-lay=lay&-Find)