コーヒー、紅茶、緑茶などカフェイン入り飲料を普段飲んでいますか
カフェインの摂取は良い点もあれば良くない点もあると言われていますが、カフェインの摂取量が多い高齢女性は認知症のリスクが下がるかもしれないようです
今回は「高齢女性のカフェイン摂取と認知症との関係」について調べている論文をご紹介します
●女性はカフェインで認知症予防対策できるかも?
「高齢女性のカフェイン摂取が多いことと認知症発症リスクの減少は関連した」という内容の、アメリカにあるウィスコンシン大学ミルウォーキー校の研究者らによる報告です
【目的】
動物実験では、カフェインやコーヒーの生理活性成分は認識機能障害やアルツハイマー病に対する保護効果がある事が示唆されている。
アルツハイマー病は年齢に関連する神経変性疾患で、最も一般的な認知症の原因であり、進行する記憶障害や物忘れなどが特徴。
また、神経病理学的変化(アミロイドβ斑および神経原線維変化の沈着)が数十年かけて進行すると言われるが、カフェインには行動上の効果だけでなくアルツハイマー病に関連すると言われるベータアミロイドレベルにも良い効果があると言われている。
そこで、高齢女性におけるカフェイン摂取と認知機能障害の発症率との関連を調べる。
【対象】
アメリカで行われたホルモン補充療法と認知機能に関する調査(WHIMS)に参加した65~80歳の女性6,467名。
【方法】
カフェイン摂取量は食物頻度アンケートを用いてコーヒー、紅茶、コーラ飲料の摂取量から推定した。
また、電話での認知症アンケート調査によって認知力と行動の変化歴、機能障害、脳卒中のような認知機能に影響を与える出来事を聞き取った。
調査には1995~1999年の間に参加してもらい、2007年まで追跡した。
調査期間は、2007年の最後の認知機能評価までか、または10年間であった。
【結果】
・心血管疾患の既往歴がない割合は89%、糖尿病既往歴がない割合は92%であった。
・調査前の平均カフェイン摂取量は1日172㎎であった。
・カフェインの摂取量が中央値を上回って摂取した人(1日あたり平均261mgカフェイン摂取)では、中央値を下回って摂取していた人(1日あたり平均64mgカフェイン摂取)よりも認知症と診断された割合が低かった。
【まとめ】
カフェイン摂取量の多い高齢女性は認知症を発症率しにくい可能性がある。
<論文要旨>
http://biomedgerontology.oxfordjournals.org/content/early/2016/09/20/gerona.glw078
今回は女性を対象とした研究であるため、男性に対してのカフェインによる認知症予防効果は定かではありません。
しかし、カフェインに対する反応は人それぞれであり、カフェインが苦手な方は無理して摂取するのは体に良くありませんが、大丈夫な方はカフェイン入り飲料を積極的に摂るのも良さそうですね
なお、カフェインが多く含まれている飲料100mlあたりのカフェイン含有量の目安は以下の通りです
・コーヒー(浸出方法:コーヒー粉末 10 g/熱湯 150 ml) … 60mg
・インスタントコーヒー(浸出方法:インスタントコーヒー 2 g/熱湯 140 ml) … 57mg
・紅茶(浸出方法:茶 5 g/熱湯 360 ml、1.5~4 分)… 30mg
・せん茶(浸出方法:茶 10 g/90℃430 ml、1 分) … 20㎎
※マグカップの容積は250~400mlが一般的であるため、マグカップでコーヒーやお茶などを飲む場合はカフェイン量は上記の2~3倍です。
また、認知症対策にはバランスの良い食事や適度な運動、十分な休養、適度な飲酒、禁煙、社会参加などが良いと言われています
カフェインだけに頼るのではなく、生活習慣から見直すこともお勧めです
(さ)
<参考>
・リンク・デ・ダイエット(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail_news.htm&kibanID=56549&-lay=lay&-Find)
・食品安全委員会 サイト(https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf)
・2015年 第7号 栄養研究所年報・名古屋学芸大学健康 「認知症の要因と予防」
・Neurology. 2015 Jan 20;84(3):296-303.