妊娠中は食生活に気を付けている方が多いですが、味覚や嗅覚の変化によって食の好みが変化することがあります。
そのため、「ジャンクフードばかり食べたくなる」、「甘い菓子パンを無性に欲する」、「アイスや炭酸飲料を頻繁に食べたり飲んだりしてしまう」というような方も少なくないかもしれませんね😣
しかし、妊娠中に脂肪や砂糖の摂取量が多いと、子供がADHDになりやすくなってしまうかもしれません😱
今回は、『妊娠中の食事と子供のADHD症状』について調べている論文をご紹介いたします。
妊娠中の脂質や糖質過剰が子供のADHDの原因になりうる
「妊娠中に脂肪や砂糖の摂取量が多いと、産まれた子供がADHD(注意欠陥多動性障害)を持つ可能性が高くなるかもしれない」という内容の、イギリスにあるキングス・カレッジ・ロンドンとブリストル大学の研究者らによる研究報告です。
研究の目的
家族性の病気である注意欠陥多動性障害(ADHD)は、妊娠中の不健康な食事と関連していることはあまり注目されていない。
またインスリン様成長因子2(IGF-2)遺伝子は、胎児の発育や小脳、海馬といったADHDに関係する脳の領域の発達に関係しているが、例えば高脂肪・高糖質食といったような不健康な食事は、IGF-2遺伝子のメチル化と関連していると考えられている。
そこで、妊娠中の高脂肪・高糖質食摂取とIGF-2遺伝子のメチル化、子供のADHD症状との関連について調べる。
研究の対象
イギリスに住む問題行動早期発生の子供83名と、問題行動レベルの少ない子供81名の合計164名。
研究の方法
出生前(妊娠32週)と出生後(3、4.5、7歳)の食事内容、出生時(臍帯血)と7歳におけるIGF-2遺伝子のメチル化状態、7、10、13歳におけるADHD症状を調べた前向きコホート研究。
研究の結果
・問題行動レベルの少ない子供と比較し、問題行動早期発生の子供の方がADHD症状レベルが高かった。
・出生時のIGF-2遺伝子の高メチル化はADHD症状と関連していた。
・妊娠中の不健康な食事は、IGF-2の高メチル型を介して間接的にADHD症状と関連していた。
研究のまとめ
妊娠中に母親が加工食品や菓子類による脂肪と砂糖の多い不健康な食事を摂っており、早い時期から子供に問題行動がみられる場合、その子がADHDである可能性は高いかもしれない。
<論文>
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jcpp.12589/full
この研究は、胎児期や乳児期の生活環境と、成長後の疾患との密接な関わりについて調べたものであり、まさしくDOHaD(ドハド)ですね
DOHaD(ドハド)については以前のブログでまとめたことがありますので、是非参考にしてみてください。
まとめ
妊娠期の食事はお腹の中の赤ちゃんの将来の健康に影響を与えます。
今回ご紹介した論文では、妊娠期の高脂質・高糖質食が子供のADHDリスクを上げる可能性が示唆されていますが、以前紹介した論文では、妊娠期に果物を摂ると子供の認知機能がアップする可能性があるそうです。
妊娠していない場合でもそうですが、妊娠中は特に、甘いものを食べたいと思ったらお菓子ではなく果物を摂るのが良さそうですね
しかし、もちろん果物の摂りすぎも良くありませんし、脂質や糖質を全く摂らないのも良くありません。
やはり色々な食品をバランスよく摂るのがお勧めです
(さ)