骨や筋肉の健康、風邪やインフルエンザ、花粉症、がん、肥満の対策など、近年、ビタミンDの有効性に注目が集まっていますね
私を含め、当社のスタッフやお客様の中にもマルチビタミン&ミネラルに追加してビタミンDを補っていらっしゃる方もいらっしゃいます
今回は、「血中のビタミンD濃度と乳がんの生存率との関係」について調べている論文をご紹介します
血中のビタミンD濃度が高いと乳がんの生存率が高くなる
「血中のビタミンD濃度が高い女性は、乳がんと診断された後の生存率が高いようだ」という内容の、アメリカにあるカイザーパーマネンテとロズウェルパークがん研究所からの研究報告です
目的
ビタミンDの欠乏は様々ながんに関与していると言われ、ビタミンDが乳がん再発や死亡を予防するという効果に期待が寄せられている。
しかし、体内のビタミンDの状態(血中濃度)は必ずしもがんに特異的ではないため、ビタミンDが乳がんの生存率や予後と関係があるのかどうかは明確に分かっていない。
そこで、「血中ビタミンDレベルと乳がんの予後(乳がんの再発、二次原発がん、および死亡を含む)との関連性」を調べる。
対象
カイザー・パーマネンテ北カリフォルニアの施設で乳がんと診断された平均年齢58.7歳(閉経前が31%・閉経後が69%)の女性1,666名。
方法
乳がんの診断時に血中のビタミンD[25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)]濃度を測定し、血中のビタミンD濃度と乳がんの予後との関連性を調べた前向きコホート研究。
なお、最初と6、12、24、48、72および96カ月に郵送や電話でアンケートを実施し、2006~2013年の期間に追跡調査を行った。
結果
・若い女性よりも高齢女性の方が血中のビタミンD濃度が高い傾向にあった。
・研究に参加した女性の約半数(48%)がビタミンD欠乏状態(20 ng/ml未満)であり、残りの35%も不足(20.0~29.9 ng/ml)していた。
・閉経前の女性では、血中のビタミンD濃度が高ことは再発なし生存率、全生存率、乳がん特異的生存率、浸潤性がんなし生存率と関連していた。
・閉経後の女性では、血中のビタミンD濃度が高いことは全生存率と関連していた。
まとめ
血中のビタミンDレベルが高い乳がん患者は生存率が高く予後が良好であるようだ。
<論文要旨>
http://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2580715
まとめ
秋から冬にかけては日照時間も少なくなるため、体内のビタミンD濃度は減少しがちです
ビタミンDには免疫を調節する作用があり、秋から冬にかけて風邪やインフルエンザが流行する理由のひとつにビタミンD不足が関わっているのではないかと言われています
ちなみに、日本人が必要とする1日当たりのビタミンD量は明らかではありませんが、外国人を対象とした海外の文献によると1日当たり最低でも15μgは必要であると考えられているようです。
厚生労働省が示している日本人の食事摂取基準では、成人における食物からのビタミンDの摂取目安量を5.5μgとしているため、約10μgは日光(紫外線)に当たることで体内で合成させないといけない計算になります
両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、5.5μgのビタミンDを合成させるのには、紫外線の弱い冬の12月の正午では、那覇で8分、つくばでは22分、緯度の高い札幌では76分間の日光浴が必要なようです。
ビタミンDを多く含む食材には魚介類やきのこ類が挙げられますが、魚介類をあまり食べない人や紫外線を避ける生活をしている人、寝たきりの人などはどうしてもビタミンDが不足してしまいます
また、お母さんが紫外線を避けて生活をしている母乳栄養児もビタミンDが不足しやすいと考えられます
穀物、果実、海藻、野菜類、大方の肉類などにはビタミンDはほとんど含まれていないため、魚介類やキノコ類を積極的に摂ったり、紫外線対策をしないで日光に当たったり、それが難しい場合にはビタミンDサプリメントを利用するなどして、ビタミンDの不足は避けたいものです
(さ)
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=57181&-lay=lay&-Find
厚生労働省『「統合医療」に関わる情報発信等推進事業』「統合医療」情報発信サイト
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/17.html
国立環境研究所サイト
https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html
国立環境研究所 地球環境研究センター サイト
http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/glossary.html