【論文紹介】赤ちゃんの抗生物質服用は食物アレルギーリスク


日本では、ウイルス性の風邪であっても抗生物質が処方されることがありますpill
しかし、生後1年以内の乳児に抗生物質を摂らせることで食物アレルギーリスクが増加してしまうかもしれませんscream

今回は、「乳児への抗生物質投与と食物アレルギーリスク」について調べている論文をご紹介いたしますbulb

 

●赤ちゃんが抗生物質を服用すると食物アレルギーリスクアップ
生後1年以内の乳児が抗生物質を服用すると病原菌だけでなく腸内の有用菌まで一掃してしまい、このことが食物アレルギーにつながる恐れがある。また、服用回数が増えるほどリスクが高まる。」という内容の、アメリカにあるサウスカロライナ大学の研究ですarrow_double_down

 

【目的】
アメリカでは、子供の食物アレルギーは生後1年間に最も多くみられる。

新生児の子供が健康的で機能的な免疫システムを得るためには、免疫原性物質への暴露が必要であると言われており、マウスでの実験において共生している腸内細菌は食物アレルゲン感作から保護してくれることが示されている。
また、ある研究では、腸内細菌の乏しさと1歳における食物アレルギー反応は関連していた。

そこで、生後1年以内の乳児が抗生物質を処方される事と、食物アレルギーと診断される事との関連を調べる

 

【対象】
サウスカロライナメディケイドという医療費補助制度に登録している2007年から2009年に産まれた7499名の乳児

 

【方法】
食物アレルギー患者である子供と、食物アレルギーでない子供を分析した症例対照研究
子供の月齢(年齢)、性別、人種・民族によりデータ調整を行い、分娩法、母乳栄養、喘息と湿疹の既往歴、母親の年齢、都市部に居住しているかなどの要因も考慮した。

 

【結果】
・対象の子供のうち1504名は食物アレルギーと診断された。
生後1年以内に抗生物質が処方された子供はされなかった子供と比較して食物アレルギーと診断される割合が1.22倍高かった
生後1年以内の抗生物質の処方回数が3回で1.31倍4回で1.43倍5回以上で1.64倍食物アレルギーのリスクが上昇した。
患者に投与された抗生物質の割合はペニシリン:38.2%、セファロスポリン:15.1%、マクロライド:13.1%、スルホンアミド5.4%であり、スルホンアミド処方で1.54倍セファロスポリンで1.50倍マクロライドで1.36倍ペニシリンで1.19倍食物アレルギーリスクが上昇した。

 

【まとめ】
生後1年以内に抗生物質が処方される事と小児期の食物アレルギー発症は関連し、さらに、抗生物質の処方回数が増えるほどより食物アレルギーを発症しやすくなる可能性がある。

 

<論文要旨>
http://aacijournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13223-016-0148-7

 

この研究は症例対照研究であり、乳児が抗生物質を服用したら必ず食物アレルギーになってしまうという訳ではありません。
また、乳児が細菌感染した場合には抗生物質の投与が必要になることもあるため、「抗生物質=悪」だと決めつけることもできません。

しかし、ウイルス感染と細菌感染の見分けが難しかったり、ウイルス感染であっても予防的に抗生物質が投与されることがあります。
また、お医者さんが必要ないと言っても抗生物質を希望される方もいるようですが、抗生物質の投与によってアレルギーが心配になるだけでなく耐性菌の問題を助長させ、ものによっては腎臓や聴覚機能に障害を起こしたり、アナフィラキシーショックを起こすこともありますastonished

不必要な抗生物質を乳児に投与することは避けた方が良さそうですねexclamation

ちなみに、最近は母親が日光(紫外線)を避ける生活をしているせいか母乳中のビタミンDが少なく乳児のビタミンD不足が増加しているそうですpersevere
ビタミンDはくる病を防ぐ他、免疫機能を調節する働きもあるため、アレルギー対策としても不足はお勧めできません。

妊娠中から紫外線に当たるようにするのがよいでしょうhigh_brightness
もし紫外線に当たるのを避けたい場合には、葉酸だけでなくビタミンDも合わせてサプリメントなどで補給することをお勧めしますblush

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(さ)

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