【論文紹介】肥満の母から産まれた子は高血圧になりやすい


前々回のブログでは、妊婦さんの大豆製品摂取によって自身のうつ病リスク低下と関連するという内容の論文を紹介しました⇒【論文紹介】妊娠中のうつは大豆製品で予防

しかし、やはり妊娠前から妊娠中の母親の食生活による胎児への影響は気になるもので、最近では、妊娠中の母親の食事や体内の代謝状態によっては胎内の子供に影響をきたし、子供の将来の健康に悪影響を及ぼす可能性があることが示唆されていますsweat_drops

今回は、『肥満の母親から産まれた子供の高血圧リスク』について調べている論文をご紹介しますbulb

 

●肥満の母から産まれた子は高血圧になりやすい
母体の胎内で胎児が高濃度のレプチンに曝されると、胎児の脳にある血圧を調節する受容体が不可逆的に活性化され、高血圧になりやすい可能性がある」という内容の、イギリスにあるロンドン大学からの研究報告ですarrow_double_down

 

【目的】
妊婦の肥満が増加しており、妊娠中の母親が肥満であった場合、産まれてくる子供が高血圧を含む代謝性の心腎臓疾患になりやすいと言われている。

また、中枢メラノコルチン系のシグナル伝達が肥満や血圧調節に関与することが分かっている。

そこで、妊娠中の母親が肥満であった場合に子供の中枢メラノコルチン系へ与える影響について調べる。

 

【方法】
食餌によって肥満したラットの子孫を用いて、腎組織学、レニン/アンジオテンシン系、酸化ストレス、炎症状態などを調べた。
また、母親の肥満によって生じる高血圧に関わるメラノコルチン4受容体の役割を遺伝子変異マウスを用いて調べた。

 

【結果】
肥満の母親から産まれた子供ラットは肥満する前に高血圧になり、それにはメラノコルチン4受容体の活性化が関わっていた

レプチン濃度の上昇によりメラノコルチン4受容体ニューロンの活性化を経験したマウスでは、その後、高血圧や腎臓障害がみられた

腎臓障害は酸化ストレスの増加と関連していた。

 

【まとめ】
肥満でレプチンが過剰な母親から産まれた子供は、将来、高血圧と腎臓疾患リスクが高くなる可能性がある。

 

<論文要旨>
http://www.pnas.org/content/113/43/12298.abstract

 

少し難しい内容でしたねsweat_smile

今回出てきた用語の中で「レプチン」がありますが、以前のブログでまとめていますので、是非、参考にしてみてください⇒レプチンについて

 

肥満の妊婦さん増加の一方で、日本では痩せすぎの妊婦さんも多いと言われています汗

もともと痩せている人(特にBMI18.5未満の人)が妊娠中に食事制限などで低栄養状態になると、赤ちゃんに栄養が行き届かずに赤ちゃんも低栄養になって出生体重が少なくなってしまうリスクが増加します。
低体重で産まれてきた赤ちゃんは将来、糖尿病、高血圧、心臓病といった生活習慣病のリスクが高くなることが研究により分かってきていますscream

※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

 

妊婦さんが肥満でもやせ過ぎでも産まれてくる赤ちゃんへの影響は似ていますねastonished

体質的に太りにくいという方もいらっしゃるため、痩せているからと無理に食べて体重を増やす必要はありませんが、少なくとも赤ちゃんの体重(約3kg)、胎盤(約500g )、羊水(約500g)、乳腺や血液、体脂肪の増加(約4㎏)分程度(約8㎏)の増加はあった方が良いと思います妊婦さん

しかし、太り過ぎてしまった場合には産道に脂肪がつき、難産になってしまう可能性もあるため、急激な体重増加や、もともと肥満気味(BMIが25以上)な人の体重増加には少し注意が必要ですpersevere

やはり痩せすぎも太りすぎも良くありませんね汗①

妊娠前でも妊娠中でも、体を作る元となるタンパク質や、不足しがちなビタミン、ミネラルが不足しないよう、また、糖質や脂質を摂りすぎないでバランスのとれた食生活を心掛けたいものですsmile

 

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(さ)

 

<参考>
・リンク・デ・ダイエット(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=56886&-lay=lay&-Find
・厚生労働省サイト(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oujo-att/2r9852000001oumv.pdf
・日本産科婦人科学会サイト
・順天堂大学医学部付属 静岡病院サイト(http://www.hosp-shizuoka.juntendo.ac.jp/column/stork_club/2006_summer_01.html

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